2018年 9月 23日 (日)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
どうなる沖縄知事選と「辺野古移設」 中国には「絶好のチャンス」に映る?

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   米国防総省は中国の軍事・安全保障動向に関する年次報告書で、中国人民解放軍が米国とその同盟国に対する攻撃を想定した訓練を重ねている可能性があると分析している。

   この年次報告書は、毎年の国防予算授権法のために国防総省から議会へ提出されている報告で、2010年から行われている。はじめは70ページ程度であったが、今年の報告書は130ページにほぼ倍増している。

  • 移設問題の行方が注目される
    移設問題の行方が注目される

アメリカは国防予算を増額

   2018年8月13日(現地時間)、トランプ大統領は、19年度(18年10月~19年9月)の国防予算授権法(国防権限法)に署名した。同法では、19年度の国防予算総額は7160億ドル(約80兆円)で、18年度より170億ドル(約1.9兆円)多い。

   報告書は、中国人民解放軍が沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越える爆撃機の運用能力を確保していると述べている。その上で、グアムを含む西太平洋の米軍基地などを攻撃する能力を誇示するようになると警告する。台湾の独立宣言を防ぐため、「有事」に備えた準備を進めている形跡があるとも指摘している。

   アメリカは、中国と対照的に、台湾との防衛協力は強化する方針を打ち出し、武器売却も促進している。日本としても、アメリカの対台湾政策との歩調を合わすため、日米同盟の一層の強化が必要である。沖縄周辺の国防を強化しなければ、日中の軍事バランスが崩れて危険である。

   こうした中国の軍事的な脅威が年々増していく中で、翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選が行われる。2018年9月13日告示、9月30日投開票の予定だ。

   この選挙日程はなかなか微妙である。実は、9月16日に引退する沖縄県出身歌手の安室奈美恵氏は、引退前日の15日にラストライブが宜野湾市で開かれる。安室氏は、翁長氏側の応援をしているといわれ(死去時には「知事のご遺志がこの先も受け継がれ...」などとするコメントを発表)、彼女の絶大なる人気を選挙戦で利用しようとする向きもなくもない。

   翁長氏を支持していた共産党・社民党らが中心のいわゆる「オール沖縄」は衆議院議員の玉城デニー氏(自由党)を擁立する方向で、自民県連などは佐喜真淳・前宜野湾市長を推している。

もう一つの県内移設問題「那覇軍港の浦添移設」

   米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画を巡って国と沖縄県が争っている。中国にとって、この状況は絶好のチャンスに映るかもしれない。

   翁長県政下では、仲井真時代に沖縄県が行った埋め立て承認を取り消し・撤回しようとする一連の動きがある。もっとも、「取り消し」については、16年12月20日に最高裁判決が出ており、翁長県政側の敗訴が確定している。一方、翁長氏は、死去の直前の18年7月27日、承認の「撤回」に向けた手続きを進めるよう県庁担当部局へ指示をしたと会見で明らかにした。

   今回の知事選の結果、仮に翁長氏の方針を継承する「オール沖縄」の知事が誕生しても、最高裁の確定判決があり埋め立て承認は有効だ。「オール沖縄」は、弔い選挙で翁長県政の継承かもしれないが、埋め立て承認を県が撤回しても、最終的には「取り消し」の際と同じように時間の無駄になるだろう。

   翁長県政継承という場合、もう一つの県内移設問題である「那覇軍港の浦添移設」についてどうするのだろうか。この問題は、形の上で「米軍普天間基地の辺野古移転」と相似形である。

   翁長氏は、日米安保に賛成だが沖縄県の負担が過大すぎるとして、辺野古移設は反対であった。しかし、浦添移設では逆に推進だった。翁長氏は、浦添移設は新基地にあたらないとしていたが、辺野古も既存基地内埋立てであり新基地ではなく、詭弁の印象だ。県民にも分かりにくく、ダブルスタンダードと言われている。

   「オール沖縄」は翁長氏と同様に辺野古反対、浦添推進なのか。それは矛盾にならないのか。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「マスコミと官僚の小ウソが日本を滅ぼす」(産経新聞出版)など。


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