2018年 9月 23日 (日)

不正の一因に「低位の給与水準」 ヤマト子会社めぐり調査委が指摘

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   宅配最大手ヤマトホールディングス(HD)は2018年8月31日、子会社のヤマトホームコンビニエンス(YHC)が法人向け引っ越しの見積もり料金を過大請求していた問題で、弁護士による調査委員会の報告書を発表した。引っ越し業務を行なうYHCは九州から北海道まで全国に11ブロックの統括支店があるが、見積もり料金の水増し請求は11ブロックすべてで行なわれていた。調査委員会は、このうち四国、九州、東京など5ブロックでは支店長らが水増しを指示したり、黙認したりするなど組織的に不正を行なっていたことを認めた。

   ヤマトHDの山内雅喜社長は31日の記者会見で「(7月の記者会見で)会社としての指示はないと申し上げたが、四国では上司の指示で上乗せの見積もりが行なわれていた」などと発言。組織的な水増しは、不正発覚の発端となった四国統括支店だけだったとの認識を示したが、調査報告書と矛盾する発言だった。

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直接的な指示と「黙認」

   この点について記者の質問が相次ぎ、調査委員会の委員長を務める河合健司弁護士は「意図的な上乗せは全国的に生じていた」と認めざるを得なかった。河合委員長は四国だけでなく、九州、東京、関西、東北の5ブロックでも支店長らが不正を黙認するなど組織的な不正があったと述べた。山内社長は四国のように総括支店長らの指示があった場合のみ「組織的な不正」と解釈したようで、黙認は「直接的な指示や主導的な指導ではない」と理解を求めたが、「是正すべきものをしなかったことは重大な問題だ」と認めざるを得なかった。

   調査報告書はYHCの社員らが組織的に料金の水増しを行なった経緯や理由を詳しく記している。北海道統括支店では「特定の支店長は、支店スタッフから赤字案件の『上乗せ』の相談を受けた時、『仕方がないので、利益が出るようにしよう』と回答した」という。

   西関東統括支店では社員が「繁忙期は上乗せするものだと思っていた。上乗せして利益を出さないと黒字にならないという話を入社当初から聞いていた」と証言。上司の支店長は「自分が無言のプレッシャーをかけてしまっていたのかもしれない。目標を伝えて、『取ってこよう』と言っていた」などと認めたという。

寡占化が進みライバル間の競争が激しい

   ヤマトHDは、2016年5月以降で約2年間の過大請求額を約17億円と18年7月に発表したが、調査委員会はこのうち約16%(3億円)が「悪意で上乗せした見積もり」に当たると判断した。調査委員会は社員が不正を働いた理由について「YHCはヤマト運輸において赤字であった引っ越し事業が分社されて設立された経緯があるため、その業績は芳しくなかった」と指摘。「社員の給与水準が低位であることから、一部には店および個人の業績を上げてインセンティブ等を多く受給しようという意識が働いた」と述べた。

   引っ越し業界はサカイ引越センター、アート引越センターを運営するアートコーポレーション、日本通運、そしてYHCが大手4社で、市場(年間の推定売上高約5000億円)の約6割を占めているが、寡占化が進みライバル間の競争が激しい。ヤマト子会社は売上高が4社中最下位で、近年は引っ越し専業のサカイやアートに差をつけられていることも、水増し請求を行なった要因と見られている。

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