2024年 5月 7日 (火)

防衛費の概算要求、「突出」伸び率 「抑止力向上」へ必要?トランプ圧力?

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2大焦点は社会保障費と防衛費

   そこで2大焦点が、社会保障費と防衛費だ。

   まず、歳出の3分の1を占める社会保障費について政府は、高齢化に伴う自然増を6000億円と見込み、これをどこまで圧縮できるかが注目される。ところが、2019年は政府が6月に決めた今後3年間の新しい「財政再建計画」の初年度で、社会保障費の伸びについて、従来の計画は年5000億円以内に収めるという「目安」があったのが、新計画には数値がなくなった。今回は診療報酬の改定など、予算抑制につながる大きな制度改正もないので、一部薬価の引き下げや安価な後発医薬品(ジェネリック)の利用促進などで辻褄を合わせ、従来並みの5000億円増を一つの目安に圧縮する方向と見られる。ただ、医師会などの抵抗も予想され、予断を許さない。まして、団塊世代が75歳になり始める2022年度以降は医療費などが急増するとみられており、その前にどれだけ予算の膨張を抑える道筋をつけるかが国家的な課題で、経済力のある高齢者に一層の負担を求めるなど、大きな制度改革も必要だ。しかし、そうした方向への道筋を付けられるかには、悲観的な見方が多い。

   防衛費については、防衛省は当初、装備品を複数年度に分けて支払う「後年度負担」の大幅増などを受けて積み上げたのが5.4兆円規模で、そのままでは概算要求基準(シーリング)を超えてしまうため、米軍再編関係費の地元負担軽減分などの金額を計上しないことで5兆3000億円に収めた経緯がある。このため、実質的な概算要求額は5兆5000億円を超え、2018年度予算比は6%を上回る伸び率ということになる。ちなみに、安倍政権で防衛費は5年連続で増えてきたが、伸び率は最大でも2.8%で、今回の突出ぶりは明らかだ。

   今年は中長期的な防衛力のあり方を決める「防衛計画の大綱」と、5年に1度見直す「中期防衛力整備計画(中期防)」が年末にまとまるので、兵器など高額装備品の購入が膨らむのは既定路線だ。特に近年、日米間では軍事機密の多い最新鋭の米国製兵器を取得できる有償軍事援助(FMS)契約が急増していて、調達額(契約ベース)は2014年度予算の1906億円から18年度予算は4102億円に倍増、さらに19年度概算要求では6917億円に膨らんだ。このうちイージス・アショア(2基2352億円)もFMS分が1991億円を占める。FMS調達の大半は複数年度に分けて支払うから、「後年度負担」として次年度以降の予算も縛る。

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