2018年 10月 21日 (日)

「政治系YouTuber、法律で規制を」 韓国で議論勃発...日本ではあり得る?

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   「日本でそんな話があれば、ネットユーザーが大反発でしょうね。『脱原発』や『共謀罪』どころではない、大規模なデモが起こりかねません」――そう苦笑するのは、ITジャーナリストの井上トシユキさんだ。

   話、というのは、「政治系YouTuber」の法的規制である。韓国で今、フェイクニュースの抑止などを理由に、与党などが大真面目に検討を行っている。

  • 2017年、朴槿恵氏が出演した際の「鄭奎載TV」
    2017年、朴槿恵氏が出演した際の「鄭奎載TV」

朴槿恵氏も出演...影響力大

   日本と同じように、韓国では今、インターネット番組の影響力が増している。特にYouTubeでは、ジャーナリストなどがホストを務める個人番組が人気だ。

   その代表格が、韓国経済新聞主筆・鄭奎載氏が主宰する「鄭奎載TV」である。時事問題を論じる硬派番組ながら、チャンネル登録者数は25万、総視聴回数も200万に達する。2017年には、政治スキャンダルが噴出していた朴槿恵大統領(当時)も出演した。国会での弾劾訴追可決後、初となるメディア登場で、大きな話題を呼んだ。

   現地では「一人放送局」とも呼ばれるYouTuber、ことにこうした政治系の話題を扱うYouTuberが、「規制」の対象になるのでは――そんな観測が、韓国で広がっている。与党「共に民主党」側が8月、ネット番組もテレビなどと同じく、放送法の規制対象に含めるべき、との素案を示したのだ。これらの番組が「フェイクニュース」の温床になっている――というのがその理由である。

   もっとも、異論も多い。根強いのは、文政権が自身に批判的なYouTuberを、この改正で抑え込もうとしているのでは、との見方だ。韓国紙・朝鮮日報によれば、いま人気の政治系YouTuberは「鄭奎載TV」を筆頭に保守系、右寄りの面々が目立つ。自然、革新系の文在寅大統領には批判的だ。こうしたネット上からの攻撃を封じるのが、法改正の真の目的ではないか――こうした反対論が、保守派からは噴出している。政権の思惑通りに行くかは、今のところ不透明だ。

日本でも「虎ノ門」などに首相登場

   日本でも、MAU(1カ月に1回以上アプリを利用したユーザー数)1100万人に達するAbemaTVを筆頭に、ネット番組の影響力は日々増している。こうした中では、ニュース、時事系のコンテンツも少なくない。YouTube上でも、たとえばDHCテレビによる「真相深入り!虎ノ門ニュース」には総裁選の告示前日の9月6日、安倍晋三首相が登場して話題を呼んだし、「政治系YouTuber」として有名なKAZUYAさんはチャンネル登録者53万人超を誇る。

   そんな日本でも、ネット番組は放送法の埒外にある。保守派の好調が目立ち、内容を巡る賛否両論も続くなど、状況は似ている部分もある(政権との距離感はかなり異なるが)。日本で、韓国のような議論は起こり得るだろうか。

日本では「逆」の動きも

   前述の井上トシユキさんは否定的だ。

「結局はどこまで行っても、ネット番組を『放送』とするか『通信』とするかという議論になるかと思います。とはいえ、『影響力を考えれば放送に近い』と持っていこうとすれば、相当な『力技』になるでしょう。反発は大きいでしょうし、落としどころを作るのは難しいのではないでしょうか」

   実際に日本では、むしろ「逆」の動きが起きている。たとえば、この春に持ちあがった「放送法」論争だ。放送・通信の融合を前提に、「政治的公平性」などを事業者に求める第4条を撤廃しては、という「官邸の意向」がスクープされたことをきっかけに、民放各局を含め、各界から激しい賛否が巻き起こった。

   結局、反対論が相次いだことで消滅したが、規制の厳しい「放送」を、「通信」の側に近づけるという点では、韓国とは対照的な流れといえる。

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