2018年 12月 11日 (火)

井上尚弥「強すぎる」ゆえの悩み 200年に一人の天才、最大の敵とは

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   ボクシングのWBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が2018年10月7日、「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」バンタム級トーナメント1回戦に出場し、元WBA世界同級スーパー王者フアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を初回1分10秒KO勝ちし、準決勝進出を決めた。

   わずか2発のパンチで元世界王者をキャンバスに沈めた。立ち上がり、サウスポーのパヤノの動きをうかがいながら、その時を待っていた。パヤノが右ジャブを伸ばしたところを井上は電光石火のワンツー。強烈な右で顎を撃ち抜かれ、頭部をキャンバスに打ちつけたパヤノは、半ば失神状態だった。

   見えなかった右。70秒の早業に、会場はすぐに反応出来なかった。テレビでもスローモーションでしか確認出来ないほどの速さだった。

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「見えない右」の正体

   リング上では何が起きていたのか。右構えの井上に対してパヤノはサウスポーで、相撲でいえば喧嘩四つである。井上は左、パヤノは右と、互いのジャブを放つ腕が真正面で相対する。喧嘩四つの場合、ジャブはあくまでもけん制として使い、互いの利き腕から放たれるパンチが勝負を握る。

   井上のフィニッシュブローは、これに世界最上級のテクニックがまぶされたものだった。左ジャブで相手の視界を遮った次の瞬間、右を打ち込んだ。おそらくパヤノの最後の記憶は、井上の左ジャブだったに違いない。これが見えない右の正体だ。

   井上の師匠である大橋会長は、元WBA、WBC世界ミニマム級王者で150年に一人のボクサーと言われた。その師匠は井上を「200年に一人のボクサー」と称する。

   辰吉丈一郎氏の記録を更新するプロ6戦目(当時=現在は5戦目)での世界王座獲得。当時世界最速だったプロ8戦目での世界2階級制覇、そして日本人最速となる16戦目で世界3階級制覇。この記録だけでも日本史上最高のボクサーといっても過言ではないだろう。

   一方で、ボクシングはかつて国民的ヒーローを生み出したスポーツである。日本人初の世界王者となった白井義男氏は敗戦後の日本に明るい希望を与えた。ファイティング原田氏の猛ラッシュに国民が沸き、輪島功一氏の不屈の闘志は大きな感動を呼んだ。日本最多の13度の世界王座防衛記録を持つ具志堅用高氏、浪速のジョーこと辰吉丈一郎氏。歴史にも記憶にも残る王者らと比較すると、200年に一人の天才ボクサーはまだその域に達していない感がある。

歴代の名王者には好敵手が

   この最大の要因は井上にライバルが存在しないことだろう。白井氏にはダド・マリノ(米国)、原田氏にはポーン・キングピッチ(タイ)、エデル・ジョフレ(メキシコ)が。輪島氏には柳済斗(韓国)、辰吉氏には薬師寺保栄氏が好敵手として立ちはだかった。

   一時、王座を失って人気に陰りが見えてきた亀田興毅氏も、内藤大助氏というライバルの出現により息を吹き返した。

   井上自身、強敵を望んでいる。世界王座の防衛戦の対戦相手を選ぶ際には、必ず世界上位から声をかけている。だが、井上が強すぎるあまり挑戦者として名乗り上げる者がいない状況が続いてきた。今回、新旧の世界王者が参戦するトーナメント戦への出場を決めた経緯はここにある。

   また、強さゆえの弊害となるのがテレビの視聴率だ。フジテレビ系で放送された9月7日の試合は、平均視聴率は8.4%にとどまった。ドラマなき70秒KO劇の悲劇だが、これでは井上の知名度が爆発的に広がることはないだろう。

   早期KO決着で防衛を重ねた元世界王者の長谷川穂積氏のケースもこれと同様だった。序盤のKO勝利が続き、テレビの視聴率が伸び悩んだ。長谷川氏の場合、10度の防衛を重ねる長期政権を築いたため、晩年の知名度は高かったが、王者になりたての頃は知名度の低さが悩みどころであった。

   井上陣営はこのトーナメント大会を機に米国進出を計画している。ただ、東洋人が米国のリングで成功するには、米国人またはメキシコ人のライバルが存在しない限り難しい。あのマニー・パッキャオ(フィリピン)でさえ、米国のリングに上がった当初はメキシカン相手のヒール役で、その後、実力で世界の頂点に登りつめ、名声と富を勝ち取った。

   現在、日本はおろか、世界を見渡しても井上のライバルになりうるボクサーは見当たらない。井上は間違いなくその名をボクシング史に残すだろう。強すぎる天才に今後、強力なライバルが出現する日は来るのだろうか。

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