2018年 10月 23日 (火)

高橋洋一の霞が関ウォッチ
ノーベル経済学賞と「国家内人工都市国家」 日本の「岩盤規制」との関係

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   2018年のノーベル経済学賞は、ウィリアム・ノードハウス米エール大教授とポール・ローマー米ニューヨーク大教授に決まった。

   ノードハウス氏は「気候変動を長期的なマクロ経済分析に組み込んだ」功績、ローマー氏は「技術革新を長期的なマクロ経済分析に組み込んだ」功績が評価された。

  • ノーベル経済学賞が決まった(画像は「ノーベル賞」公式サイトより)
    ノーベル経済学賞が決まった(画像は「ノーベル賞」公式サイトより)

「チャーターシティ」構想

   ノードハウス氏は、環境問題への対処として有名な「炭素税」の実質的な提唱者であり、最近『気候カジノ 経済学から見た地球温暖化問題の最適解』という本を出している。「気候カジノ」というタイトルでは何を言っているのか分からないが、副題の「経済学から見た地球温暖化問題の最適解」が書かれている。ノードハウス氏の研究である環境会計は、実際の政策立案にとても役立っている。兄であるボブ・ノードハウス氏は、環境弁護士であり、兄弟で環境問題で活躍している。

   ローマー氏は、同世代に同名の経済学者がいるのでややこしい。デヴィット・ローマー氏とその妻であるクリスティーナ・ローマーはそれぞれマクロ経済、大恐慌の研究家として有名であるが、今回ノーベル賞を受賞したポール・ローマー氏は新しい内生的成長モデルで顕著な貢献をした。

   ある番組で、ローマー氏の教科書を取り上げて、数式が難しいといっていたようであるが、それはデヴィット・ローマー氏のものだろう。アメリカ人でもよく間違える。

   ローマー氏も、机上の経済理論だけではなく、実際の事業活動にも熱心である。ローマー氏は、2000年にアプリア社という名の会社を立ち上げ成功した。アプリア社はオンライン教育の世界の先駆けの会社。

   さらに、ローマー氏は、一定の開発規制を事前に政府に与えて、国家内都市国家のような、一から新しい都市をつくる「チャーターシティ」構想もある。これは魅力的な考えであり、13世紀から17世紀まで繁栄したハンザ同盟、17世紀の北米で信仰の自由を売りにした植民地ペンシルヴァニア、香港、シンガポール、深セン経済特区などを発想のベースにしている。

「特区」は開店休業状態

   この構想はあと少しで実現するところだった。2009年にはマダガスカルは「チャーターシティ」に賛同し推進したが、その後のクーデターで政権が崩壊した。11年、中米のホンジュラスは憲法の一部の改正手続きを行い、この国家内人工都市国家の建設を可能にするまでになった。しかし、この構想は「新植民地主義」だという批判が起こり、結局頓挫した。

   このローマー氏のアイディアは、開発途上国に対して先進国からの投資で貧困から脱しようというものだ。この点から「新植民地主義」というありがたくないレッテルを張られるのだが、日本にも是非導入を考えてみたくなる。今の日本の「特区」の惨状は目を覆いたくなる。疑惑、疑惑と叫んでいるだけで、加計学園を1年半以上も一部マスコミは社会的に糾弾してきた。その結果はいまだに「加計学園に疑惑」報道である。岩盤規制を擁護する側には、政治献金が動いていた事実があり、規制の存続・強化との関係で有力政治家の名前も挙がった。そうした動きもない加計学園に悪魔の証明を求めるのはどうなのか。ついでにいえば、文科省の汚職は刑事立件されているが、野党議員が関与していたことは「疑惑」どころではないが、その追及はないとのアンバランスだ。いずれにしても、このくだらない騒動のおかげで、「特区」は開店休業になっていて、日本の将来に大きな国損である。

   ローマー氏自身は、必ずしも日本経済を評価していない。日本では、自由と競争がないので、新規企業数が少ないと批判している。いうなれば、ローマー氏から見れば、日本も開発途上国並なのだ。

   さすがに、日本の場合、外国からの資本導入は必要ない。必要なのは、新しい都市化や新規企業を阻む規制を一から取っ払うことで、それなら発展の可能性があるのだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「マスコミと官僚の小ウソが日本を滅ぼす」(産経新聞出版)など。


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