2019年 6月 18日 (火)

慰安婦合意、韓国外相「法的拘束力なし」と主張 狙いはどこにあるのか

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   2015年末に日韓が結んだ慰安婦合意が、さらに風前の灯だ。元慰安婦らが合意の違憲確認を求めて憲法裁判所に起こした訴訟で、韓国外務省が「法的拘束力がある条約ではない」などと主張する答弁書を提出していたことが明らかになった。

   康京和(カン・ギョンファ)外相は、外相就任直前にも「法的拘束力はない」と述べており、今後、合意の履行がさらに難しくなる可能性もありそうだ。ただ、この答弁書では、原告側の訴えを退けるように求めている。その狙いはどこにあるのか。

  • 2015年末の慰安婦合意の履行はどうなるのか(写真は外務省ウェブサイトから)
    2015年末の慰安婦合意の履行はどうなるのか(写真は外務省ウェブサイトから)

慰安婦合意が「憲法上の基本権」侵害と主張

   訴訟は、合意で慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」ことをうたっており、財産権や国家から外交的保護を受ける権利といった「憲法上の基本権」を侵害しているため違憲だとして、元慰安婦と遺族41人が16年3月に起こした。

   答弁書の内容は18年11月5日に韓国日報が報じ、これを受けて外務省当局者が韓国メディアに対して事実関係を説明した。答弁書は康外相名で6月に提出されたといい、(1)慰安婦合意は法的効力を有する条約ではなく、外交的合意に過ぎないため、「国家機関の公権力の行使」だとみなすことはできない(2)外交当局者の間の政治的宣言によって、個々の賠償請求権をはじめとする法的権利や基本権が直接侵害されることはない(3)「イラク派兵」など高度の外交行為は違憲訴訟の対象にすることができないとして却下した先例がある、などとして原告側の主張を退けるように求める内容だ。

   また、合意は元慰安婦の意思を反映していないとして、「手続きと内容上で多くの問題があった」とも主張した。

   康外相は外相就任にあたって17年6月に国会で行われた人事聴聞会で、合意について「守るべきだというのが国際社会の慣行」だとしながらも、「法的拘束力はない」と主張していた。この姿勢を維持した形だ。

面倒な判決出るくらいなら「門前払い」がマシ?

   ただ、韓国政府の別の狙いを指摘するメディアもある。中央日報は、

「外務省は、本格的な法廷闘争に発展するのを避けるために、訴えの却下を主張している」

と分析している。

   韓国の裁判では、最高裁にあたる大法院が2018年10月30日、新日鉄住金に対して韓国人の元徴用工4人に1人あたり1億ウォン(約1000万円)を支払うように命じる判決を出したことで、日韓関係がさらに泥沼化。この問題について文在寅(ムン・ジェイン)大統領は沈黙を守っている。外務省としては、下手に原告側の主張を認める判決が出るよりは、裁判所に「門前払い」してもらった方が外交上のリスクが低い、というわけだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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