2018年 12月 19日 (水)

やっぱりポジションの違い露骨 東海第2「運転延長」を新聞はどう伝えたか

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   東海第2原発は2018年11月27日、運転開始から40年の節目を迎えた――。

   日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村)は、首都圏にある唯一の商業原子炉だ。このほど、運転延長が認められたものの、対策工事は早くても2021年までかかり、県と6市村の「地元同意」を得るのも容易ではなく、再稼働へは、なお高いハードルが立ちはだかる。

   新聞各紙の論調にも、違いがくっきりと浮かび上がった。

  • 東海第2原発(Wikimedia Commonsより。KEIさん撮影、2009年)
    東海第2原発(Wikimedia Commonsより。KEIさん撮影、2009年)

最長「2038年」まで運転可能に

   原発の運転期間は原則40年間で、1回だけ最長20年間、延長することが可能。原子力規制委員会は11月7日、延長を認可し、手続き上は2038年11月27日までの運転が可能になった。

   延長が認められたのは関西電力高浜原発1、2号機、同美浜原発3号機(いずれも福井県)に続き4基目。2011年3月の東日本大震災の被災原発では初、事故を起こした東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型(BWR)でも初めてになる。

   東海第2は出力110万キロワットの大型原発。東日本大震災で運転を緊急停止し、外部電源を一時喪失、最大5.4メートルの津波にも見舞われ非常用発電機のうち1台が使用不能になって残る2台で辛うじて冷却を続けるという「危機一髪」を経験している。

   このため、原電は最大17.9メートルの津波を想定して鉄筋コンクリートの防潮壁を設置するなどの安全対策を打ち出した。今後、株主で電気の販売先でもある東電と東北電力の支援を受けて安全対策費1740億円を調達し、2021年3月までに対策工事を完了させる方針だ。

「大都市近接」が課題に

   他方、原電は再稼働に必要な地元同意について、3月に立地自治体の茨城県と東海村以外の周辺5市にも「実質的な事前了解権」を広げる全国初の安全協定を結んだ。5市の一つ、同県那珂市の海野徹市長が再稼働反対の意向を明らかにしたが、海野氏はその後、2019年2月の市長選に出ないと表明したため、再稼動を左右する選挙として注目されそうだ。

   地元同意と絡んで大きな課題が、30キロ圏内に義務付けられる避難計画だ。首都圏唯一の原発で、東京からの距離は福島第1の半分の120キロ、30キロ以内に96万人が住むという世界屈指といわれる「大都市近接原発」で、圏内14市町村で避難計画を策定できたのは3市のみだ。

   こうした問題を抱える東海第2の延長認可には、大手紙6紙がそろって社説(産経は「主張」)で取り上げたが、避難計画や地元同意などの問題指摘、慎重な対応はそれなりに共通する部分もあるが、原発への姿勢の違いを反映して、再稼動慎重論と推進論が交錯している。

「形骸化」訴える朝日など、手放し歓迎の産経

   「脱原発」の朝日、毎日、東京の3紙は、まず「40年ルールの形骸化」をこぞって危惧する。

   朝日(11月8日)は「人口が密集し事故時の避難が難しい首都圏の老朽原発を、原則を超えて長く動かす正当な理由は見当たらない」としたうえで、「運転期間の『40年ルール』は、設計が古い原発の退場を促すための規制で、東京電力福島第一原発の事故後に強化された安全対策の柱の一つだ。規制委が認めれば20年の延長もできるが、導入時、政府は『極めて限定的なケース』と説明した」と指摘。毎日(9日)も「規制委は今回を含め申請された原発4基の延長をすべて認めた」と批判。東京(10日)は「その中で、東海第二はさらに例外、あるいは特別だ」として、福島第1と同型のBWRであること、大震災で実際に津波の被害に遭って外部交流電源と非常用電源の一部を失ったことなどを挙げ、「(大震災での)強い揺れによる原子炉への影響も、本当にないのかどうか、不安が残る」と指摘する。

   一方、原発を認める3紙は、これを基本的に問題にはしない。特に、規制委の決定を評価するのが産経(9日)で、「福島事故によって原発の新増設は、困難な状況が続いている。そうした中で、規制委の厳格な安全審査と運転延長審査に合格した高経年原発の運転延長は、電力の安定供給に資するものとして歓迎したい。......BWRの初復活という点でも大きな意味を持つ」ともろ手放しで歓迎。40年ルールについて「原発の大部分の設備は、定期検査の際などに新品に交換されている。交換できない部分は問題となる劣化のないことが確認されている。そのため、運転年数を重ねていても全体の老朽化は進んでいないことを理解しておきたい」と、規制委を全面的に支持する。

「危機一髪」逃れたのは実績なのか

   読売(9日)も、規制委が慎重な審査をしたと評価したうえで、「(対策工事を)2021年春までに終えて、再稼働を目指す。着実に進めてもらいたい」と、再稼動への期待を書く。

   2紙と比べ、原発容認でも日経(9日)はややニュアンスが異なる。「日本原電は......期限ぎりぎりで認可を得た。規制委の基準や延長審査は安全を守る最低限の条件といえる。日本原電は気を緩めずにさらに対策を積み上げ、基準を上回る安全性を確保すべきだ」と、安全への一層の取り組みを求めている。

   大きな問題である避難計画と地元の同意については、脱原発3紙は慎重で、「自治体の計画策定は難航しており、重大事故発生時に迅速な避難ができるか大いに疑問だ」(毎日)などとして、関係自治体に「安全を最優先する姿勢を貫いてもらいたい」(朝日)と注文する。

   これらに対し、産経は「東海第2も東日本大震災の大津波に襲われたが、自主的な事前の津波対策で大事故を回避している。信頼に足る実績として評価されるべきだ」と、大震災時の「危機一髪」を他紙になく評価するという独特の論法を示している。

   読売は「丁寧に情報を発信し、粘り強く地元の理解を得ていかねばならない」と、安倍晋三首相が好む「丁寧な説明」を求め、特に雛計画について「避難時の混乱をどう最小限に抑えるのか。調整は難航している。政府が全面支援して、現実的な計画を目指す必要がある」と、政府に発破をかけ、また、地元の事前了解について、「この了解権は『拒否権』と異なる」と指摘し、再稼動のハードルを下げるかのような書きぶりだ。

   日経は「大事故が起きた際、高齢者や病人らは安全に避難できるのか。人口が密集する市街地で混乱を防ぐには何が必要か。住民に安全に避難してもらう計画づくりは道半ばだ」と、この点でも産経、読売とは一線を画し、慎重な対応を求めている。

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