2018年 12月 19日 (水)

入管法の陰で... ひっそり衆院通過した、もう一つの「重要法案」

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   入管法の陰であまり注目されていないが、今の臨時国会で「もうひとつの対決法案」ともいわれる法案がある。漁業法改正案だ。

   2018年11月28日の衆院農林水産委員会で、与党と日本維新の会の賛成多数で可決され、29日の衆院本会議で可決、参院に送られた。養殖に企業が新規参入しやすいように漁業権の制度を見直すことなどが柱だが、小規模漁業者への影響が大きく拙速だとの批判も根強い。

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70年ぶりの抜本見直し

   漁業法は戦後間もない1949年に制定され、漁業の基本的なルールを定めている。農業であれ、労働法制であれ、様々な分野で、戦後間もなく制定された各分野の「基本法」は1990年代後半以降、順次、「時代の変化への対応」として改正されてきた中で、漁業は残された数少ない分野。今回の改正は「70年ぶりの抜本的な見直し」と銘打たれ、漁業の「成長産業化」を掲げる。先行した農業改革と同じく、政府の規制改革推進会議の議論をへて法案化された。

   衆院での審議で吉川貴盛農水相は「漁業生産量が長期的に減少し、漁業者の減少・高齢化も進んでいる。こうした状況に終止符を打ち、漁業者が将来展望を持てるようにするため、基本的制度を一体的に見直す」と目的を説明したように、目指すのは、漁業の効率化を通じ経営の改善を図ることだ。

   改正案の中身を見てみよう。漁業権のルールの変更と漁獲量による資源管理の拡大が2本柱である。

   特に漁業権が最大の注目点だ。沖合に出れば、企業の大型船も操業しており、漁業権が問題になるのは養殖を中心とした沿岸海域。これまで、「地元漁協を最優先する」と規定し、都道府県知事が漁協に一括して漁業権を与えてきた。しかし改正案は、漁協が適切・有効に管理していなかったり、既存の漁業権がなかったりする場合は「地域の水産業の発展に寄与」する企業などに免許を与えるとした。

業界への「飴」も盛り込まれるが...

   次に、資源管理では、政府が漁獲可能量(TAC)を決める制度について、現在8魚種に限られている対象を大幅に増やし、マグロなどで現在も実施されている漁船ごとに漁獲枠を割り当てる制度(IQ)を基本とするよう改める。乱獲を防ぎ、価格が高い時期に販売できるようにする狙いだ。

   このほか、遠洋・沖合漁業では漁船のトン数制限を緩和し、漁船の大型化を促して生産性を高める。また、地域の漁場利用の調整を担う漁業調整委員会について、公選制から知事による任命制に改めることや、密漁の罰則を強化することも盛り込まれた。

   さらに、法改正に合わせて漁業支援の強化を図る「飴」も用意。2019年度予算の概算要求では水産関連全体で3003億円と前年度比7割増としている。

   だが、法案には批判、疑問も多い。

「適切かつ有効」の判断基準は

   漁業権については、今の漁業者らが「適切かつ有効」に漁場を使っている場合は権利が維持されるが、「有効」をどう解釈するのかなど、漁業者から懸念の声が上がる。衆院での審議でも、具体的な判断基準を問われた吉川農相は「個々に都道府県が判断する」とあいまいな答弁に終始した。「養殖漁業への企業参入が広がり、地元漁業者が狭い漁場に追い込まれる」(野党議員)との批判もある。

   漁獲枠をめぐっても、現在実施されているクロマグロでは「沿岸漁師が割を食い、その声が反映されていない」(野党議員)との批判がある。また、船に漁獲枠がついていることから、資金力のある企業などに漁獲枠が集約され、寡占化する可能性も指摘される。

   漁業調整委員会の任命制についても、特に漁業権の改革と絡んで、沿岸漁業者の意見が反映しにくくなる恐れが指摘される。

   さらに、改正法成立後に具体的な運用を決める部分も多く、野党は「具体的制度設計を政府に丸投げする入管法改正案と同じ」と批判する。

参院選で与党の逆風になるおそれも?

   2019年夏の参院選への与野党の思惑も絡んでいるようだ。与党側は漁業者の反発を念頭に、統一地方選や参院選よりなるべく前に法案を処理したいとの思惑から、臨時国会で成立させたい考えといわれる。

   対する野党は2016年の参院選で、第1次産業が多い東北地方の1人区を中心に善戦したが、背景には環太平洋経済連携協定(TPP)への農業関係者の反発・懸念があったと分析している。そこで、2019年の参院選もにらみ、改正法案への不安が強い小規模漁業者へのアピールを狙って、参院の審議でも政府を厳しく追及する構えだ。

   入管法改正案とよく似た構図だけに、12月10日の国会会期末に向け、漁業法改正案を巡っても、与野党の攻防が激しくなりそうだ。

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