2020年 2月 21日 (金)

山里亮太編集長、首都直下地震を考える 「日本に安全なところはない」

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はみだしコラム...東大の地震研、どんな研究してるの?(1)

   日本に大きな被害を及ぼす地震の多くは海底で起きています。その「現場」をいち早くキャッチできれば、津波の予測も精度が上がります。そこで取り組みを進めているのが、海底地震計の設置です。

   黒いチューブは、海底ケーブルのレプリカです。地震動と津波のセンサーが入っています。オレンジ色をしたチタン製の耐圧容器の中には、地震動センサ、時計、記録装置、そして電池が収められています。東大地震研に展示されているのは現地収録型で、本物です。

東京大学地震研究所に展示されている海底地震計のレプリカ(上のケーブル)
東京大学地震研究所に展示されている海底地震計のレプリカ(上のケーブル)
自由落下自己浮上式海底地震計(オレンジの球)<本物>
自由落下自己浮上式海底地震計(オレンジの球)<本物>

平田: ケーブル式の海底地震計を海の底に置いて、津波が発生したことをいち早く検知して、津波警報を出して、避難を促します。地震がどこで起こっているか、プレートがどこに沈み込んでいるかを正確に分かる必要がありますから。

山里: 津波警報って、かなり速くなりましたよね。やっぱり信憑性も向上しているんですか?

平田: 1983年の日本海中部地震では、地震発生から14分後に津波警報が発表されましたが、その時にはすでに津波が到達していた地域が多かったことが問題になりました。
そこで気象庁は1980年代、地震が海で起きたことをいち早く検知して津波の警報を出す仕組みを整備したんです。現在では、3分後には津波警報が出せるようになっています。でもそれでも多少間違えるんですね。計算によってどういう津波が来るかを予測しているので。

山里: そうですよね。

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平田: 2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際は、東大地震研と東北大はケーブルでつながった津波計と海底地震計を運用していましたが、それまでの津波は「10~20センチ」というレベルでした。3.11の地震はあまりにも大きく、当時送られてきた「3~4メートル」というデータの意味することがすぐには理解できないほどでした。
当時、釜石・三陸沖に設置していた2か所の津波計と3か所の海底地震計をつなぐ長さ約120㎞海底ケーブルは1本だけでしたが、それではダメだということで、今では青森沖から茨城沖くらいまで、総延長5700km、150か所に観測点を設けて海底ケーブルでつなぐネットワーク「日本海溝海底地震津波観測網」(S-net)が防災科研によって運用されています。

山里: さらに精度を上げる研究が進んでいるんですね。

平田: 「逃げてください」って言っても逃げない人がいっぱいいる。それでは困るので、少しでもリアルに伝えられないかと考えています。科学の力を使って海岸に津波が押し寄せる20分前にそのことを知らせる。それが、科学ができることですよね。

(続く)



(プロフィール)

平田直(ひらた・なおし)
1954年東京都生まれ。東京大学地震研究所教授・地震予知研究センター長、国立研究開発法人防災科学技術研究所首都圏レジリエンス研究センター長、地震調査研究推進本部地震調査委員会委員長、地震防災対策強化地域判定会会長、「首都圏を中心とするレジリエンス総合力向上プロジェクト(forR)」研究総括。専攻は観測地震学。近著に『首都直下地震』(岩波新書)がある。

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