2019年 12月 13日 (金)

「実態とまったく異なる」児相への偏見 松嶋尚美だけの問題なのか

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   タレントの松嶋尚美さん(47)が「バイキング」(フジテレビ系)で、もし児童相談所(児相)が自宅近くにできたら、児相の子どもが自分の子どもに「暴力を振るったり、カツアゲしたりするかもしれない」と心配の声を漏らしたことが波紋を広げている。

   インターネット上では「差別だ」「無知だ」と松嶋さんへの批判が殺到。だが、「無知は恥って叩いても何の解決にもならない」「その人たちに知ってもらわないと」として実態を伝えていくべきだとする向きも少なくない。J-CASTニュースがある児相の所長に話を聞くと「私の知る限りでは、相談に来る子どもが近所の方に暴力を振るうという事例はありません」と話す。

  • 松嶋尚美さんはブログでも子どもたちについて度々発信している
    松嶋尚美さんはブログでも子どもたちについて度々発信している

「無知は恥って叩いても何の解決にもならない」

   きっかけは東京・港区の児童相談所新設計画で、予定地の南青山住民が建設反対を訴えている問題だ。2018年12月19日放送の「バイキング」で扱われると、長男(7)と長女(5)の2児の母である松嶋さんは「私は複雑です」と切り出し、神妙な面持ちで発言した。

「もしも自分のところに(児相が)できるとなった時には、引っ越す可能性はあります。あまり知識がなくて分かりませんが、たとえば、親に暴行されてキーッてなってる子がボーンッて外に飛び出したら、暴力振るったりカツアゲしたりするかもしれないという変な心配があるんです。子どもも結構流されやすいタイプやし」

   その理由として、「学校でこうやって(グリグリと)殴る子がいたんですって。なんでかって、その子の親がそうやっているから、悪いことと思わなくて友達にするんだそうです。そういう面で悩むことは正直あります」と経験談を話していた。

   発言に対しツイッター上では「本当にひどい 差別を助長してる」「偏見の塊」「罪深い」などと批判が殺到している。一方で、

「松島尚美さんは『知らない』ことから来る不安や恐怖心からこうした発言につながったのではないかな、と推察する」
「自分でも『無知』故って言ってるじゃん。知らないからそう思うんだよ。知らないから悪いんじゃなくて、じゃあその人たちに知ってもらわないと!って。知ってくれたら考え変わるかもよ。無知は恥って叩いても何の解決にもならない」
「児童相談所について知らない人にはそんな風に思われてしまっているということ」

と前向きな議論につなげようとする向きも少なくない。

元所長が語る児相の「本当の役割」

   厚生労働省の発表によれば、児相に寄せられた児童虐待の相談対応件数は増加の一途をたどっている。17年度は13万3778件で過去最高。07年の4万639件から10年間で3倍以上となっており、児相が果たす役割は大きい。

   大阪市中央児童相談所の元所長で、現在もNPO法人児童虐待防止協会の理事長として、児相と連携しながら活動を続ける津崎哲郎氏は21日、J-CASTニュースの取材に「児童相談所は子どもの福祉に関するあらゆる問題に対応するという位置づけです」と役割について話した。

「何らかの理由で家庭での養育が難しくなった子どもの相談、障害を持った子どもの養育に関する相談、不登校の子どもの相談などがあげられます。最近は虐待問題がクローズアップされ、『児相は虐待相談に対応する機関』というのが強調されていますね。ですが、守備範囲は非常に広いのです」

   親の虐待の中でも、暴力となると報道でも大きく扱われ、SNSでも拡散されやすい。そうした事情もあり、「児相の子=暴力を受けた子」というイメージが抱かれてしまったのではないかという。

   だが、「親に暴行された子どもが近所で暴力するかもしれない」という「心配」については、「実態とはまったく異なります。児相のまわりで子どもたちがウロウロしているわけではありません。一時的に保護している場合、その子どもは自由に外に出せません。地域の子どもと交わるということは基本的にないのです」と話す。その上で、

「前日まではその地域の家で暮らしていた子どもです。普通の子どもが、家庭の環境、親の事情などで、いまの家では養育できないために児相に来るのです。子ども自身は、地域の身の周りにいる子どもたちと何ら変わることはありません」

としていた。

「正しい姿を皆さんに知っていただければ」

   その上で津崎氏は、「SNSなどでは誤った情報やイメージが独り歩きし、拡散してしまう可能性もあります。ですが、児相はインターネットで調べれば行政の公式サイトがすぐに出てきますので、そちらをご覧いただければと思います。私たちも正しい児相の情報を伝えていくことが大切かと思います」との見解を延べていた。

   児相に10年以上勤め、現在東京の多摩児童相談所で所長を務める社会福祉士の男性も、

「家庭で暴力を振るわれて相談に来る子どももいますが、少なくとも私が知っている限りでは、近所の方々に暴力を振るうなどという事例は起きていません」

と話す。

   児相の実態はどれだけ周知されていると感じているか。「以前よりは色々なところで取り上げられています。少なくとも児相という施設の存在は知られてきたと思います」とし、

「パンフレットを作って差し上げるなどの活動は日常的にしています。児童虐待防止月間の時はキャンペーンをして、より知っていただけるよう努力はしています。私どもにできるのは、知っていただける機会を増やすことかと思います。児相の正しい姿を皆さんに知っていただければと思います」

と話していた。

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