2024年 4月 23日 (火)

広開土大王は日本のEEZで何をしていた? 韓国がまず説明すべきこと

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   韓国海軍の「広開土大王(クァンゲト・デワン)」級駆逐艦が海自のP-1哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題は、韓国の国防省が2019年1月4日に反論動画を公開したことで、さらに泥沼化しそうだ。

   動画で特に韓国側が協調しているポイントは、韓国側は北朝鮮船の「人道的救助活動」を行っていたにもかかわらず、日本の哨戒機が駆逐艦に「低高度で接近」してきた、という点だ。韓国側は、日本側に対して経緯を説明するように求めている。ただ、実際に北朝鮮船を救助したのは韓国海洋警察の警備救難艦「サンボンギョ」で、海自機にレーダー照射した駆逐艦ではない。海軍がどういった役割を果たしていたかを含めて解明される必要がありそうだ。

  • 韓国側のわずかな「独自映像」は海洋警察撮影のものだった(韓国国防省が公開した動画から)
    韓国側のわずかな「独自映像」は海洋警察撮影のものだった(韓国国防省が公開した動画から)
  • 韓国側のわずかな「独自映像」は海洋警察撮影のものだった(韓国国防省が公開した動画から)

「人道的救助活動」なる言葉を繰り返すが...

   韓国側が公開した動画の大半は、日本側が公開した動画に自らの主張が入った字幕とBGMをつけたもの。わずかに入っている韓国側の独自映像は、報道官の反論会見や、海洋警察の警備救難艦から撮影された現場映像で、駆逐艦から撮影された映像は含まれていない。

   日本側の動画では、「国際法や国内関連法令で規定されている高度及び距離以上で飛行」というテロップを入れ、哨戒機の飛行には問題なかったとの立場を説明している。だが、韓国側の動画では、

「広開土大王は、漂流中の遭難船に対する人道的救助活動を行っていた。人道的救助活動中、日本の哨戒機が低高度で接近してきた。哨戒機は高さ150メートル距離500メートルまで接近。乗組員が騒音と振動を強く感じるほどの脅威だった」

などと日本側を非難。「人道的救助活動」という用語を繰り返しながら活動の正当性を主張した。

「日本で公開された映像を見ると、哨戒機も救助活動の状況を認識していた。人道的救助活動中の艦艇に非紳士的な偵察活動を継続し、広開土大王の人道的救助活動を妨害する深刻な威嚇行為を行った」

救助に広開土大王の助け必要だったか

   中央日報によると、北朝鮮船は1トン未満の木製で、4~5人が乗っていたが、漂流中に死亡した人もいたとみられる。脱水症状がひどい乗組員は病院で手当てを受けさせ、12月22日午前、生存している船員3人と死亡した船員1人を板門店経由で北朝鮮側に引き渡した。

   日本側の動画では、「サンボンギョ」がゴムボートのようなもの2隻を使って北朝鮮船に近づいている様子が分かる。「サンボンギョ」は「広開土大王」よりも全長、全幅ともに大きい船で、救助活動に広開土大王の助けが必要だったとは考えにくい。加えて、日本側の発表によると、現場は、能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内。こういった特異な状況での活動に海自の哨戒機が注目した可能性もある。韓国側が、海自機が接近したことについて説明を求める以上、韓国側も「救助活動」の実態について説明が求められそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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