2024年 4月 27日 (土)

朝日「日韓で克服努力を」産経「余りに勝手」 社説は文大統領にこう反応した

   菅義偉官房長官が、「元徴用工訴訟」をめぐる韓国の文在寅大統領による年頭会見の発言について、「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものだ」と批判した。

   文大統領発言をめぐっては、日本の主要紙の社説が一斉に取り上げたが、その論調は、韓国側を厳しく批判するものから、問題解決に向けて日韓双方の歩み寄りの重要性を訴えるものまでに分かれた。

  • 文大統領が2019年の年頭会見に臨んだ(画像は韓国大統領府の動画から)
    文大統領が2019年の年頭会見に臨んだ(画像は韓国大統領府の動画から)
  • 文大統領が2019年の年頭会見に臨んだ(画像は韓国大統領府の動画から)

菅長官「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというもの」

   菅長官が2019年1月11日の会見で言及したのは、10日にあった文大統領の発言についてだ。大統領は元徴用工訴訟問題について、日本の政治指導者たちが政治争点化し、問題を拡散させているとして、「賢明な態度ではない」と批判。「日本政府は、もう少し謙虚な姿勢を示さなければならない」と注文もつけた。これに対し、菅長官は「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と反発する考えを示した。

   この問題をめぐっては、韓国最高裁が新日鉄住金に賠償を命じている。一方、日本政府は、日韓請求権協定(1965年)で解決済みという立場だ。

   文大統領会見の翌11日、日本の主要各紙は会見内容に触れて日韓関係を論じる社説(産経は「主張」)を掲載した(ウェブ版でも公開)。見出しを並べると、

「文大統領演説 余りに勝手な日本批判だ」(産経)
「徴用工問題 文氏は判決を言い訳にするな」(読売)
「文大統領の徴用工発言 政治のリーダーが解決を」(毎日)
「徴用工問題 日韓で克服する努力を」(朝日)
「日韓対立の影響を企業活動に広げるな」(日経)

といった調子だ。

さすがの朝日も、韓国側にも「注文」

   断片的にはなるが、一部を引用すると、

産経主張では、冒頭から

「何ら解決策を示さず責任を転嫁した」

と文大統領発言を批判。「『賢明』でない指導者は文氏自身であることに気づくべきだ」と断じ、締めくくり部分では

「(対立のエスカレートは日韓双方の国益にかなわないが)それでも、韓国に非を鳴らし、まっとうな対応を迫っていく。日本政府の取るべき姿勢はこれ以外にあるまい」

と日本政府を鼓舞した。

   一方、朝日社説では、

「不幸な植民地支配の下で起きた問題だけに、双方が硬直した姿勢をとらず、歩み寄らねばならないのは当然だろう」

と、日韓両国の双方に呼びかけた。韓国側に対して注文も出しており、

「いままず求められているのは、この問題に関する韓国政府の明確な態度を示すことである」
「(略)懸案を乗り切るには、世論の不興を買ってでも従来の政府見解を踏襲し、外交問題をこじらせない策を早期に出してもらいたい」

と指摘。そのうえで、

「この悪循環を脱するにはどうすべきか。経済や安保など広く利害が重なる日韓関係の健全な発展のために、両国が心を落ち着かせて考える時である」

と、やはり日韓の双方に呼びかけて締めくくった。

一方、韓国紙の社説は...?

   また、韓国メディア(ウェブ日本語版)をみると、「日本は謙虚な姿勢を 徴用判決の政治争点化『賢明でない』=文大統領」(聯合ニュース、10日配信)などと、発言を伝える記事は出ている一方、大統領演説を社説で取り上げた中央日報や朝鮮日報(11日)をみると、いずれも焦点は経済問題で、今回の発言どころか日韓関係そのものにすら触れていなかった。

   両紙の「大統領演説」社説の見出しは、

「厳しい生活の現場とは乖離した文大統領の経済解決策」(中央日報)
「文在寅大統領、粉飾統計で突き進む『経済マイウエー』」(朝鮮日報)

となっており、本文でも日韓関係への言及はなかった。

   そもそも、今回注目されている大統領発言は、会見終盤になって日本メディア(NHK)の記者がした質問に対する答えだった。

   もっとも、朝鮮日報は10日の社説(『文在寅政権下で対米・対中・対日外交は行われているのか』)で日韓関係を取り上げており、「対日外交」部分では、

「日本との外交はもはや危険とも言えるレベルになった」
「(略)強制徴用による賠償判決も政府間の交渉によっていくらでも解決の方策を見いだせるはずだ。ところが韓国政府は反日感情を隠そうともせず、日本に対しては『やれるものならやってみろ』という態度で臨んでいる」

と懸念を示していた。

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