2019年 7月 22日 (月)

「訪日客増」に胸張る安倍政権だが... 実は雲行きが怪しい「もう一つの目標」

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   訪日外国人旅行者は増えているが、彼らが日本国内で使う旅行消費額は伸び悩んでいる。

   観光庁が2019年1月16日に発表した2018年の訪日外国人旅行者数は前年比8.7%増の3119万人になり、初の3000万人台を突破したが、旅行消費額は4兆5064億円にとどまり、節目の5兆円に届かなかった。統計の取り方が2018年からわずかに変わったため、観光庁は消費額の前年比較を公表していないが、2.0%の微増にとどまる計算だ。訪日客1人当たりの消費額は15万2594円で0.9%減となり、3年連続のマイナスとなった。

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「8兆円」達成には大きな壁が

   増大する訪日外国人旅行者は人数が注目されがちだが、日本にとっては彼らの旅行消費額が重要なのは言うまでもない。訪日外国人旅行者が増えているのに、消費の総額が伸び悩んでいるのは、1人当たりの消費額が減っているからだ。1人当たりの消費額は中国人訪日客の「爆買い」が話題となった2015年7~9月のピーク時は18.7万円だったが、その後は沈静化して減少が続いている。

   「観光立国」を目指す安倍政権は2020年に訪日外国人旅行者4000万人、旅行消費額8兆円を目標としている。政府は「2020年4000万人の目標も視野に入ってきた」(石井啓一国土交通省)など、人数については楽観的だが、8兆円の目標については明確な発言がない。4000万人で8兆円を達成するには、1人当たり20万円を消費してもらわなければならず、現状の15万円では困難だからだ。政府関係者は「このままの調子では6兆~7兆円がよいところ」と本音を漏らす。

   安倍政権が8兆円の目標を掲げた2016年当時は中国人客の「爆買い」が話題となり、2015年は消費額が18・7万円と20万円に手が届く勢いだったが、その後の沈静化で目算が狂った。

欧米豪の訪日客増が今後のカギ?

   ところが、政府は4000万人、8兆円の目標を今から下ろす考えはないようだ。観光庁が発表した各国・地域別の訪日外国人1人当たりの消費額では、オーストラリアの24万円を筆頭に、スペイン23万円、イタリア22万円、英国21万円、フランス21万円など欧米豪には20万円を上回る国があるからだ。いずれも長期滞在の旅行者が多く、1人当たりの消費額を押し上げているという。つまり、欧米豪からの訪日客を増やせば消費額も上がるわけで、政府は海外へのプロモーションを強化している。

   各国・地域別の訪日客で838万人と最も多い中国も1人当たり22万円を消費しており、「爆買い」が沈静化したといっても購買力の高さをうかがわせる。対照的に訪日客数が753万人と2番目の韓国は1人当たり7万円の消費にとどまる。韓国は平均宿泊数が4.3泊と中国の9.7泊に比べて短期滞在のため、消費額も少ないようだ。このほかアジア近隣諸国・地域では台湾が12万円(6.8泊)、香港15万円(6.3泊)となっている。

   格安航空会社(LCC)の誘致などで訪日外国人旅行者を増やし、日本国内で消費してもらう安倍政権の「観光立国」戦略は、順調に推移し、「アベノミクス最大の成功」とも評されてきた。それだけに、あと2年で所期の目標を達成できるか、今後の行方が注目される。

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