2024年 4月 23日 (火)

「障害」か「障碍」か、受け止め様々 「歓迎したい」「本質的なもの、変わらないのでは」

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   兵庫県宝塚市が公文書の表記で、「障害」を「障碍(がい)」と表記する方針を決めたと、報道各社が伝えた。毎日新聞や共同通信の報道によると、全国の自治体で「碍」の文字を使うのは初めてだという。

   「歓迎したい」「何も本質的なものは変わらないのでは」――J-CASTニュースは、障害者団体の関係者などに、こうした動きへの受け止めを尋ねた。

  • 「碍」は常用漢字ではない
    「碍」は常用漢字ではない
  • 「碍」は常用漢字ではない

宝塚市はこれまで「障がい」表記

   法令や公文書などで表記される漢字は、「常用漢字表」に基づいて使われている。2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、衆参両院の委員会が昨年、「碍」を常用漢字表に追加の検討をするよう決議したのを受け、文化審議会国語分科会は「常用漢字の選定基準に関わる問題であるため,相応の審議を必要とする」と結論を先送り。一方で、常用漢字表については「地方公共団体や民間の組織において,表にない「碍」を用いて表記すること等を妨げるものではない。それぞれの考え方に基づいた表記を用いることが可能である」と考えを示した。

   毎日新聞の報道によると、宝塚市は従来、平仮名で「障がい」と表してきたが、同分科会の考えを受けて「碍」の使用を検討したとされる。

   J-CASTニュース編集部は2019年2月5日、同市の担当者に取材。「検討しているのは事実だが、今日の段階で確定的な事実を答えらえる状況にはない。改めて決定したら発表はさせていただきたい」と答えるにとどめた。

「音でも悪いイメージ」

 

   文部科学省などに「碍」の常用漢字化を要望してきた、NPO法人日本障害者協議会(東京都新宿区)の藤井克徳代表は、個人的な見解としながら、宝塚市の姿勢を「常用漢字化への一歩で、歓迎したい。『害』よりも改善したのでは」と前向きにとらえた。

   藤井さん自身も視覚障害者で全盲。「『害』の字をひらがなにする動きはあるが姑息。障害児のことを『がいじ』と言ったり、音でも悪いイメージがある」と強調。そのうえで「『しょうがいしゃ』とか『しょうがい』という音も含め、よくないイメージがあるので、『障壁の多い人』などとする表記の開発を求める」とした。

 

   同会の佐藤久夫理事も個人的な見解ではあるが、宝塚市の姿勢を歓迎。「碍」の常用漢字表への追加を検討するよう委員会で決議が上がる前から、一部の国会議員に「何とか石偏をつかった『障碍』に変えたい」と話はしてきた。「障害者への理解が徐々に変わっていく力になるのでは。表現の在り方の議論に大きな影響を与えることが期待される」

    漢字表記の在り方を一歩引いた目線でみる団体も。障害者らでつくるNPO法人DPI日本会議(東京都千代田区)事務局の崔栄繁(さい・たかのり)さんは、団体全体の考えとして、「『害』の字を変えたところで、何も本質的なものは変わらないのでは」と指摘した。「当事者のなかには『障害』という文字自体がいやだという方もいっぱいいるが、排除や差別の原因をつくっているのは社会の側。社会の責任が見づらくなる恐れがある」と強調。そのうえで、「変えたい方々の気持ちを否定しないが、障害者はかわいそうな人たちという今までの強い考えに周りがますますとらわれる懸念があり、(差別意識が)温存されてしまうのでは」と疑問を呈した。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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