2019年 3月 22日 (金)

クイーンズ伊勢丹で「福島フェア」 産地に寄り添うバイヤーが消費者に伝えたいこと

印刷

   首都圏中心のスーパーマーケット「クイーンズ伊勢丹」が、福島県産の食料品を応援している。

   2011年3月11日の東日本大震災と、直後の福島第一原子力発電所の事故から、まもなく8年。その影響で大打撃を受けた福島県の畜産業や農業は、年月をかけて少しずつ元の姿を取り戻しつつあるが、その半面、いまだ風評被害が残るのもまた事実だ。

   クイーンズ伊勢丹といえば、「高品質」で「逸品」といわれる食材をそろえる食品スーパー。来店するお客も舌の肥えたグルメが少なくない。選りすぐりの福島牛と福島米に関して、生産者の思いを、自ら福島に足を運んだ目利きのバイヤーに語ってもらった。

  • 福島県産を応援する「クイーンズ伊勢丹」(写真は、笹塚店)
    福島県産を応援する「クイーンズ伊勢丹」(写真は、笹塚店)

福島牛の安全性、「消費者に届けて」と丁寧に説明

食べていただければ、味のよさはすぐにわかると思います。まずは試食していただいて、味を知っていただくのが第一歩かなと思っています

   クイーンズ伊勢丹で畜産担当バイヤーを務める伊達洋輔さんは、福島県産牛肉の味に自信をみせた。

「味のよさはすぐにわかります」と、福島牛について語る伊達洋輔さん
「味のよさはすぐにわかります」と、福島牛について語る伊達洋輔さん

   2019年2月21日~24日、クイーンズ伊勢丹では「福島フェア」を開催。東京、神奈川、埼玉、千葉の14店舗で、福島県を代表する食料品である牛肉やコメなどが店頭に並んだ。今回のフェアで、福島県産の牛肉は「7頭分が販売された」と、伊達さんはいう。

   「福島県産について、消費者が抱いている誤解を解きたい」と、伊達さんは語る。福島県では、出荷する牛の全頭検査を現在も続けている。安全性が確認された牛肉のみが流通しているのだが、それでも消費者の中には心配する人も、まだいるという。

   伊達さんは、福島県を訪れて、畜産家などから直接話を聞き、放射性セシウムの検査体制などを見学してきた。畜産家からは、牛の肥育方法について丹念に説明してもらった。その会話の中で、たとえば干し草をはじめとする牛のエサは震災後、屋根付きの場所で保管するなどの工夫が施されていることがわかった。

   畜産家らの「安全・安心」のための努力は止むことがない。そのことを、伊達さんは消費者に販売する、クイーンズ伊勢丹の各店舗の責任者にしっかりと丁寧に説明した。

   福島フェアを前に行った各店舗の責任者を集めた会議では、「やはり、お客様から安全性について聞かれることがあるとの声がありました。そこで、生産者の『安全・安心』のための努力が続けられていることを説明して理解を求めるとともに、実際に『福島』という産地名を出したうえで、『自信を持って販売してください』『お客様に産地を聞かれたらちゃんと答えてください』と伝えました」と、伊達さん。

最近は生産者の方が減少傾向にあるので、産地を保護しながら販売していかないと、どんなにおいしい牛肉も口に入らなくなってしまいます。福島牛も廃れてしまってはいけないと思うんですよ
「発見!ふくしま」福島牛を展開するクイーンズ伊勢丹の店内
「発見!ふくしま」福島牛を展開するクイーンズ伊勢丹の店内

   2月21日、福島フェア初日に笹塚店を訪ねた。「福島の美味しい牛肉いかがですか。4日間の限定フェアです」と、威勢のよいかけ声が響いていた。

   福島牛のひれステーキ肉を買った60代の女性は、「お肉が好きで、私は見る目はあると思うの。もともと福島牛は肉質がいいのを知っているし、しっとりやわらかそうで、サシもほどよく値段も手頃だから選んだのよ」と、笑った。

お米バイヤーが語る「全袋検査」の苦労

平出真吾さんは福島のコメ農家の苦労を、丁寧に説明した
平出真吾さんは福島のコメ農家の苦労を、丁寧に説明した

   「福島フェア」では牛肉とあわせて、コメの販売も行われた。店頭に並ぶのは福島県産「ミルキークイーン」だ。クイーンズ伊勢丹でコメの仕入れ担当者を務めて3年目になる平出真吾さんは、2018年9月に産地を訪問。そこで、農家の人たちがコメの安全性のために努力している姿を目の当たりにした。

お米を5キロの袋に詰めた後、その1袋1袋を放射性物質の測定機に通して検査します。『全袋検査』です。他県よりも多く労力がかかっているわけです。生産者の方は高齢の方が多く、袋を検査機のベルトコンベヤーに乗せるのもひと苦労なんです。『そろそろ腰が......』とおっしゃる方もいます。それでも1袋1袋、真っ正直に取り組んでいるのです

   牛肉と同様、全袋検査は福島県のコメ農家にとって、風評被害を払拭して「安全・安心」を証明するために欠かせない作業なのだ。

   そんな苦労が実り、クイーンズ伊勢丹に並んだ福島県産「ミルキークイーン」。その味に、平出さんは、

ミルキークイーンは粘り気が強く、もっちりとした食感が楽しめます。また、冷めても味が落ちないので、ふつうに炊いて食べるのはもちろん、お弁当やおにぎりにも向いています

   と、語る。

福島県産「ミルキークイーン」の味は、米どころの新潟県産にも負けていない
福島県産「ミルキークイーン」の味は、米どころの新潟県産にも負けていない

   コメ市場は相次ぐ「ブランド米」の登場で大激戦。福島県産のミルキークイーンは、「今のところ、ネームバリューは新潟県産に差をつけられていますが、味はまったく遜色ないので、広めていけたらと思っています」と、自信をみせた。

   フェアは、多くのお客様が福島牛やミルキークイーンを手に取られ、活気に満ちていた。 「よいものをお届けしたい」というバイヤーの想いは着実に届いている。

今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!
姉妹サイト
    loading...
J-CAST会社ウォッチ会員向けセミナー
しごとの学校
  • 「無期転換ルール」、新たな「働き方」は軌道に乗っていますか?

  • 追悼
    J-CASTニュースをフォローして
    最新情報をチェック