2019年 4月 18日 (木)

業界の「常識」に挑むZIPAIR 「長距離は採算取れない」覆せるか

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   日本航空が2020年の参入を目指す格安航空会社(LCC)、「ZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)」。成田~バンコクと成田~ソウルの2路線でスタートし、早ければ2021年にもアジアと北米を結ぶ航空業界初のLCCを目指す。

   これまで長距離のLCCは採算がとりにくいとして、アジア~北米間では就航していない。果たしてLCC後発のZIPが新たなビジネスモデルを成立させることができるのか注目される。

  • 3月8日の記者会見の様子
    3月8日の記者会見の様子

「太平洋を渡ったLCCはないので...」

   ZIPAIR Tokyoは日航の100%子会社だが、これまでの日航子会社と異なり、JALのロゴや「鶴丸」のマークは使わなかった。ブランド名「ZIPAIR」の「ZIP」は「矢などが素早く飛ぶ様子を表す英語で、フライトの体感時間が短いエアラインであることを表現している」(西田真吾社長)という。ZIPは英語の「ZIP CODE(郵便番号)」にもつながり、「様々な場所に行ける」というイメージも込めている。日航グループとして、フルサービスの日航と異なり、独立したLCCブランドとして棲み分けを図った格好だ。

   ZIPは成田空港を拠点に、当初は日航から譲り受けたボーイング787型の2機体制2路線でスタートするが、西田社長は3月8日の記者会見で「年に2機ずつ増やしていきたい」「太平洋を渡ったLCCはないので、パイオニアを目指したい。東南アジアから日本を経由して太平洋を渡ることも考えている」と力を込めた。例えば、バンコク発成田経由で北米に飛ぶような長距離LCCだ。

   これまでLCCは小型機を用いてなるべく空席をなくし、最大でも3~4時間程度の近距離を何度も往復することで運航効率を高め、低価格を実現させてきた。日本では国内線はもちろん、中国や韓国など近距離の国際線がこのビジネスモデルに当たる。ところが飛行時間が4~6時間程度の中距離、それ以上の長距離になると、小型機では航続距離が短いため中型機を用いることになるほか、一日に同じ区間を何度も往復するのが困難となる。「国際線で飛行時間が長くなればなるほど、LCCは成り立ちにくい」というのが、これまでの航空業界の常識だ。

損益分岐点は「6時間以下」ともいわれるが

   今回ZIPが参入する成田~バンコクは6~7時間の中距離だが、既にタイ・エアアジアXなど海外のLCCが複数就航している。ここにZIPが中型機の787を使って参入するのは、ライバルを研究し尽くしたうえ、十分に勝算があってのことだろう。

   LCCとして最大の注目ポイントである価格設定について、西田社長は「日航などフルサービスキャリアの半分のイメージだ」と明言。「タイ・アジアXなどに価格で負けないようにしたい。日本の航空会社として、品質とサービスのバランスをとっていきたい」と述べた。

   問題は西田社長が早ければ2021年の就航を目指す北米路線だろう。日本を含むアジアから太平洋を渡ってロサンゼルスやニューヨークなど北米を結ぶLCCはこれまで存在しない。ZIPはLCCとして、初めてアジアと北米を結ぶことで、先行するライバルとの違いを出そうとしている。国内で最大のライバルであるANAホールディングス(HD)も、傘下のLCCピーチ・アビエーションが2020年度に日本と東南アジアを結ぶ中距離路線に進出する予定だからだ。

   日航としてはLCCで先行するANAHDに対抗するためにも、後発のZIPをピーチとは違うLCCに育てる必要があり、それが北米を含む中長距離路線というわけだ。西田社長は北米など中長距離路線について「我々にはチャンスがあると期待している」という。しかし、航空業界でLCCの損益分岐点は飛行時間6時間以下という見方もあり、果たしてZIPが公約通り、LCC初のアジア~北米路線を成功させられるかは予断を許さない。

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