2024年 4月 25日 (木)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
大阪は発展しているのか この10年を「雇用と景気」で読み解く

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   大阪府市のダブル選挙で、これまで大阪の成長が議論になっている。これまで成長してきたのか、これらをどうするのかだ。

   政治家の選び方として、経済運営は重要だ。筆者はそのポイントを(1)雇用、(2)景気、と考えている。要するに職がありその上で給料が高いほうがいい。そのためには、(1)は失業率、(2)は景気動向指数でみるのが簡単だ。

   そこで、具体的に大阪を考えてみよう。地方を見る場合、ベンチマークとして全国をとり、全国の動向と比較する。

  • 大阪はどう変わったか
    大阪はどう変わったか
  • 大阪はどう変わったか

失業率は全国より高いが...

   失業率では、大阪府は全国より高い。しかし、2000年から07年まで大阪府は全国より平均1.9%ポイント高かったが、08年から18年までは同1.0%ポイントだった。つまり、全国的に失業率が低下する中、大阪府は全国より大きく低下した。失業率の低下は治安などをよくする副次効果もある。筆者のツイッターの図を参照してほしい。

   景気動向指数については、筆者が大阪は全国よりいいと書いたら、維新の足立康史衆院議員は、ツイッターで都市部の神奈川県と愛知県を加えてくれた。こういうのは、SNSのいいところだ。

   これに対して、「基準時点を2009年3月にすると近畿圏のほうが大阪府より経済で勢いがある」という意見がでてきた。

   しかし、景気動向指数で基準時点の変更によって結論が変わることはない。一応チェックしてみたら、基準時点を2009年3月にしてみても、目の錯覚を誘うところもあるかもしれないが、やはり大阪は、全国よりいいのみならず、近畿圏よりもいい。

   「大阪府が近畿圏に引っ張られてよくなった」という解釈もあるようだが、計量分析では、大阪府の経済は近畿圏より1割程度勢いがある。大阪府の近畿圏の経済ウエイトも考慮すると、むしろ、大阪府が近畿圏を引っ張っているといえるのではないか。このあたりの技術的な計量分析も含めて筆者のツイッターに書いている

「住みやすい都市」世界3位に

   こうしたデータからもわかるように、ここ10年間で大阪は確実に発展してきていると思う。これは、海外からみてもいえるだろう。

   例えば、イギリスの有力経済誌であるエコノミスト誌の調査による世界の住みやすい都市ランキングがある。この調査は海外でしばしば引用されるが、(1)治安、(2)健康、(3)文化・環境、(4)教育、(5)インフラの5つの観点から、世界140都市を評価しランキングをつけている。その2018年ランキングで、大阪が3位になったのだ。08年は13位だったが、この10年間で治安面の評価が上がったからだ。これは、イギリスの公共放送BBCでも取り上げられた

   これに加えて、今年19年6月のG20や2025万博も来るし、IR(統合型リゾート施設)法も成立し大阪がIR地区に指定されるのは確実だろう。その中で、関空、夢洲(万博、IR)、京都の動線も計画されており、これからも大阪の発展のポテンシャルは高いだろう。

   これまでの発展や今後の発展を築いた政治家を選ぶのか、10年前に戻りたい政治家を選ぶのか。大阪府民、市民の賢明な判断が求められている。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『消費増税』は嘘ばかり」(PHP新書)、「この数字がわかるだけで日本の未来が読める」(KADOKAWA)など。


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