2019年 12月 9日 (月)

苦闘のメガバンク、対症療法では限界 トップから「厳しさ」強調する声相次いだ理由は

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   メガバンクが業績の落ち込みにあえいでいる。経営環境が厳しさを増し、本業で利益が上げられないなかで、問われているのはいかに事業構造を転換していくかだ。

   大手銀行5グループの2019年3月期連結決算は、本業のもうけを示す実質業務純益が合算で前期比13.2%減の1兆7916億円と4年連続減、最終(当期)利益も同24.0%減の2兆449億円で2年ぶりの減少になった。

  • 危機感は業界全体が共有する(イメージ)
    危機感は業界全体が共有する(イメージ)

「利回りが反転するような妙手はない」

   いずれも三井住友トラストホールディングス(HD)が増益だっただけで、4グループが減益。業務純益では三井住友フィナンシャルグループ(FG)が三菱UFJ FGを抜いてトップに立った。

   収益の低迷の主因は、日銀のマイナス金利政策で利ざやが縮小していることだ。日銀は現行の金融緩和を「少なくとも2020年春ごろまで」続けるとしているが、景気状況などから来春に終わるとの見方は皆無で、まだまだ超低金利、ゼロ金利が続くのは確実。決算発表したトップからは「利回り(貸出と預金の金利差)が反転するような妙手はない」(三毛兼承・三菱UFJ FG社長)、「利ざやの回復は当面見込めないので、手数料ビジネスの強化などに引き続き取り組む」(大久保哲夫・三井住友トラストHD社長)と、厳しさを強調する声が続出した。

   内外の金融市場の混乱も苦戦に拍車をかけた。2018年末の株価急落などで株式や上場投資信託(ETF)の運用益が減少し、米国債などの運用が不振だったほか、個人投資家向けの投資信託の販売も低調だった。ちなみに、運用などを担う市場部門では、三菱UFJ FGが業務純益を883億円、みずほFGが1994億円、それぞれ押し下げ、プラスだった三井住友と明暗を分けた。

   厳しい経営環境が続く中で、各グループが合理化に努めたのも今回の決算の特徴だ。みずほFGは統廃合で閉鎖する店舗や次期システムの償却前倒しなどで約5000億円の損失を計上したほか、三菱UFJ FGは傘下の三菱UFJニコスが決済システムの開発を中断しあおりで約940億円、三井住友トラストもシステム関連などで190億円の損失を処理した。

フィンテック企業との連携は「不可欠」(大手紙論説委員)

   各グループは本業低迷の中、こうした構造改革の手を緩めるわけにはいかない。みずほFGが決算とともに発表した5年間の中期経営計画では、2024年度までに130店舗を減らすとして、2017年にまとめた従来目標の100店舗から3割上積みし、2026年度までに2017年3月比1.9万人の人員を減らす方針を維持した。三菱UFJ FGは2023年度末までに100店舗の予定だった店舗の削減幅を180店舗に拡大するとともに、同じ時期までに約9500人分としていた業務量削減目標を、想定よりも効率化が進んでいると判断して1万人分超まで増やす。三井住友FGも、2019年度末までに4000人分としていた業務量の削減を5000人分弱に上積み。りそなHDの東和浩社長は「事務量を半減させて店舗当たりの人員を減らす」と述べている。

   経費率が特に高い個人相手の合理化として、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は店舗外のATMを相互開放し、重複する拠点でATMを廃止する協議を進めている。

   ただ、こうした「対症療法」では限界があるというのが業界の共通認識だ。重要なのはデジタル技術を駆使して金融とITを融合させた「フィンテック」という新時代の金融技術への対応だ。仮想通貨によるゼロコストの送金の拡大などへの対応は待ったなしで、「フィンテック関連企業との連携を含めた戦略の構築が業績立て直しに不可欠」(大手紙経済担当論説委員)といえそうだ。

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