2019年 10月 19日 (土)

ハイブリッドの速さと強さでトヨタがル・マン24時間連覇

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   今年が87回目という長い歴史をもつ伝統のル・マン24時間レースで、TOYOTA GAZOO Racingが昨年に続く二連覇を達成した。しかもS.ブエミ、F.アロンソ、中嶋一貴が駆る8号車が優勝、M.コンウェイ、小林可夢偉、J.M.ロペスの7号車が2位という1-2フィニッシュでの勝利である。

   その結果、7号車はこのル・マン24時間レースが含まれるWEC(世界耐久選手権)の2018-2019スーパーシーズンのワールドチャンピオンも獲得した。中嶋一貴選手は、サーキットレースに於ける日本人初のワールドチャンピオンとなったのだ。

   世界でも有数の、この過酷なレースにTOYOTA GAZOO Racingが参戦する意義は、枚挙にいとまがない。その中でも技術的にもっとも大きいのは、トヨタが世界に誇るハイブリッド技術を用いたマシンで戦うことができるということである。

   まさにハイブリッドを世界に広めた存在であるプリウスのイメージは強く、世間ではハイブリッドと言えば優れた燃費を実現するための技術だというイメージが圧倒的だと言っていいだろう。それはもちろん間違いではないが、ハイブリッドにはそれだけには留まらない様々な可能性が秘められていると、TOYOTA GAZOO Racingは確信している。それは、たとえば比類の無いパワー、圧倒的なレスポンスといった速さに繋がるスポーツ性能、そしてまさに24時間で5千kmを走り切る耐久性、信頼性といった強さの部分だ。

   ル・マンそしてWECを戦い、制したマシン、トヨタTS050ハイブリッドは、まさにハイブリッドの高効率性と速さ、強さを併せ持ったマシンである。WEC最高峰のLMP1と呼ばれるカテゴリーは純エンジン車との競争となるが、今回のル・マンでTS050ハイブリッドは、まず予選でライバル勢を突き放す速さを披露し、1-2体制を築きあげる。そして決勝も常に7号車と8号車入れ替わりつつ終始リード。しかも純エンジン車に対して4割近くも良好な燃費を発揮する強みをフルに活かして、1度の給油ごとに、全長13.629kmのコースをライバルより1周多く走り切ることで、ピットイン回数も少なく済ませることができた。こうして、まさに速さと強さ、高効率性のすべてを発揮することで、24時間後に見事、1-2フィニッシュでの勝利をモノにしたのだ。

   こうしたモータースポーツで得られるものは、きわめて膨大である。極限で戦うレースでは市販車の通常の使用環境ではまず起こりえないような様々なトラブルが発生し、しかもそれにすぐに対処しなければならない。ライバル達もマシン開発を続け、進化している以上は、こちらもレースごとにマシンを改良していく必要がある。何年かに1度モデルチェンジを行なう市販車とは時間感覚がまるで異なる。

   要するにこれは、"カイゼン"が物凄いサイクルで行われるということ。技術も、人も、否応無しに成長することとなる。これもまた、TOYOTA GAZOO Racingがレースを戦う理由なのだ。

レースは「カイゼン」の最良の舞台 この経験が市販車を進化させる

    今回のル・マンでは、決勝レースに先立って主催者から大きな発表があった。現在、TOYOTA GAZOO Racingが参戦している最高峰クラスが、2020年秋に開始される2020-2021年シーズンより、高性能・少量生産の市販車をベースとするマシンで争われる通称ハイパーカーによって争われることが決定したと明らかにされたのである。

   TOYOTA GAZOO Racingは、それに呼応するかたちで、この新たなトップカテゴリーへの参戦を宣言した。新たな戦いの始まりだ。

   参戦するマシンは、昨年の東京オートサロンでプロトタイプが披露されたGRスーパースポーツ(仮称)をベースとする。このマシンは、まさにTS050ハイブリッドによるル・マン、WEC参戦で培った技術やノウハウをフルに投入して現在開発が進められている。つまり市販車をベースにすると言っても、それは量産車をレース仕様に改造するのとはまったく異なり、むしろレーシングカーを公道が走れるかたちとして市販すると表現するべきだろう。サーキットと市販車をこれまでにないほどダイレクトに結びつける存在であることは間違いない。

   そう、TOYOTA GAZOO Racingが目指すのはレースを戦い、そして勝ち、そこで培った技術やノウハウを反映した市販車として世に送り出すレーシングカンパニーとしての姿だ。それは、従来のトヨタの常識を壊していく挑戦でもある。

   ル・マン24時間の二連覇は、その壮大なストーリーの序章に過ぎない。これから先のTOYOTA GAZOO Racingの動き、ますます目が離せないものとなりそうだ。

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