2019年 11月 23日 (土)

安倍氏へのヤジは「演説妨害」だったのか 札幌「排除」問題、警察OBと弁護士の見解割れる

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   参院選にかかる札幌市での応援演説に立った安倍晋三首相(自民党総裁)に野次を飛ばした聴衆を警察が「排除」した問題が波紋を広げている。少なくとも2人がその場から移動させられたが、専門家の目にはどう映るのか。論点の1つは、今回の野次が、公職選挙法が禁じる「演説妨害」にあたるかどうかにありそうだ。

   元千葉県警警部の田野重徳氏は、「演説妨害」に該当し得るとし、「私が警察官として当事者であっても、同様の措置を講じます」と警察の行為を支持した。一方、弁護士法人・響の藤田圭介弁護士は聴衆が演説を妨害したとは言えないと思われるとして、警察の行為を「不当な弾圧ととられかねない」と指摘する。元北海道警察警視長の原田宏二氏も「野次すら言ってはいけないのであれば、民主主義は成立しない」と強く問題視した。

  • 安倍晋三氏(2019年6月撮影)
    安倍晋三氏(2019年6月撮影)

「この状況で何もしない警察官の方がバッシングを受けると思う」

   安倍氏は2019年7月15日、JR札幌駅前で選挙カーの上に立って演説。駅前には広場があり、総裁が応援に駆け付けたということで100人単位の聴衆が集まった。インターネット上には野次の現場を撮影した動画が複数投稿されている。

   ある男性は、安倍氏が立つ選挙カーから7~8メートルほど離れた歩道で「安倍辞めろ。帰れ。帰れ。安倍帰れ」と大声を飛ばした。10秒ほど続いたところで、制服警官や私服警官とみられる5~6人が男性を取り囲み、肩をつかみながら、選挙カーから遠ざけるように移動させた。その間も男性は「安倍辞めろ」と連呼していた。

   別のある女性はこの歩道の後ろにある広場で、「増税反対」と何度も叫んだ。同様に警官5~6人に取り囲まれ、後ろへ移動させられた。いずれも拡声器や楽器などの道具は使っていなかった。集団でもなく、それぞれ1人での野次だった。

   元千葉県警察刑事課長警部で犯罪評論家の田野重徳氏はJ-CASTニュースの取材に、今回のケースについて、「私が警察官として当事者であっても、同様の措置を講じます。この状況で何もしない警察官の方がバッシングを受けると思います。本件は、動画を見る限り『促されての退去』と認められます」と道警の行為を支持する。

「動画にて確認したところ、自民党総裁が参院選の応援演説を行い、その内容を多数の聴衆が立ち止まり聞き入っている場です。聴衆は総裁の政策について、直に自己の耳で聞き、今後の支持・不支持を決定しようとする滅多にない場面であり、投票先の選択を熟慮する場面です。

その様な場所で、大きな声で罵声を何度もあげる行為は、聴衆が総裁の演説を聴き取ることが困難となる恐れがあり、公職選挙法第225条が禁じる選挙の自由妨害に当たります。(警察の)本行為は、同条違反者に対する、警察官職務執行法5条に基づいた制止と考えます。

警察の責務は警察法2条で示すとおり、公共の安全と秩序の維持に当たることです。国民が警察に期待する常識的職務として、この罵声をあげている人に対して何らの制止行為を行わなければ、その責務は達せられません」

   野次の聴衆を移動させた道警の行為は、刑法194条が禁じる特別公務員職権乱用罪にあたり得るという指摘もある。だが田野氏は、これに懐疑的な見解を示している。

「最高裁判例(1948年12月24日)で『選挙の演説妨害とは、聴衆がこれを聞き取ることが不可能または困難ならしめる様な行為』と判示していますので、本件においても構成要件該当性があると考えます。警察がしたのは違法行為に対する制止行為ですので、特別公務員職権乱用に該当することなく、適正な職務行為と考えます。動画を確認するも、必要以上の実力行使並びに加虐行為はなく、促しながらの制止・退去と認めます」
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