2019年 10月 18日 (金)

論争呼ぶあいちトリエンナーレ 焦点の「表現の不自由展・その後」には何が展示されているのか

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   愛知県内で始まった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、慰安婦問題にちなんだ「平和の少女像」などが展示され、論議を呼んでいる。

   表現の自由をうたう一方、撤去を求める動きも出てきた。一体どんな内容なのだろうか。

  • 「表現の不自由展・その後」の公式サイト
    「表現の不自由展・その後」の公式サイト

15年の「表現の不自由展」の続編

   物議を醸したのは、名古屋市内の愛知芸術文化センターで開かれている企画展の1つ「表現の不自由展・その後」だ。

   東京都内のギャラリーで2015年にあった「表現の不自由展」の続編という形を取っている。この展示会は、日本で表現の自由が脅かされているとの危機感から、検閲や忖度で展示できなかったり撤去されたりした作品を集めたという。続編では、その後に同様なことになった作品も加えて展示した。トリエンナーレは、2019年8月1日から10月14日まで開催される予定。

   続編で展示されているのは、二十数点の作品。「平和の少女像」は、韓国の彫刻家夫妻が制作した。これは、在韓日本大使館前などに置かれているのとほぼ同じだ。関連作品として、東京都美術館で12年に展示された後に撤去された少女像のミニチュアも並べられている。

   また、「昭和天皇と推定できる」との解説が付いた嶋田美子さんのエッチング作品「焼かれるべき絵」も展示されている。版画を一部焼いてあり、顔の部分が剥落したものだ。この展示では同時に、昭和天皇の肖像を燃やしたような映像も流されている。

   このほか、「九条守れ」などと書にした作者非公開の俳句作品や、米軍ヘリが墜落する様子を連想させる岡本光博さんのシャッター画「落米のおそれあり」などが展示されている。

   あいちトリエンナーレは、愛知県や名古屋市などでつくる実行委員会が主催し、県や市が負担金を拠出しているほか、文化庁からも補助金が出ることになっている。

開催初日だけで電話・メールは200件

   ネット上では、公的なイベントに慰安婦問題など政治的なものを持ち込んだ展示はふさわしくないのではないかとの疑問も相次いでいる。実行委事務局の広報担当者にJ-CASTニュースが取材したところでは、8月1日の開催初日だけで、少女像などについて疑問や批判の電話やメールが約200件も寄せられた。

   名古屋市の河村たかし市長は、この日の一部取材に「表現の不自由展・その後」の展示を問題視する発言をし、2日に現地を視察して報道陣の囲み取材に答えた。「公的資金を使った場で展示すべきではない」などと述べ、実行委会長の大村秀章愛知県知事に対し少女像などの撤去を求める考えを示した。

   市の文化振興室は2日、大村知事に対し書面で抗議文を出したことを取材に明らかにした。そこでは、「日本国民の心を踏みにじる行為であり、許されない。行政の立場を越えた展示が行われていることに厳重に抗議するともに、即時天皇陛下や歴史問題に関する展示の中止を含めた適切な対応を求める」としている。

   菅義偉官房長官も、2日の会見で、「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」などと述べた。文化庁の地域文化創生本部は、「事実関係を確認しており、今後対応を検討していきたい」と取材に答えた。

   あいちトリエンナーレでは、ジャーナリストの津田大介氏が芸術監督を務めている。津田氏は1日、ツイッター上で次のように説明している。

「あいちトリエンナーレ実行委員会も、表現の不自由展実行委員会も、僕も『表現の不自由展・その後』に展示されている作品に対して何らかの賛否を述べるものではありません。来場者に実物を見ていただき、表現の自由を巡る状況に思いを馳せ、議論のきっかけにしたいということが展覧会の趣旨です」

   一方で、事務局への電話が殺到していることなどを受けて、津田氏は2日夕に会見を開き、「今後、展示の変更も含め、何らかの対処を行うことも考えています」と説明した。事務局の広報担当者は、取材に対し、名古屋市からの抗議への対応について、「どうするか検討中です」と答えた。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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