2024年 4月 25日 (木)

インスタ映え?撮影→8割食べ残しの非常識客 被害のジビエ料理店は「出禁」を決めた

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   大阪のジビエ料理店で、人数分以上の料理を注文した客がスマートフォンで写真を撮ってから大量に食べ残していったとして、店側がツイッターで「ご予約もご入店もお断りしたいと思いました」と「出入り禁止」を宣言した。

   店主はJ-CASTニュースの取材に、写真撮影やSNS投稿自体は「全く問題ない」としている。その上で「ただ、食事のためでなく写真だけのために注文してほとんど手を付けずに残されるのは本当にとても悲しい、残念な気持ちになります」と率直な思いを吐露した。

  • 「なんば赤狼」のツイッター投稿より
    「なんば赤狼」のツイッター投稿より
  • ジビエ料理に使う、お手頃サイズという「ワニの足」(写真提供:なんば赤狼)
    ジビエ料理に使う、お手頃サイズという「ワニの足」(写真提供:なんば赤狼)
  • ジビエ料理に使うシカとイノシシの肉(写真提供:なんば赤狼)
    ジビエ料理に使うシカとイノシシの肉(写真提供:なんば赤狼)
  • 「なんば赤狼」のツイッター投稿より
  • ジビエ料理に使う、お手頃サイズという「ワニの足」(写真提供:なんば赤狼)
  • ジビエ料理に使うシカとイノシシの肉(写真提供:なんば赤狼)

「命を貰ってその肉で生計を立てる者として、こんなに悲しい事はありません」

   この店は大阪・千日前に店舗を構えるジビエ料理店「なんば赤狼」。ツイッターで2019年8月16日未明、

「3人で来て5人前の料理を注文、更に追加注文して大量の料理を前にスマホで写真だけ撮り8割り方残して行かれた方には流石に今後料理をお出ししたくないのでご予約もご入店もお断りしたいと思いました。お金を払ったらインスタ映えの為に料理を大量に残しても構わないと思っている方々は御遠慮下さい」

と丁寧な言葉遣いで事の顛末を投稿した。続けて、

「命を貰ってその肉で生計を立てる者として、こんなに悲しい事はありません。Twitterを見てお電話頂いた方ですが、お顔は覚えておりますので今後ご入店はお断り致します」

と悲痛な胸の内も吐露している。

   冒頭の投稿は3万件リツイート。リプライは500以上届き、「作る側の人間なのでお気持ちはよく分かります」「確かに映えるお料理ではありますが...かと言って喰わないのは問題外ですね」「張り紙で残すの禁止と書いてない以上、その人達の行動に問題はないと思います ただなんば赤狼のさんの考え方とても大好きです」などの声が寄せられた。

   さまざまな意見がある中、同店は16日早朝にもツイッターを更新し、

「店主の私は山の恵みで育った田舎者です。食べ物を粗末にする事がどうしても見に刷り込まれて受け付けません。命を戴き生かされている、骨から肉を外し血とその肉に触れて自身が別の命から生計を立て、またそれらを食べて生かされていると考えています」(原文ママ)

と自身の飲食店主としての考えを明かした。「店主はお肉が好きでジビエやワイルドミートを沢山の方に食べて頂きたい人間です」としておすすめメニューもあげる。また19日現在も、届いたリプライ1つ1つに返信を続けている。

「こんな小さな個人店にまで今回の様な事が起きるとは...」

   「ジビエ」はシカやイノシシ、カモなどに代表される野生鳥獣の食肉で、近年はジビエ料理の専門店を目にする機会も多いだろう。18年には農林水産省が利用拡大をねらい、衛生管理基準などを満たした食肉処理施設を対象とした「国産ジビエ認証制度」を創設。認知度と人気が高まっている。牛・豚・鶏肉に比べて目にする機会の少ないジビエ料理は、いくらか物珍しさもあってSNSへの写真投稿は数多い。

   「なんば赤狼」は14年にオープンした25席ほどの個人店だ。ツイッターのダイレクトメッセージを通じて20日、J-CASTニュースの取材に応じた店主・弥富マハさん(39)によると、大量に食べ残した客グループは40代半ばほどの男性と、20代後半ほどの女性2人の計3人。今回ほど残した客は「開業以来5年間でほとんどいませんでした」というものの、ここ2年ほどで2~3人ほどながら見掛けるようになったた。そのため、

「あまり頻繁にでもなく、今回の様に大量とまではいかないものの、写真を撮るだけでほとんど半分も食べずに携帯をいじってお喋りしている方について、出入り禁止はすべきかは思案中でした」

と明かす。

   ツイッターに「出禁宣言」を投稿したのは、

「昨今のネットに流れる、写真映えの為に増える大量の食べ残しについて、料理人としても個人としても腹立たしく感じておりましたが、こんな小さな個人店にまで今回の様な事が起きるとは...」

と昨今の風潮に辟易していたこともある。その上で、

「正直店主の本音としては食べ物を粗末にする人に対してめちゃくちゃムカついたのでほぼ愚痴をツイートした次第です」

と料理店主として忸怩たる思いがあったことを明かした。客グループに何か伝えたいことはあるか聞いたところ、「言いたい事はいくつかありますが、店主の本音はここに書ける言葉でもないので控えさせて頂きます」とのことだった。

写真撮影・SNS投稿「問題ありません」

   弥富さんは「写真撮影もインスタもTwitterもFacebookも投稿して頂いても全く問題はありませんし、わいわいと楽しくお食事して頂けると嬉しいです」と、料理を撮ったりそれをSNSに投稿したりすることには寛容だ。それでも、

「ただ、食事のためでなく写真だけのために注文してほとんど手を付けずに残されるのは本当にとても悲しい、残念な気持ちになります」

と率直な思いを吐露する。

   ツイッターでコメント1つ1つに返信を続けているのは「『生きる事は食べる事、食べ物を食べる事は尊い命を戴く事』という事を、しっかりと自分の頭で考えて自分の言葉で応えて下さった方々への誠意です。反響については正直驚きましたが、『いただきます』の意味をきちんと知っている人がこんなに沢山居る事を知る事が出来て料理人冥利に尽きます」という料理人としての感謝から。自身もジビエが大好きだといい、

「沢山の人にジビエやワイルドミートの美味しさと、尊い命を戴く事に『いただきます』を次の世代に繋げて行ければと思っています」

と願いを明かした。

   今回残された料理を写真に撮ったかどうかについて、ツイッターユーザーのリプライに答える中で弥富さんは「残された料理の写真を撮ろうか悩みましたが、あまりにも辛過ぎて載せる事がストレスになりそうなので『ごめんね』と謝りながら廃棄しました」と悲しげにつづっている。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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