2019年 12月 16日 (月)

楽天「キャリア参入」小さくスタートへ 出鼻をくじいた「基地局整備」の壁

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   楽天傘下の楽天モバイルが2019年10月から20年3月末までの間、一部エリアの5000人を対象にして無償の携帯電話サービス「無料サポータープログラム」を提供する。話題を呼びそうなキャンペーンではあるが、記者会見する楽天の三木谷浩史会長兼社長には、忸怩たる思いがあった違いない。

  • 「無料サポータープログラム」が始まる
    「無料サポータープログラム」が始まる

整備できた基地局は、計画の6分の1程度

   そもそも楽天は、自前で通信回線を持つ携帯電話事業に参入して、2019年10月から商用サービスを展開する予定だった。当初は東京、名古屋、大阪を中心とした大都市部は自前の通信網で賄い、それ以外の地域はKDDIから通信網を有償で借りてスタートし、全国に自前の通信網を拡大していく計画だった。しかし、大都市圏で基地局の設置が遅れ、10月の時点で通信量が膨大になる商用サービスには耐えられないと判断して、規模を限定して始めざるを得なかったのだ。

   大都市部で基地局の設置が難航しているのは、先行するNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手携帯電話キャリア(事業者)3社の基地局が既に多数あるからだ。一般的には民間のビルの屋上などを借りて設置するが、既に他社の基地局があると混線の恐れもあり、適切な設置場所が少ないという。

   楽天は18年4月に携帯電話事業の認可を受ける際、20年3月末までに大都市部に3432の基地局を設置する計画を総務省に示し、電波の割り当てを受けたが、19年9月5日時点で整備できた基地局は計画の約6分の1程度にとどまっているという。総務省も8月までに設置を急ぐように計3回の指導をしており、懸念は現実のものとなった。

携帯業界を作った「カリスマ起業家」たち

   これまでに楽天が展開してきた携帯電話事業は、既に通信網を持つ大手携帯電話会社から通信回線を有償で借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)だった。自前の通信網を持てば通信料金の設定がより自由になり、1億を超える会員を抱える楽天のさまざまなサービスと連携させれば、大手3社で寡占状態となっている国内携帯電話市場に風穴を開け、価格競争が活発になると見込まれていた。政府も後押ししており、そこには携帯電話料金の値下げに熱心な菅義偉官房長官の意向もあったとされる。

   携帯電話事業の本格参入に出だしでつまずいた三木谷氏だが、現在の携帯大手3社があるのは、国家独占だった電電公社→NTT、そこから誕生したNTTドコモに挑んだ2人の起業家がいたからに他ならない。KDDIのルーツである第二電電(DDI)は、民営化前の電電公社に対抗して設立された経緯があり、その創業者は京セラを創業した稲盛和夫氏だ。ソフトバンクグループを率いて、かつての日本テレコムを手中に収めたのは、孫正義氏だ。楽天を起業した三木谷氏が2人のカリスマ起業家を意識したかどうかは定かではないが、MVNO事業でも堅調な楽天がリスクを覚悟で自前の携帯通信網を持とうとする背景には、案外こんなこともあるのかもしれない。

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