2019年 10月 18日 (金)

「得」なはずの年金繰り下げ受給を、高齢者の「1%」しか選ばないのは何故か

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   公的年金の「老後2000万円不足問題」が今夏以降、注目を集める中、年金受給開始時期を遅らせる「繰り下げ受給」への関心が高まっている。少しでも繰り下げれば受給額が増えるためだ。

   公的年金の「老後2000万円不足問題」が今夏以降、注目を集める中、年金受給開始時期を遅らせる「繰り下げ受給」への関心が高まっている。少しでも繰り下げれば受給額が増えるためだ。

   ただ、活用はなかなか広がっていないのも実情だ。

平均寿命まで生きれば「元が取れる」

   年金の受給が始まるのは原則として65歳。しかし現行制度では、本人が希望すれば、60~70歳の範囲で自由に開始時期を選ぶことができる。そして開始時期によって受給額は異なり、開始時期を繰り上げれば月0.5%ずつ減額され、繰り下げれば月0.7%ずつ増えることになる。例えば、60歳の受給開始を選び、5年繰り上げれば「0.5%×60カ月」で30%減る一方、70歳まで繰り下げれば「0.7%×60カ月」で42%増える。その金額は本人が亡くなるまで変わらない。

   繰り下げ受給については、計算上はおおむね12年で元がとれるとされており、70歳まで繰り下げるなら82歳まで生きれば得になる。2019年7月に発表された2018年の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、年々上がっている。「人生100年時代」といわれ、長寿が当たり前になる時代では、多くの人にとって繰り下げ受給は有利になる可能性が高い。

   だが実際は、繰り下げ受給を選択している人は極めて少ない。厚生労働省によれば、受給開始時期の選択がもうできない70歳の受給権者について調べると、厚生年金、国民年金の受給権者ともに、繰り下げを選んだ人は2012~2016年度で1%程度に過ぎなかった。反対に繰り上げ受給を選ぶ人は意外に多く、厚生年金の受給権をもたない国民年金の受給権者の場合、同時期の繰り上げ受給は20%強に上っている。

   こうした状況について、年金問題に詳しいファイナンシャル・プランナーは「制度が十分に周知されていないことに加え、無年金状態では生活できないという人が多いためだろう」と見ている。経済環境は厳しく、仕事もなかったり、蓄えもなかったりすれば、目先の年金に頼るほかないケースは少なくないのだ。

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