2019年 12月 13日 (金)

辞任「遅い」?改革に「一定の成果」? 法相辞任で韓国メディア「温度差」なおも

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   親族をめぐる不正疑惑を抱えていた韓国の曺国(チョ・グク)法相が突然の辞任を発表した。疑惑は、チョ氏の法相就任(約1か月前)前から指摘されており、就任以降も韓国世論を二分する状況になっていた。

   文在寅(ムン・ジェイン)大統領政権に批判的な韓国の保守系メディアは、これまでもチョ氏に厳しい視線を向けており、今回の辞任は当然といった受け止め方で報じる一方、政権を支持する論調で知られる革新系メディアの中には、あくまで「検察改革」を進めるべきだとして、チョ氏に同情的ともとれる記述をしている記事も見受けられた。

  • チョ・グク法相の辞任で事態は沈静化へ?それとも…(青瓦台ウェブサイトより)
    チョ・グク法相の辞任で事態は沈静化へ?それとも…(青瓦台ウェブサイトより)

保守系メディアは「多くの悪い先例」

   チョ氏は2019年10月14日、法相を辞任すると表明した。表明について「電撃的」(ハンギョレ)と、その驚きを伝えたメディアもある。批判を受けながらも、文大統領が掲げる「検察改革」を推し進める姿勢を直前まで示していたからだ。

   従来からチョ氏に厳しい見方を示していた保守系メディア、東亜日報の社説(韓国語ウェブ版、15日)では、辞任は「遅い」という印象を指摘しつつ、文大統領とチョ氏のこれまでの言動について「多くの悪い先例を残した」と、あらためて批判を展開した。中央日報の社説(日本語版)でも、検察・司法改革について、青瓦台(大統領府)と与党が、「チョ氏擁護のため」の動きにしてしまい、「国民を失望させた」と断じていた。

   一方、革新系の「ハンギョレ」(日本語版)は、辞任について「検察改革成功の『元肥』に」(社説)と、あくまでチョ氏が進めようとしていた検察改革の推進を求める論調を展開した。これまでも、チョ氏への検察捜査について「行き過ぎだと判断した市民たち」が、「ややもすれば検察改革が挫折するかもしれないという危機感から(5日にソウル市内で)決起したのだろう」(7日、日本語版社説)などと報じていた。

世論調査の数字をみると...

   今回の社説でハンギョレは、「国民の同意もなしに『政治的判官』を自任した検察の捜査は、行き過ぎで過酷だったという点を否定しがたい」と、チョ氏に対し同情的とも受け取れる指摘もしていた。また、京郷新聞(韓国語版)の分析記事では、チョ氏の「検察改革」の実績について、法相(法務部長官)として部内でできる範囲で一定の成果を上げており、残る改革は国会が対応すべき事案だと、やはりチョ氏に同情的と言えそうな論点が並んでいた。

   各メディアとも、辞任の背景として世論の変化を挙げている。政権支持層である革新系内部からもチョ氏に批判的な声が出ているとして、世論調査会社リアルメーターの14日の数字で、与党(共に民主党)と第1野党(自由韓国党)の支持率の差が、文政権発足以降で最小(0.9%ポイント)となり、文大統領の支持率も最低値を更新(41.4%)したことを伝えている。

   もっとも、保革メディアともにチョ氏辞任を受けて世論の分断の緩和に期待を寄せている。中央日報社説は「文大統領と与党は国民の声にもっと耳を傾けて、二分した民心を落ち着かせるために最善を尽くさなければならないだろう」、ハンギョレ社説も「韓国社会が直面したさまざまな懸案を再確認して共に悩む出発点とするのが望ましい」としている。ただ、チョ氏就任への反対を押し切って任命した文大統領への批判はすぐには収まりそうになく、世論を二分する状況が緩和へ向かうかどうかは未知数だ。

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