2024年 4月 19日 (金)

鳥貴族、また羽ばたくのか 値上げショックから2年の「現状」

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   焼き鳥チェーンの鳥貴族の株価が2019年12月9日に一時、前週末終値比20.4%(390円)高の2298円まで上昇した。前週末に発表した11月の既存店売上高が1年11カ月ぶりに前年同月比でプラスとなり、同時発表の第1四半期(19年8~10月)決算も好調だったことから、17年10月の値上げ以降落ち込んだ業績が「底を打った」との見方が広がり、買いが集中した。

   鳥貴族は1985年に東大阪市の近鉄・俊徳道駅前に1号店をオープンし、今も本社は大阪市にある。2005年に東京に進出し、14年7月に東証ジャスダックに株式を上場、16年4月には東証1部に昇格した。当時、「280円均一」という低価格が主に若者、女性の支持を得て右肩上がりの成長を続けた。均一というのは焼き鳥だけでなく、ビールやハイボールなどの飲み物、ご飯物、サラダなどがすべて一律280円(税抜き)という「まさか」と思わせる驚きが人々に足を運ばせた。丸太などの木材をふんだんに使った内装も若者、女性に受け入れられた。

  • 株価の動向に注目が集まる(写真はイメージ)
    株価の動向に注目が集まる(写真はイメージ)
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新規出店から既存店強化にかじを切る

   転機は2017年10月に28年ぶりに値上げしたことだった。すべてのメニューを280円から298円(いずれも税抜き)に18円(6.4%)、まさに一律で値上げした。低価格を売りにしてきたが、人件費や材料費のコストが高まる中、文字通り「看板」を掛け替えることとなった。

   経営上はやむを得ない判断だったと思われるが、これで客足が遠のいてしまった。客数が減少したことで、出店時の計画に対し未達で推移する店舗が多く発生し、店舗の収益力が低下した。また、近年は猛烈な開店ペースになっていたことから既存店の近隣に追加出店するケースがままあり、自社競合も生じていた。既存店売上高は2018年1月から前年割れが続いた。18年7月期決算(単独)は純利益が前期比31.6%減の6億6200万円と大幅減益となった。

   さすがに鳥貴族は経営を見直した。値上げもさることながら近年、年間80店程度のペースで積極出店を続けたことによって正社員の配置が追いつかないなど、店舗運営に無理が生じている面があった。このため、2019年7月期は新規出店から既存店強化にかじを切り、すでに出店予定である店舗以外の新たな出店をとりやめた。23店舗の新規出店の一方、不採算の29店舗を閉店し、期末店舗数は659と6店舗の純減となった。メニューの改編を年2回から3回に増やし、期間限定キャンペーンを打つなどしてリピーターの呼び込みにも努めた。

11月既存店売上高のプラスを投資家が歓迎

   その結果、2019年7月期は店舗閉鎖などによる損失を14億円計上し純損益が2億8600万円の赤字と上場以来初の赤字を記録したが、5月に既存店客数がプラスの転じるといった動きもあり、株式市場では悪材料出尽くし感も出ていた。そのため、19年7月期決算の発表(9月13日)以降、株価は上昇し、9月30日には年初来高値(2498円)をつけた。10月7日発表の9月の既存店売上高がなお前年割れを続けたため失望売りを呼んで下落基調に転じる中、12月6日発表の11月既存店売上高のプラスを投資家が歓迎した。同日発表の2019年8~10月期決算(単独)の純利益が前年同期比5.5倍の3億1800万円となり、通期見通しに対する進捗率が70%に達していることもポジティブサプライズとなった。

   2020年7月期は、消費税率引き上げという事実上の2年ぶり値上げに直面するにもかかわらず、業績改善が見込めそうになったことを投資家が歓迎している。既存店強化策が功を奏している格好で、株価は上昇基調を続ける可能性もある。

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