2020年 10月 22日 (木)

関電はなぜ、元助役の暗躍許したか 第三者委報告から見えた「ズブズブ」の実情

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   関西電力の幹部らが福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取った問題を再調査していた第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)が調査報告書をまとめ、2020年3月14日に公表した。

   電力会社が原子力発電所を構えた地元に対するさまざまな「工作」については、これまで断片的には明らかになっていたが、これほど詳細に調査して公表した事例は、おそらく初めてだろう。しかも、その電力会社の役職員を赤子の手をひねるかのように手なずけた地元有力者が、関電の原発関連工事の発注にとどまらず、社内人事まで介入していた経緯が浮き彫りになった。

  • 高浜原発めぐるトラブル解決を機に、元助役は関電の「弱み」を握った(Hirorinmasaさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    高浜原発めぐるトラブル解決を機に、元助役は関電の「弱み」を握った(Hirorinmasaさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • 高浜原発めぐるトラブル解決を機に、元助役は関電の「弱み」を握った(Hirorinmasaさん撮影、Wikimedia Commonsより)

きっかけとなったのは「フナクイムシ」

   報告書は元助役と関電がズブズブの関係になったきっかけとして、1985年に運転を開始した高浜原発3、4号機のトラブル処理を挙げた。稼働中の原発は大量の温排水を海に放出しており、高浜3、4号機付近の海水温が上昇した結果、木を食べる二枚貝のフナクイムシが異常繁殖。地元の港湾会社が設けた貯木場の木材を食い荒らして、関電との間にトラブルが生じていた。

   こうした、稼働後に判明した不利益を追加で補償すると際限が無くなるため、電力会社は補償という形は避けたい。そこで港湾会社が原発周辺に保有していた土地を関電が割高に購入する体裁にしたが、その金額で折り合わず、高浜町役場の助役として高浜3、4号機の増設に手腕を振るった森山氏に関電が交渉を任せたのだ。

   この売買が成立した直後の1987年5月、森山氏は助役を退任する。その年の7月には関電子会社の関電プラントの顧問に迎えられ、2018年まで30年以上にわたって務めた。その立場を利用して、高浜町がある若狭地方に原発関連で赴任する関電の役職員に現金や商品券、金貨、高級時計などを贈りつづけた。第三者委の調査では、受け取ったのは75人、総額は約3億6000万円にも及ぶ。これには、「社会的儀礼の範囲内」の贈答品は含まれていない。関電の役職員は「関電の弱みを握る人物」から金品を贈られ、返そうとすれば恫喝を受けた。

   この金品提供について第三者委は、見返りとして森山氏が関係する地元企業に対して関電に工事を発注させ、地元企業が経済的利益を得る、という構造を維持する目的があったと認定した。しかも、金品提供の大半は個別の工事発注に対応していたのではなく、関電の役職員に後ろ暗さを感じさせて「自己の支配下に置く」ために続けていた。報告書は具体的な事例を示していないが、森山氏が高く評価する関電の役職員を厚遇するよう圧力をかけ、それに関電が従うこともあったと記されている。

「電力不足」恐れる関電の事情

   こうした関電の行動の背景にあるのは、「電力の安定供給」のためなら何をもいとわないDNAとも言えよう。今では想像できないが、昭和30年代の関西は急増する電力需要に対して供給が追いつかず、電力不足に悩まされていた。停電が相次ぎ、「電気をよこせ」デモさえも起きていたという。

   そこで社運をかけて建設したのが水力発電専用の黒部ダムであり、急峻な黒部峡谷に巨大建築物を造る難工事であったため、100人を超える建設作業員らが犠牲になった。さらに増える電力需要に対応するため、関電が次に目を付けたのが原子力発電であり、関西から直線距離は近いが人口が少ない若狭地方に美浜(3基)、高浜(4基)、大飯(4基)の各原発を相次いで建設していった。

   関電にとって、3原発を計画通りに運転することは至上命令であり、そのためには多少のことなら目をつぶる、と考えたとしても不思議ではない。豊富な財力で反対派を切り崩して目的は達したものの、ミイラ取りがミイラになってしまい、コンプライアンス重視の現代になって過去の「闇」があぶり出されたのだ。

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