2024年 4月 19日 (金)

公示地価、28年ぶりに起きた変化 「地方圏の回復」示すも、今後のコロナ影響に懸念

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   国土交通省は2020年3月18日、公示地価(1月1日時点)を発表した。これまで東京、名古屋、大阪の3大都市圏のほか、札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4市で地価の上昇が目立っていたが、今回は4市を除いた地方圏の全用途と商業地の地価が1992年以来、28年ぶりにプラスに転じた。住宅地も1996年以来の下落から横ばいに転じるなど、地方圏の地価の回復が明確になった。

   東京、大阪、名古屋の3大都市圏も上昇が続き、全国平均は住宅地が前年比0.8%上昇で4年連続、商業地(3.1%上昇)と全用途平均(1.4%上昇)は、いずれも5年連続のプラスになった。国交省は、景気回復と日銀のマイナス金利政策で良好な資金調達環境にあることから、地方都市を含め、オフィスビルやホテル、マンションなどの需要が堅調で、地価の上昇基調が続いたとみている。

  • どうなる今後の公示地価
    どうなる今後の公示地価
  • どうなる今後の公示地価

「一時的な影響か、長期化するのか、まだ判断できない」

   今回の地価に新型コロナウイルスの感染拡大の影響は反映していない。今後は訪日外国人旅行者の減少でホテル需要が少なくなるなど、地価に与える影響が懸念されるが、国交省は「感染拡大が一時的な影響か、長期化するのか、まだ判断できない」としている。

   公示地価は2014年に3代都市圏と札幌、仙台、広島、福岡の中枢4紙がマイナス圏を脱し、緩やかに上昇することで全国平均の地価をけん引してきた。地方圏も中枢4市の上昇が貢献し、マイナス幅を縮小してきた。今回、地方圏は4市を除いた地域に限ってみても、全用途平均が前年比0.1%、商業地が0.3%のプラスとなり、住宅地は0.0%と横ばいになった。

   もっとも、地方圏の地価の上昇は統計上の数字であり、すべての地方の地価が上昇したわけではない。全国の調査地点2万5675地点のうち、全用途平均で上昇した地点は全体の48%に当たる1万2445地点で、下落した8216地点(全体の32%)を上回っている。4市を除く地方圏(調査地点1万2310)に限って見ると、上昇したのは全体の30%に当たる3731地点にとどまり、半数に当たる49%の6001地点で下落が続いている。

地価の2極化が進む

   駅前再開発が進む県庁所在地などで地価が上昇しても、過疎地などを抱える周辺の自治体では地価の下落が続くといったパターンが多い。日本の人口が減少する中、都市部と過疎地の格差を埋めるのは現実に困難で、地価の2極化が進むのは今後も避けられそうにない。

   一方、全国の公示地価の最高額は東京都中央区銀座4の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5770万円。バブル期のピークだった1991年の3850万円を2016年に超え、5年連続で最高値を更新したが、上昇率は前年の3.1%から0.9%に縮小した。国交省は「上昇は緩やかで、転売や投機を目的に急上昇したバブル期とは異なる」と説明している。

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