2020年 8月 15日 (土)

外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(4) 「自粛」が「萎縮」になってはいないか 今こそ専門家は発信を!

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米も発信が盛んだが日本は...

   米国に目を転じれば、感染症研究で定評のあるジョン・ホプキンス大のホームページがやはり「リソース・センター」を設け、盛んな情報発信を続けている。世界の感染確認数を時々刻々集計してマップに落とし、公開している。日本のメディアが報じている世界の感染者数、死者数の多くはこのサイトに依拠している。センターは、中国・湖北省での感染勃発や、国ごとの感染状況について詳しく報告し、なぜ各国で死者数が違うのか、どこで今感染が広がっているのかなどについても、多くの分析を公開している。

   ハーバード大学も、サイトに並ぶ多くの情報は新型コロナ関連だ。「長期隔離の孤独」や「誤ったソーシャル・メディア情報と闘う」、あるいは「ワクチン開発までどれくらいかかるのか」など、こちらも全方位からコロナ禍を分析している。

   シンクタンクで言えば、ブルッキングス研究所のサイトは「研究者から、新型コロナへのグローバルな対応を学ぼう」という特設ページを設け、毎日のように更新している。こちらも、「新型コロナは世界最貧の人々にどのような影響を与えるか」とか、「ポスト・コロナ時代の経済のABC」など、テーマは盛沢山だ。もちろん、外交問題評議会(フォーリン・アフェアーズ)も負けていない。「スウェーデン戦略(集団免疫)は世界に広がる」とか、ポスト・コロナ時代の世界の無秩序」、あるいは「米国は中国から何を望むのか」など、こちらも多彩なテーマを扱う論文を毎日のように更新している。

   英米のこうした目覚ましい活動を見て溜息をついたのは、日本の大学や研究機関のサイトに、社会に向けた発信があまり見受けられないように思えるからだ。多くは学生や教員、職員に対する告知や注意、新入生や志望者へのお知らせなどにとどまり、専門家が知見を発信するところまで手が届いていないようだ。また、シンクタンクでいえば、私の調べが行き届かないのか、活発に政策提言をしたり発信したりしているのは、「東京財団政策研究所」など、ごくわずかに留まっているように見受けられる。

   大学で言えば、まず学生や教員を守り、休校中の代替案を探り、バイトができなくなった学生をどう支援するかが最優先の課題だろう。多くの専門家はメディアに登場して知見や研究の蓄積を踏まえて発言しており、個々の発言はきちんと社会に届いている。

   ただ、私が危惧するのは、LSEのサイトを見て衝撃を受けた私のように、「自粛要請」が「萎縮」につながっていないのか、という点だ。

   社会科学のみならず、人文科学も同じで、そうした専門家や研究者は、日ごろの研究を通して、今のコロナ禍のような激変に際して、どう発言し、提言するのかに備えて研鑽を積んできたのではなかったろうか。

   コロナ禍は私たちすべてに「自粛」や「距離」を強いている。だが医療従事者や交通機関、スーパーなど、ライフラインを守る人々は、感染のおそれに直面しながら、活動をやめていない。私たちは「自粛」を内面化して、「萎縮」に甘んじてはいないだろうか。医療従事者らが、社会が自粛する時もコミュニティーを守るために活動を続けているのであれば、専門家や研究者も、その本来の職務を遂行するべきではないだろうか。

   そう思っている時に、知り合いを通して、北海道の地元でテレビ会議に誘われ、刺激を受けた。やはり参加者のほとんどが、自粛のなかで横のつながりを絶たれ、メディアの情報を一方向で受け取るだけの日常に疑問を抱いていたのを知った。話題はローカルだが、一種の「フォーラム」を形づくる試みの一つとして、ご紹介したい。

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