2020年 8月 4日 (火)

外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(4) 「自粛」が「萎縮」になってはいないか 今こそ専門家は発信を!

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北海道でのテレビ会議

   北海道で去る5月2日夕、ZOOMによるテレビ会議が開かれ、私も参加した。

   新型コロナウイルスの感染が拡大してから、私たちは長い間集会にも参加できず、新聞やテレビなどの報道を受け身で知るだけだ。

   ちょうど5月3日の憲法記念日を前に、今起きつつあることを主体的に発信し、話し合おうという試みだった。

   呼びかけたのは、地元北海道文化放送(UHB)報道スポーツ局長の吉岡史幸さん。もちろん職場を離れ、一個人として知り合いに声をかけ、ざっくばらんに語り合おうという趣向だ。従って、これからご紹介する議論はすべて個人的な意見であり、組織や団体を代表するものではない。事前にこの要旨を参加した13人に配布し、了承を得た。ただし、ご本人が匿名を希望した方については匿名にしている。

   初めに司会の吉岡さんが、大きなテーマとして、「新型コロナウイルスと民主主義をどう両立させるのか」という問いを投げかけた。まず札幌の弁護士、今野佑一郎さんが、今回の特措法について概略を説明した。

「もともと今回の改正特措法は、2012年の旧民主党時代に成立したインフルエンザ等対策特別措置法に、新たに新型コロナ感染症を追加する内容で、ほかの規定は変えていない。政府は、蔓延の恐れが高いと判断した場合に、首相を本部長とする対策本部で基本的対処方針をまとめ、専門家の意見を聞いたうえで緊急事態宣言を出すかどうか決める。宣言を出す場合には都道府県を単位とする区域や期間を首相が示す。都道府県知事が、住民の外出自粛や学校、老人福祉施設などの使用禁止、イベントなどの開催制限、医薬品や食品などの売り渡しなどを要請・指示する。臨時の医療施設を設置するために土地や建物の持ち主が理由なく同意しない場合には知事が強制使用できるとか、事業者に医薬品やマスクなどの保管を命じたのに従わない場合や立ち入り検査を拒んだ場合には懲役刑や罰金刑を定める罰則規定も設けられている。しかし、外国のようにロックダウン(都市封鎖)をできるような条項はない」

   これに対し、北星学園大で公法を担当する岩本一郎教授は、かりに法律であっても改正特措法は、重要な憲法問題を惹起していると指摘した。

「今回の改正特措法と、自民党が2012年に発表した憲法改正草案にいう緊急事態条項が極めて近い関係にあることに注意する必要がある。改正特措法では、その第45条1項で外出の自粛、第2項で施設の使用制限を要請・指示できるとなっており、憲法22条の居住移転の自由、21条の集会の自由、29条の財産権の保障と公共のために使う場合の正当な補償という各条項に対する事実上大きな制約となる点を確認しておくべきだろう。違憲の問題も生じ得る。自民党草案の緊急事態条項も、客観的な条件は専門家が判断するとしながらも、最後は首相の判断に委ねられ、期間も100日間と長く、無制限に延長できる。しかも裁判所の関与がない。今回最も大きな問題は、安倍首相が法的根拠もなく、2月27日に全国の小中高に自主休校を要請して、事後的に特措法を改正し、外形的な体裁を整えたことだろう。憲法上の緊急条項も、事実上人権に制限を加え、なし崩し的に首相が緊急事態を宣言するようなことが起きる恐れがある。今回のコロナ特措法で起きることを批判的に検証して、憲法上の緊急事態条項について考えるべきだろう」

   ここで元北海道新聞、日本ジャーナリスト会議の往住嘉文さんが、「今回のコロナ対策は、特措法を改正しなくても、新型感染症として対応できたのではないか。政府は、本当は非常事態宣言を出したかったのではないか」という疑問を出した。

   これに対し、岩本教授は、「その見方はあり得る」としながらも、「私は逆に、政府が前のめりで対応して、法的根拠がないという批判を受け、後づけで法改正をしたのでは」という「後知恵」説を披露した。

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