2024年 4月 25日 (木)

(元)候補者から見た東京都知事選 偏る報道、政党の思惑...選挙の「本当の目的」を問い直そう

都知事選の「本当の目的」と実態

   ただ、実際は選挙など全くの素人。政策や問題提起はあるが、選挙カーやポスターを作るノウハウも金もない。それでも最初は「正しいことを言えば反応する大人がいるはず」と、今思えば根拠のない期待ばかり抱いて演説を重ねていた。

   しかし次第に、徹底的な偏向報道と無名の候補者へ向けられる異様な者を見るかのような目線と、選挙を通じても広まることのない本当に苦しんでいる人々の声という実態が見えてくる。

   「これは異様だ」という切迫感で満たされていく。氷河期世代をさらに4年間、何の打つ手も無いままにするのはあまりに耐え難いことだった。

   適切な政策が行われていれば今後生まれてくるはずの多くの子供達、集票のために掲げられた有名候補者の公約を必死になって信じようとする人々が脳裏に浮かぶ。

   その差し迫る問題と実情を社会へ告発するのが候補者の役目であると、ひたすら自分に言い聞かせ励まし続ける。しかしその解決の道筋は見えないまま、選挙という限られた時間での打開を更に自らへ突きつける。言葉にしようがない苦悩であったと言うほかにない。

   隠せないほどの心身の疲弊へつながっていった。笑顔でいなければならなかったのに。

2016年の選挙期間中の高橋さん。当時、姉妹サイト「Jタウンネット」がその選挙戦の一部をレポートした
2016年の選挙期間中の高橋さん。当時、姉妹サイト「Jタウンネット」がその選挙戦の一部をレポートした

   その最中に心の中には、先程述べた、様々な立ち位置の人が語る言葉が積み重なっていった。

   選挙の序盤、帰宅ラッシュの車内にたすきを掛けたまま乗り込んだ時の、周囲から伝わる緊張感は忘れられないものがあるが、終盤にもなると「お疲れですね」と声をかけられ席を譲られたこともあった(※たすきを掛けて乗車するだけなら問題はないと駅長や関係部署に確認を取っての乗車である。呼びかけなどの街宣行動は一切していない)。

   後半のある一日がJタウンネットにて取り上げられたこともある。

   こちらもよろしければご覧頂きたい。

   語ればキリがない。ひとまず当時のエピソードはここで区切りとしたい。

   元候補者として「都知事選」を解説するなら、有名候補または目立つ候補が注目されがちな選挙ではあるが、本当の目的は「見向きもされない社会問題を世に知らしめ、そしてその解決の道を地域の人々で選び導いていく」ものだといえる。

   しかし実態は、戦後日本の重要な理念である地方分権(国政と地方を分けて政治を行う)がほぼほぼ無視され、政党の党勢拡大、つまり国政の政権争いの踏み台に利用されてしまっている。

   政党の思惑はあくまでも政治思想の一つである。それが地域住民一人ひとりの訴えよりも優先されるべきなのだろうか。

   皆さんに想像して頂きたいが、例えば自分の子供や親戚が、「介護自殺」(支援も受けられず介護の負担を苦にして行われる自殺。若者に増えている)へと今追い詰められているとしよう。

   その最中で「政権争いのために都知事選は○○に投票しろ!!」とあなたは叫ぶことが出来るだろうか。

   しかしそのような空気がこの東京都知事選では作り上げられている。

   私達自身が陥っている「地方の政治は政党の思惑で左右されるもの」という思い込みこそが、最大の問題を引き起こしている原因なのである。

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