2024年 4月 25日 (木)

「優勝してリモートビールかけをやりたい!」 好調千葉ロッテ・河合球団社長が語る「日本一への戦略」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   プロ野球の千葉ロッテマリーンズが快調な滑り出しを見せている。2020年の開幕カードとなったソフトバンクとの3連戦で2勝1敗と勝ち越すと、続くオリックスとの6連戦では史上初となる同一カード6連勝を飾った。チームは2020年7月13日の時点で2位をキープしている。

   J-CASTニュース編集部は、千葉ロッテマリーンズの代表取締役オーナー代行兼球団社長の河合克美氏にインタビューを行い、コロナ禍のなかでの球団運営をはじめ、将来的なビジョン、スーパールーキー佐々木朗希投手(18)などについて語ってもらった。

  • 写真は河合オーナー代行=今季のチームスローガンは「突ッパ!」
    写真は河合オーナー代行=今季のチームスローガンは「突ッパ!」
  • 写真は河合オーナー代行=今季のチームスローガンは「突ッパ!」

2年連続Bクラスからの巻き返し

   河合オーナー代行は2018年2月からチームに本格的に関わるようになった。オーナー代行という立場で球団運営に携わり、19年12月に山室晋也球団社長の退任を受けて球団社長に就任した。

「前オーナー(故重光武雄氏)は今年亡くなられましたが、チームを持って以来ずっと赤字でした。ようやく黒字化できたのが2018年と19年です。前社長の山室さんが必死になってやってきたのは、なんとかして球団を黒字化すること。そのためにありとあらゆる手を使ってビジネスチャンスを見つけて、それを回してきました。そのタイミングでちょうど私が球団に来ました。その一方でチームの補強については先送りになっていたという状況でもありました。球団経営という視点で見ると、事業として黒字化して健全な経営をしていくということと、一方で強いチームを作るのは両輪だろうと。黒字化をさらに進めるにはチームを強くして、お客様にたくさん来ていただいて、結果的にその利益をチームに再投資する。ただこの時点では黒字化することだけで精一杯でした。2018年はそこからのスタートでした」(河合氏)

   2018年は井口資仁監督が就任一年目のシーズンで、チームは春先に出遅れた。6月のセ・パ交流戦で3位に食い込んだものの、チームの最終成績は59勝81敗3分でリーグ5位。首位西武に28.5ゲーム差を付けられ、2年連続のBクラスに終わった。

「2018年は得点力がリーグ5位で本塁打数はリーグ最下位でした。失点、防御率はリーグ5位。まずここをなんとか少しずつでも手を入れていかないといけない状況でした。全体戦略がなかったので、スコアラーや分析チームを強化するというのを始めたのが2018年の終わりごろでした。そこから少しずつ始めて、結果、これをやっただけでも2019年は得点率がリーグ2位に上がり、失点も少なくなりました。ようやく分析を始めて数値化が出来るようになったという段階です。このようなデータをどのように次の補強に活かすか。ドラフトもFA(フリーエージェント)も全てこういうことをベースに始めました」(河合氏)

佐々木朗希ドラ1指名は満場一致で決定

   2019年秋のドラフト会議では、最速163キロ右腕・佐々木投手を1位で指名。西武、日ハム、楽天と競合の末、井口監督が抽選でくじを引き当て交渉権を獲得した。同じく今ドラフトの目玉だった星稜・奥川恭伸投手は、巨人、阪神、ヤクルトの3球団が競合し、交渉権を獲得したヤクルトの入団が決まった。

「2018年のデータをみると、うちのチームは投手のストレートの平均速度が12球団最下位でした。平均速度が一番速いソフトバンクは、150キロの速度で投げる比率が30%以上。お恥ずかしながらうちは3%でした。150キロ以上が100球に3球しかなかったら狙い球が絞りやすくなります。うちのチームは投手の平均速度が遅すぎる。だからドラフトで選ぶべきは佐々木選手でした。奥川選手も目玉のひとりでしたが、2人のうちどちらを獲るかという話になった時、目的は速い球を投げる投手ということですから圧倒的に佐々木選手にありましたので満場一致で決まりました」(河合氏)

   日本のプロ野球界が注目するスーパールーキーは、2月のキャンプから1軍に帯同。5月26日にはプロ入り後初のシート打撃に登板し、最速160キロを2度マークした。現時点で1軍マウンドは実現しておらず、「英才教育」が施されている。

「キャンプの時に佐々木選手のキャッチボールを後ろから見させていただきました。私のような素人が見ても全くの別物でした。これは誰でも見てみたいと思うなと感じました。160キロ以上の球が常時出るということは、肩、肘、腕にかかる負担は並大抵のものではありません。彼のような特殊な能力を持った人間というのは世界の宝でもあります。今ここで彼を使えば当然、160キロは出るでしょうが、体がついていかずに壊れてしまったらそこで終わってしまいます。しっかりとした基礎体力とバランスを整える育成をしていくことによって日本でも高いパフォーマンスを、そのあとに世界に出ていっても10年、20年とハイレベルなパフォーマンスを維持し続けてもらうためのものを我々が今、教え込んでいかなければせっかくの宝をつぶすことになってしまいます。そこが重要だと思います」(河合氏)

「ピンチはチャンスだよと...」

   2019年オフはFAで楽天から美馬学投手、ソフトバンクから福田秀平外野手を獲得。2020年シーズンへ向けての補強に着手した。

「FAはあくまでも手段ですので、目的にかなっていれば(今後も)FAの選手を獲ります。FAに参加すること自体が目的ではないので、今季の成績とチーム状況を見た時に、まだまだここを強化しなければならないというところが出てくればFAで選手を獲得しようという話になりますし、ここは競争環境が整っているからあえて入れる必要はないということも出てくるかもしれません。これは自分たちのチームの中でポートフォリオをどのように組むかという時に、一番稼げているところと補充しなければならないところと、育成していかなければいけないところ。ここを明快にしていけば選ぶ時も分かりやすくなってきます」(河合氏)

   2020年シーズンは新型コロナウイルスの影響で当初の予定から約3カ月遅れて公式戦開幕を迎えた。6月19日の開幕戦は無観客で開催されるなど、通常開催への道のりはまだ遠く、今シーズンは12球団いずれも大幅な収入減が見込まれる。

「2月にマーケティング戦略本部を作って新たなスタートを切りました。世の中を甘く考えていたと反省しているのですが、この時点でコロナのことをほとんど考えていませんでした。いざコロナウイルスの感染が拡大したらお金が一銭も入ってこない。一方で選手たちには費用がかかる。コロナ対策にしても消毒液だったりサーモグラフィーだったり新しいものを色々と入れなくてはなりません。だけど無観客ですからお客様からの収益はない。一番の軸となる観客収入というものがない。私がみなに言ったのは、これは大ピンチだけど、ピンチはチャンスだよと。他に稼ぎようがない時にどうするのだと。一番いい例がリモート応援チケット。新しい価値提供というのはこういうところではないかというのが見えてきて、これをもっとビジネス化するためにはどうしたらいいのかと。新しいビジネスの芽は見えてきました」(河合氏)

選手の今季平均年俸12球団最下位もコスパは最強

   日本プロ野球選手会は6月29日、加入選手を対象とした年俸調査結果(外国人選手、出来高払いを除く)を発表。支配下登録選手の今季平均年俸でロッテは12球団中最低の3035万円だった。1位ソフトバンクの7131万円の半額以下にもかかわらず今シーズン好調を維持するロッテは、コストパフォーマンス最強チームと呼ばれている。

「12球団の年俸ですが、発表されたものに外国人選手が入っていないので評価のしようがないと思っています。うちの球団が一番下になっているのは、涌井選手や鈴木大地選手といったうちの中では比較的年俸の高い選手が移籍し、それ以外の選手が入ってきているので平均するとこういう形になっている。年俸の総額を削ってケチケチやりましょうというような発想は全くないですね。2018年には丸選手(現巨人)を獲りにいっていますし」(河合氏)

   今シーズンは新型コロナウイルスの影響で特別ルールが適用され、レギュラーシーズンは120試合に短縮された。例年よりも試合が少ない分、開幕からのスタートダッシュが大きく影響するなか、ペナントレースでは好位置につけ、2005年以来のリーグ優勝も夢ではない。

「優勝の勝率は5割5分から6割の間で、結局2回に1回は負けるゲームなんです。今回は8連勝しましたが、これが続くことなどありえないので、どのようにして5割5分を維持していこうかと。分析したら8回の失点が多いことが分かったため、ここを出来るだけ減らして防御率を良くし、盗塁の機会を増やして得点力を上げるということを地道に繰り返し、1勝1敗よりも少し上を行くところを絶えずやり続けるというのをチームとしてやっていかなくてはなりません。優勝した際にはリモートビールかけをやろうと言ってます。ファンの方と一緒にリモートでビールかけをやれば、何万人が一気にリモートビールかけができるわけです。これはビール会社にとってもビジネスチャンスになると思います。このような発想はコロナの事態が起こらなければおそらく出てこなかったでしょう」(河合氏)
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中