2021年 1月 23日 (土)

ケルト本人気で「追いケルト」も なぜ急にブームに?出版社へ聞いた

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   インターネット上では2020年7月中旬ごろから、口コミをきっかけに、創元社の発行する「ケルト事典」への注目が高まっていた。そんな中、創元社の編集局に勤務する「編集A@創元社(匿名、以下編集Aさん)」さんは、こうツイートした。

「昨日『ケルト事典』がFGO関係の方々のおかげでTwitterでバズリ、5000円近い高額本にもかかわらずリアル書店とネット書店から在庫が一掃されるという事態になり、自社HPはお問い合わせと予約でパンパンになり、社内ではケルト関連書籍を販促するための『追いケルト』という用語が生まれ。。」

   この「追いケルト」という用語がブームの盛り上がりに拍車をかけたと、創元社は7月29日、J-CASTニュースのメールでの取材に回答した。

  • 創元社公式サイトより「ケルト事典」
    創元社公式サイトより「ケルト事典」
  • 創元社公式サイトより「ケルト事典」

『「きっと『追いケルト』狙えますよ!」

   インド・ヨーロッパ語族のケルト語派の民族を指す「ケルト」。このケルトに関する主要な項目をまとめたのが「ケルト事典」である。読者からのリクエストに基づいて復刊するという出版社11社による共同企画『書物復権』の一環で、今年の5月に復刊されたばかりだった。

   創元社によれば、ある読者がツイッター上でこの「ケルト事典」を紹介(該当のツイートは現在削除されている)。創元社の編集者の一人が、このツイートに気が付いたのは、このツイートが投稿されてから2日ほど経ってから。その時点では3000回ほどリツイートされていたようだ。ちょうどこのころから、同書がネット上で「激売れ」し始め、通販でも大量に注文が来たという。そしてあっという間に在庫が尽き、緊急重版を行うこととなったが、ウェブのみならずリアル書店からも注文が相次ぎ、重版部数もどんどん上がったという。

   このブームを受けて、創元社はケルト関連書籍の販促を開始。その中で、「追いケルト」という用語が生まれたそうだ。

「今まで経験したことのないような反響でしたので、この機を逃してはならぬと、すぐさま『ケルト事典』以外のケルト関連本も全てSNSで連続して紹介することが決まりました。 このスピーディーなやり取りの中で、社員の一人が「きっと『追いケルト』狙えますよ!」と発言したのが、他の社員のツボにはまったようで、ケルト関連本宣伝の合言葉になりました」

スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」の影響

   7月16日、編集Aさんがこの流れを個人のツイッターアカウントで呟くと、非常に大きな反響があった。冒頭に記載したこのツイートは、29日現在までに約1.4万回リツイートされている。創元社はケルトブームの盛り上がりに関して、こう推察している。

「『SNSに端を発して専門書がヒットし、造語までも誕生した』というエピソード自体が受けたのか、ますます盛り上がりに拍車がかかった次第です」

   またこのブームには、人気スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」(以下FGO)のファンが大きくかかわっているとしている。FGOには歴史や神話を基にしたキャラクターが多数おり、ケルト神話をモチーフとした、クー・フーリンやスカサハ、メイヴ、フェルグス・マック・ロイといったキャラクターも登場する。創元社の担当者は、このゲームについては以前から知っていたという。

「実際にプレイしている社員もいますが、おのおのプライベートで楽しんでいるため、これまで全社的に話題にのぼることはほぼありませんでした。(中略)ケルト文化はいろいろな作品の題材になっているので、今回のヒットを支えてくださったのはFGOファンだけに留まらないと思いますが、そうした創作作品では多かれ少なかれアレンジが加わっています。だからこそ、モデルになっている神話や歴史、文化を知りたいと思われる方が多いのかなと推察しています」

   また回答をしてくれた担当者個人としては、もともと『ギルガメシュ叙事詩』が好きだということもあり、ギルガメシュやエルキドゥが気になっているとのことだった。

   さて、この「ケルトブーム」が創元社に与えた影響は目覚ましいものだった。

「おかげさまで、専門書としては異例の反響をいただいています。弊社のHP通販に関していえば、年度目標金額を大幅に上回りました。話題となった『ケルト事典』はもちろん、関連書として紹介した本を合わせてご注文くださる方も少なくありません。 実のところ、SNSで話題になっても実際の購入には結びつかない例も多々あるのですが、今回はHP通販やウェブ書店はもちろん、リアル書店でも動きがあったことが非常に印象的で、出版社冥利に尽きる興奮を味わいました。 また、この話題をきっかけに、ケルトを題材にした関連作品や関連書、音楽や美術などのケルト文化についてツイートされる方もおられました。この一連の盛り上がりが、ケルト文化に興味を持たれたり、改めて触れていただいたりする機会になったとしたら、大変うれしく思います」

と、創元社は喜びを語った。

重版分はいつ届く?

   また、この突然沸き上がったブームへの対応についてはこう語る。

「弊社では以前から、こうしたレファレンス本や図鑑を、創作者やマンガ・ゲームのファン層に資料本としてアピールできないかと考えており、部署横断型の専門チームも起ち上げていました。その方向にアンテナを張っていたので、このツイートが一気にバズったタイミングや、反応している人の傾向から、恐らく『Fate/Grand Order』のファンが中心なのではないかと分析できました(ただし、元ツイートの投稿者はFGOユーザーではなかったようです)。昨年からSlackを導入し、役職や部署にかかわらず社員同士がフラットな立場で意見を交換できる場があったことも、素早い情報交換と販促立案・実行に繋がりました」
「数年前からホームページの拡充にも力を入れ、関連書籍を表示させたり、予約注文を受け付けたりする機能を実装していたおかげで、急な問い合わせや販促にもスムーズに対応できたと思います」

   そして最後に、読者に伝えたいこととして「追いケルト」をしてもらった。

「お待たせしておりました『ケルト事典』重版分は、8月上旬にできあがってくる予定です。それに合わせて再度弊社のケルト関連書を一斉にご紹介できるよう、現在特集ページ等の企画の準備を進めております。今後も『追いケルト』にご注目いただければ幸いです」

   創元社によれば「ケルト事典」のほかに、「ケルズの書」、「ケルトの芸術と文明」「地図で読むケルト世界の歴史」「ケルト紋様の幾何学(アルケミスト双書)」「ケルト、神々の住む聖地(アルケミスト双書)」「アーサー王伝説(「知の再発見」双書)」もおすすめとのことだ。

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