2020年 9月 26日 (土)

LINEヘルスケア、現役医師に聞く「問題の背景」 専門外なのに回答も...「質を担保する仕組み、早急に」

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   「LINEヘルスケア」(東京都新宿区)は2020年8月2日、同社のオンライン健康相談サービスで、医師が利用者に不適切な対応をしたとして、「お客様のお心を傷つけ、多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

   同サービスをめぐっては、登録する医師が相談者に「言葉にできないやつはガキンチョ」「結論としては、死ぬのが正解」などと答えたやりとりがSNS上で拡散し、批判が集まっていた。

   専門家は取材に対し「プラットフォーム側が質を担保する仕組みを早急に用意すべきだ」と厳しく指摘する。

  • LINEヘルスケア
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経産省の支援事業にも関わらず...

   LINEヘルスケアは、LINEと医療情報サービス大手のエムスリーが出資する合弁会社。19年12月に、社名と同じ名称のオンライン健康相談サービスを開始した。

   LINE上で直接、内科・小児科・産婦人科・整形外科・皮膚科・耳鼻咽喉科に対応する医師へ健康相談ができる。新型コロナウイルスの感染拡大により利用者は急増し、発表によれば4月の相談リクエスト数は10万件を超えた。

医師のプロフィール一覧(編集部で一部加工)
医師のプロフィール一覧(編集部で一部加工)

   相談は有料で、「いますぐ相談」(30分2000円)、「予約相談」(同)、「あとから回答」(1000円)の3プランある。経済産業省の支援事業に選ばれ、8月31日まで無料となっている。

   物議をかもしたのは、登録する医師の回答内容だ。ツイッターで8月2日、医師と相談者のやり取りを記録したスクリーンショットが拡散した。具体的な相談内容は不明だが、「言葉にできないやつはガキンチョだということですよ」「深く考えすぎると結論としては、死ぬのが正解となります」などと突き放すような返事が目立ち、投稿者は「他のスクショはもっと酷かった」と明かしている。

   この投稿者は医師を名乗っており、LINEヘルスケアの利用者から情報提供があったという。ツイートは広く拡散し、サービスの信頼性を疑問視する声が続出している。

運営会社「モニタリング体制を見直す」

   医師に十分な報酬を支払わなければ、質の担保は難しいとの指摘も目立った。同サービスの求人ページによれば、報酬は「いますぐ相談」「予約相談」が1件1400円、「あとから回答」が同700円。

   また、募集要項では「専⾨医資格等は必要ございません」「相談対応可能な診療科を⾃⼰申告いただきます」「相談対応の仕⽅は先⽣の⾃由です!」と案内する。ニーズの急拡大により医師確保を最優先し、審査や事前説明が不十分だった可能性もある。

求人ページより
求人ページより

   LINEヘルスケアは8月2日、LINE上で「医師1名において、お客様に対して、利用規約違反の行為が確認されました」と報告し、「今回の事態により、お客様のお心を傷つけ、多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

   この医師は利用停止処分とし、「しかるべき措置」を講じるという。これまでは、医師・相談者の同意に基づき、「キーワード検索による自動モニタリングや通報時の個別の相談内容の確認」をしていたが、再発防止策としてモニタリング体制を強化する。

   今回の問題の根本的な原因は、モニタリング体制の不備にあるのか。LINE広報は3日、J-CASTニュースの取材に、次のように答えた。

「厚労省のオンライン診療ガイドラインをもとにLINEヘルスケア社独自の医師向けガイドラインを作成しており、24時間365日モニタリングを実施しております。しかしながら、医師と相談者の間のコミュニケーションは、電気通信事業法上の通信の秘密に当たり、また医師法上も医師の守秘義務の対象として、弊社を含む第三者がみだりに内容を閲覧することは制限されております。そのため、弊社では、双方の事前同意の範囲内で、自動モニタリングを実施しております。今後は、キーワードの見直しを含むモニタリング体制等の見直しを図り、再発防止策を検討、対応してまいります」

   医師の登録においては審査をしているとし、「医師免許および本人確認を徹底し、当社所定の基準を満たした医師に参加頂いております。さらに、参加する医師には当社ガイドライン、各種法規制の遵守する事に同意頂いております」

   報酬の見直しについては、「具体的な金額については、公開しておりませんので、お応えできかねます」と回答を避けた。

命にかかわる問題が発生、責任の所在は

   前述の投稿に関連して、「やさしい皮膚科医」(@S96405539)のハンドルネームで、健康・医療情報を日々発信している医師で医学博士の男性が「専門家で無い医師が専門家のふりをしている」「医者のレベルが『素人』レベル」「資格を詐称している医師ばかり」などとLINEヘルスケアを利用した感想をつづったブログも拡散した。

   4月5日に公開されたブログでは、(1)対応する診療科が「小児科」「産婦人科」「整形外科」「耳鼻咽喉科」など異様に広い医師が大半を占めた(2)にきび関連の質問をしたところ、間違った助言が届いた(3)資格欄に本来「資格」ではない「所属学会」が記載されている――の3点を問題視している。

ある医師のプロフィール(編集部で一部加工)
ある医師のプロフィール(編集部で一部加工)

   やさしい皮膚科医さんは、身分を明かしたうえで取材に応じ、「専門医資格を持っている科に限定するなど、プラットフォーム側が質を担保する仕組みを早急に用意すべきだと思います。正確な情報が得られなければ、サービスの存在意義がわかりません」と話す。

   命や健康に直結する情報を扱うサービスだからこそ、質の担保は最優先で取り組む必要がある。

「たとえば皮膚科医でも、新型コロナウイルスに関する回答ができてしまいます。その結果、新型コロナに感染しているのに見過ごされて命を落とされたり、あるいは疑いが全くないのに不安になって病院に殺到して医療崩壊を起こしたりする可能性があります」
「ほかにも、たとえば手荒れに悩んでいて、実は皮膚がんや皮膚筋炎など重い病気だったとしても、LINEで相談したから受診しない方が出てくることも考えられます。その場合、規約ではLINEは責任を取らないとあるので、責任問題はどうなるのでしょうか」(やさしい皮膚科医さん)

利用者側の注意点

   利用者側の注意点はどうか。

   やさしい皮膚科医さんは、

「すべての医師がすべての科に精通しているわけではないことを、一般の方にも知っておいて欲しいです。あくまで目安ですが、専門医資格を持っているのか、そこで何年ほど(専門医としての)研修をしているのかでしょうか。〇〇病院の〇〇科でどのようなポジションで何年間研修したとか、どんな論文をこれまでに書いてきたのか。そうしたプロフィールを確認しないと、医者のスキルはわかりません。LINEヘルスケアに関わらず、チェックするクセをつけるのが自己防衛として大事です。それと健康面の不安を感じたら、いきなりLINEヘルスケアのようなサービスや根拠のない情報を参照するのではなく、まずは公的情報や論文をあたってほしいです」

とアドバイスした。

   LINE広報にこのブログについての見解を求めると、

「当社の認識と異なる点も多く含まれておりますが、LINEヘルスケアでは、医師免許および本人確認を徹底し、当社所定の基準を満たした医師に参加頂いております。さらに、参加する医師には当社ガイドライン、各種法規制の遵守する事に同意頂いております」

と答えた。具体的にどこに認識の相違があるのかは明示しなかった。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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