2020年 10月 1日 (木)

「国産原爆」開発に挑んだ研究者たち 太陽の子・モチーフの「F研究」秘史

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   2020年8月15日、NHK特集ドラマ「太陽の子」が放送される。これには柳楽優弥さん、有村架純さん、また7月18日に亡くなった三浦春馬さんが出演する。

   「太陽の子」は第二次世界大戦中の日本の原子爆弾開発計画をベースにしたドラマで、柳楽さんが新型爆弾の研究に従事する若き研究員・石村修を演じ、三浦さんは弟の石村浩之を演じる。

   戦時中「新型爆弾」と呼ばれた原爆の日本での開発史、特に海軍主導の研究は戦後社会でほとんど伝えられてこなかった。どのような研究だったのか、ドラマ放映前に歴史を簡潔にさかのぼってみた。

  • 原爆開発に従事した研究者の多くは、被爆後の広島の調査にも動員された
    原爆開発に従事した研究者の多くは、被爆後の広島の調査にも動員された
  • 原爆開発に従事した研究者の多くは、被爆後の広島の調査にも動員された

陸軍「二号研究」と海軍「F研究」

   戦時中の日本の原爆開発は、陸軍主導と海軍主導の2つの研究が行われた。陸軍が着手したのは「二号研究」と呼ばれ理化学研究所の仁科芳男博士を中心に進められた。

   一方海軍が着手した計画が「太陽の子」のヒントとなった「F研究」である。海軍は京都帝国大学理学部の荒勝文策教授に接触し、荒勝研究室を中心にウランを使用する「新型爆弾」の研究が始まった。荒勝教授は「太陽の子」にも同名で登場し、國村隼さんが演じる。

   戦後のGHQの調査に海軍が回答した記録によれば、海軍が本格的に荒勝教授にこの研究を委託し始めたのが1943年5月である。また戦後、陸軍技術将校の山本洋一が発見した文書に計画の概要が記されている。原爆研究は「戦時研究三七―二」の名称で進められ、戦後「F研究」の通称が定着した。

「目標 目的物質ノ軍用化ニ付必要ナル資料ヲ探究スルニアリ
研究方針 鉱石ヨリ目的物ヲ分離、同位元素ノ分離、基本数値ノ測定等ニ関スル研究並ニ応用ニ関スル検討ヲ行ナヒ活用上ノ資料ヲ得ントス」(計画概要より)

   これを素直に解釈すると、「目的物質」とはウラン235、研究方針はウラン鉱石からウラン235を得る研究と、核分裂反応の基礎的な研究を目標にしていた。主な研究者として取りまとめを担う荒勝教授と共に、原子核理論の担当者として京都帝大理学部教授の湯川秀樹の名もある。すでに後年日本人初のノーベル物理学賞の受賞理由となる中間子理論を発表し、日本の核物理学をリードしていた。

   ウラン鉱石を濃縮して原爆の材料となるウラン235の抽出を目指す研究はF研究・二号研究とも取り組んでいたが、F研究では遠心分離機を用いる遠心分離法を選択、ウラン核分裂の研究が進んでいたとのことである。遠心分離法自体は現代のウラン濃縮で一般的に用いられている。結果論ではあるが、二号研究で失敗した熱拡散法と比較すると成功に近い着想だったといえるだろう。

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