2021年 7月 27日 (火)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
本人を間近に見て感じた「トランプの魔力」

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支持者に「自分を代弁してくれる」と感じさせる人間

   集会の間、支持者らは「God bless Trump!(トランプに神の御加護を!)」と連呼したり、「メディアはあなたが嫌いなんだよ」などと声をかけて連帯を示したりしていた。

   集会前に一時、並んでいた列を離れた私は、友人デビーとはぐれた。警備員に「列の最後尾に並び直さなければ、逮捕する」と言われ、仕方なく並び直した。

   集会後に再会するとデビーは、「誘ってくれてありがとう。楽しかった」と何度も私にお礼を言った。

「支持者の前に顔を出したら、トランプは15分くらいで次の会場に移動するかと思ったら、 1時間半、立ちっぱなしであれだけエネルギッシュに話し続けるなんて。74歳で病み上がりなのに、あのバイタリティに驚いたわ。

テレビで見るトランプは、攻撃的で侮辱的でとても不快。そういう部分が意図的に強調されているのがわかった。実際に会ってみると、彼のいい部分が見える気がする。一緒に食事しながら、会話してみたくなるような」

   それでも、「自分たちさえよければいいという、白人至上主義の思想を感じる瞬間もあった」という。

   民主党が進める低所得者の郊外への移住計画について、「民主党主導の都市は犯罪が多く、それは郊外にも広がる恐れがある」と反対していると訴えた時だ。

   その翌々日、デビーが電話で私に言った。

「トランプは誇張も多かった。それなのに、見方がちょっと変わった理由がわかった。ベンに似ているのよ」

   ベンは彼女の夫だ。

「気さくでフレンドリーで、タフガイで。冗談好きでポリティカリー・コレクトじゃなくて、思ったことをずけずけ言うタイプ。だからきっと、娘たちもみんな、トランプが好きなんだわ」

   トランプを批判する人たちは、まさにそれが「unpresidential (大統領にふさわしくない)」と感じている。

   「支持者のことすら本当はどうでもよくて、大事なのは自分。自分を認めてもらうために、相手をほめそやしていい気にさせているだけ」「ラストベルトで苦しむ白人の気持ちが、トランプにわかるわけがない」との批判もある。

   それでも、「トランプは自分と似ている」「自分を代弁してくれる」と支持者に感じさせるところが、彼の「魔力」なのだと思った。

(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

 
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