2020年 12月 1日 (火)

思い出の団地よ「ありがとう」 建て替えの東京・石神井公園団地で「お別れイベント」開催

解体重機が石神井公園団地の「給水塔」を取り壊し、元住人はオンラインでその様子を見守った
解体重機が石神井公園団地の「給水塔」を取り壊し、元住人はオンラインでその様子を見守った

   日本経済の高度成長期のころ、東京都内で最大規模の団地として人気を博した「石神井公園団地」。分譲から半世紀余りたち、建物の老朽化に伴い全面的に建て替えられる。 2020年10月27日、東京・練馬区にある同団地で、「お別れイベント」が開かれ、団地のシンボルだった高さ35メートルの給水塔の解体工事が行われた。建て替えによりすでに団地を退去した住人たちは、オンライン上でその様子を見守った。

住民の絆深めた「夏祭り」

   石神井公園団地は東京五輪後の1967年に竣工し、分譲住宅として売り出された。総戸数490戸は都内の団地として最大級で、都心への良好なアクセスから瞬く間に人気物件となった。団地最大の特徴は、意匠を凝らした設計だ。住棟をギザギザに配置する「雁行型」を採用し、単調なイメージが強い団地の空間にアクセントを生み出した。住棟と住棟の間には庭地や広場が設けられ、住民は四季折々の自然を楽しんだ。

1967年当時の団地の資料。モデルルームには多くの人が押し寄せた
1967年当時の団地の資料。モデルルームには多くの人が押し寄せた

   85年から行われてきた「夏祭り」は住民たちの心の拠り所だった。年1回の一大行事に向け、住民たちは出し物の準備や練習を重ねた。そのたびに、住民同士の絆が深まっていった。

「夏祭りで子供たちが駆け回っているわけですよ。同級生が群がって遊んでいる、その子たちが大人になって、またこの団地を買って戻ってくる」

   団地居住歴42年の若松倫夫さんは、夏祭りがもたらした「好循環」について、お別れイベントのトークセッションで感慨深げに振り返る。

夏祭りは団地の恒例行事となってきた
夏祭りは団地の恒例行事となってきた

   しかし、築年数が経つに連れ、水道設備などの老朽化などが顕著になっていった。エレベーターがついていない住棟は、高齢住民にとって生活上の大きな障壁だった。こうした中、10年ほど前から団地の建て替えに向けた機運が高まり、19年4月に団地の一括建て替えが決定。地上5階建てだった住棟は、最大で地上8階建てのマンションに生まれ変わる。20年9月からすでに解体工事が始まり、23年に竣工予定だ。

建て替えで「新陳代謝」に期待

   建て替えでは、全844戸のうち301戸がこれまでの住民向けに整備される。長年暮らしてきた住民たちは、新しく生まれ変わる団地への「希望」を口にする。

「(石神井)川沿いに桜の木をまた植えてくれると思うので、桜の木が立派に育って、祭りができる団地になってくれるとありがたい」(団地居住歴53年、岡崎登さん)
「男の人が(行事やサークルに)もっと参加できるのが基本だと思っていますので、料理教室を作っていただきたい。その時はぜひ、講師として呼んでいただきたいです」(団地居住歴43年、立石和代さん)
団地居住歴53年の岡崎登さん。団地の管理組合理事長を務めている
団地居住歴53年の岡崎登さん。団地の管理組合理事長を務めている

   「新陳代謝」の促進にも期待がかかる。団地のすぐ近くには、自然豊かで散歩コースに最適な「石神井公園」がある。最寄り駅の一つである西武池袋線・石神井公園駅は、池袋、新宿、渋谷といった都心エリアへ乗り換えなしでアクセスできる。始発列車があるのも魅力だ。駅前にはスーパーなどの商業施設や賑やかな商店街があり、利便性も高い。こうした生活環境の良さから、石神井公園エリアはファミリー層を中心に注目を集めている。

団地近くにある石神井公園。散歩に最適だ
団地近くにある石神井公園。散歩に最適だ

   イベントに出席した石神井公園団地マンション建替組合理事長の黒河内剛さんは「退去時の高齢者比率は70~80%だった。多くの子供さんが子育てできる環境ですので、ぜひ(若い世代に)来ていただきたい。子供が安心して遊べる空間があるというのが、この団地の最も売りになるのかなと思います」と、建て替え後の若い世代の加入に期待を寄せた。

イベントに出席した石神井公園団地マンション建替組合理事長の黒河内剛さん
イベントに出席した石神井公園団地マンション建替組合理事長の黒河内剛さん
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