映像、音楽、ファッション...多岐にわたる業界で取り入れられるビジネスモデル「サブスクリプション」。そのサービスはお酒のお供「おつまみ」にも領域を広げている。2020年12月1日、おつまみのサブスク「ツマミクル」が申込受付を開始した。月に1度、全国のおつまみが6~7品セットになって届くこのサービス、おつまみを提供する「生産者の思い」を発信するという目的もあるという。サービスを展開するのは、「食のショールーム・パルズ」として、生産者を対象に商品開発・販路開拓をアドバイスする山崎友香さん(39)。ツマミクルはどのようにして生まれたのか、J-CASTニュースは12月10日、山崎さんを取材した。なぜおつまみをサブスクに?全国の生産者を対象とした商品開発・販路開拓のアドバイザーとして、2013年に食のショールーム・パルズを始めた山崎さん。西武所沢店内の日本酒バー「にっぽん旬彩亭 酒BAR」(所沢市)のバイヤーも務め、ご当地おつまみを紹介・販売してきた。活動の中で全国各地の生産者を巡ったという山崎さんは、「ツマミクル」を始めた理由を、次のように話している。「コロナの時代、家飲み需要が増えています。『外飲みがしづらい』『旅行に行けない』といったストレスを抱える、旅とお酒が好きな方に喜んでいただきたいと思い始めました」価格は税・送料込で月々3800円(九州・北海道は4200円)。発送は1月分からで、初回に届く商品は以下の通り。(1)スライスいぶりがっこ60グラム(秋田)(2)竹鶏のくんたま2個(宮城)(3)南部鮭冷燻15グラム(岩手)(4)いわしのアヒージョ100グラム(青森)(5)クリームチーズの味噌漬け35グラム(福島)(6)尾道猫豆180グラム(広島)スライスいぶりがっこおつまみはそれぞれ1~3回で食べきれる量とのこと。初回のみ、おまけで「鶏もも一本カレー」(岩手)が付いてくるという。しかし個別のおつまみ販売でなく、サブスクリプション方式をとったのはなぜなのか。山崎さんに聞いてみると。「サブスクがブームというのもありますが、ブームになる前から定期便は検討していました。おつまみをネットショップで購入する時、決められないほどのたくさんの商品があります。価格はもちろん、送料や口コミなどが気になり、結局、自分が好きなものばかり選びがちで冒険ができません。日本全国のたくさんのおつまみを通して、地域や文化、生産者さんとの出会いを楽しんでいただきたいという思いを込めて、サブスクにしました」ツマミクルでは毎月違うおつまみが届くが、1年後には人気のおつまみが再び届く可能性もあるとのこと。気に入ったおつまみがあれば、生産者から直接購入も可能だという。「生産者」にこだわる理由ツマミクルの特徴の一つに「バイヤーが生産者を訪ね、生産者の思いを伝える」というものがある。ツマミクルに参加している生産者は、公式サイト内のブログやSNS、商品とともに送られる小冊子や生産者イベントで紹介する予定だ。商品に同梱する小冊子。生産元が記載されている(画像はイメージ、食のショールーム・パルズ提供)山崎さんは、なぜ生産者の思いを伝えることにこだわるのだろうか。「私はこの仕事を始めるまでは飲食店に勤め、ほとんど地元から出たことがない生活でした。食材は身近でしたが、生産者さんのことを考えることもなく、お店で購入していました」(山崎さん)飲食店に勤める前から、縁あって福島に畑を持っていたという山崎さん。地元の人と協力して畑作業をし、育てた野菜を自身が勤める飲食店で提供していた。しかし11年3月に東日本大震災が発生。店のオーナーや利用客の意見を踏まえ、野菜の使用を中断、福島の畑も休園した。「とても悲しかったです。もっと生産者さんと(食材を)使う人、消費者が近い関係性にあれば良いと思いました」(山崎さん)生産者と消費者の距離をもっと近くしたい――そんな思いから、食のショールーム・パルズを立ち上げたという。「全国を巡り、生産者さんに会うたびに『今、私が美味しく食べているものはこうやって人の手で作られているんだ!』といちいち感動しました。何も考えずにお酒を飲んで美味しいおつまみを食べる、それで全くもって良いのですが、興味がある方に、生産者さんの努力や思いが伝わると良いなと思っています」(山崎さん)山崎さんは今回の新サービスを通じて、「日本全国のご当地おつまみをどんどん紹介していきたい」と意気込んでいる。
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