2021年 9月 20日 (月)

ジャンプ新連載「逃げ上手の若君」で注目 北条時行はどんな人物?歴史出版社に聞いた

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   2021年1月25日発売の「週刊少年ジャンプ」2月8日号から連載が始まった松井優征さんのマンガ「逃げ上手の若君」が早くも好評だ。主人公は鎌倉幕府末期から南北朝時代の動乱期に生きた北条時行で、史実をもとに彼を「逃げる英雄」として描く。

   武士を主人公にしたマンガでは異色の「逃げるヒーロー」という設定、南北朝時代を舞台に選んだセンスがマンガファンと歴史ファンの双方から注目されている。この時代の面白さはどんなところにあるだろうか。

  • 連載開始で堂々の表紙を飾った
    連載開始で堂々の表紙を飾った
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生年も不明な北条時行

   「逃げ上手の若君」は「暗殺教室」「魔人探偵脳噛ネウロ」などを描いた松井優征さんの約5年ぶりの新連載だ。

   北条時行は鎌倉幕府の実権を握った北条氏の最後の当主・北条高時の遺児であるが、生涯には不明な点が多い。鎌倉幕府滅亡後の1335年に、潜伏していた信濃を拠点に時行をリーダーとして幕府再興を目論む中先代の乱が起きて鎌倉を占拠し、これがきっかけで足利尊氏と後醍醐天皇は対立、その後も南北朝の動乱に陰から関わっていたようだ。それでも同時代の足利尊氏・後醍醐天皇・楠木正成らに比べても謎が多く知名度も低い。

   日本史関係の歴史書を多く出版している戎光祥(えびすこうしょう)出版の編集長の丸山裕之さんは1月28日、J-CASTニュースの取材に、

「北条時行の正確な生年は分かっておらず、生母も不明です。中先代の乱の2年後には今度は南朝方につき、関東を転戦して足利方と戦い何度か鎌倉を陥落させています。1352年頃に鎌倉で処刑された記録が残っていますが、落ちのびた伝説もあります」

と史実の時行の生涯について話す。

   「逃げ上手の若君」は第1話でいきなり鎌倉幕府の滅亡を描いていて、南北朝の動乱が主な舞台になると思われる。「時行が鎌倉からどうやって信濃に落ちのびたのか、中先代の乱が鎮圧されてから何をしていたのか、なぜ南朝に服属したのかも謎が多いです」(丸山さん)とのことで、マンガの描写に注目したい。

舞台となる南北朝時代とは

   本作の舞台になる南北朝時代はどんな社会変動があった時代なのか。

「定説では鎌倉時代の土地の分割相続から嫡子単独相続が主流になり、武士の土地争いが激化します。土地と家の存続をめぐって、親兄弟あっても敵となって戦う時代でした」(丸山さん)

   足利尊氏と直義の兄弟も後に全国規模の内乱に発展する観応の擾乱で争い、その間一時的に尊氏が南朝に帰参したこともある。

    また「楠木正成・高師直・新田義貞ら、家格が低くそれまでの時代は活躍できなかった身分の人物が台頭し、天皇家と幕府がともに分裂して全国規模で戦乱が続いたダイナミックな時代でもあります」という。武士の行動原理も「家の存続のためには降伏や寝返りも珍しくない時代でした」と丸山さんは話す。

戦国・幕末に劣らぬ混沌

   南北朝時代については近年、「観応の擾乱」(亀田俊和さん)など歴史学者による書籍の刊行が相次ぎ、出版界では南北朝ブームのような状況にあるようだ。丸山さんの戎光祥出版でも「南北朝武将列伝・南朝編」を2月に刊行予定だという。

「敵・味方が入り乱れる複雑すぎる時代ですが、平成に入って研究が進み史料も整理され、良質な書籍が刊行されるようになってこの時代の理解も進んできました。戦国・幕末と同じくらい混沌とした時代でしたが、歴史ファンの眼も肥えてきたというか、南北朝への興味も強まってきているようです」(丸山さん)

   「鬼滅の刃」では舞台になった大正時代への関心も高まった。同じ「ジャンプ」で連載の「逃げ上手の若君」も同じように、南北朝の動乱への読者の興味を呼び覚ますことになるだろうか。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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