2024年 4月 20日 (土)

謝罪会見の森会長、「女性」発言撤回も「辞任なし」 「老害が粗大ゴミになったら掃いてもらえばいい」

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   東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が2021年2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などと述べた問題で、森氏は2月4日午後に取材に応じ、発言は「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現」だったとして、発言の撤回を表明した。

   ただ、「辞任するという考えはない」と明言。辞任を求める声には「老害が粗大ゴミになったのかも知れないから、そうしたら、掃いてもらえばいい」と開き直った。今後の国内外への説明については「これ以上のことを申し上げても、誤解が誤解を生む」と拒否。発言の何が問題だったかについて問われても「男女の区別をするような発言をした、ということ」と述べるにとどめ、問題の所在を理解していない可能性もうかがわせた。

  • 記者会見に臨む東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。発言を撤回する一方で、辞任は明確に否定した(写真はTokyo 2020公式ライブ配信より)
    記者会見に臨む東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。発言を撤回する一方で、辞任は明確に否定した(写真はTokyo 2020公式ライブ配信より)
  • 記者を指名する東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(写真はTokyo 2020公式ライブ配信より)
    記者を指名する東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(写真はTokyo 2020公式ライブ配信より)
  • 記者会見に臨む東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長。発言を撤回する一方で、辞任は明確に否定した(写真はTokyo 2020公式ライブ配信より)
  • 記者を指名する東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(写真はTokyo 2020公式ライブ配信より)

男女平等をうたった五輪憲章の精神に反する発言

   問題とされた森氏の発言は、

「女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。これは、ラグビー協会、今までの倍、時間がかかる」
「女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた」

といった内容。オリパラ組織委の女性理事について

「7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかり」

とも述べたが、男女平等をうたった五輪憲章の精神に反しているとの指摘も出ていた。

   森氏は記者会見の冒頭で、

「昨日のJOC評議員会での発言につきましては、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと、このように認識をしている。そのために、まずは深く反省をしている。そして、発言した件につきましては、撤回をしたい。それから不愉快な思いをされた皆様にはお詫びを申し上げたい」

などと述べる一方で、辞任の必要性については明確に否定した。

「辞任するという考えはない。私は一生懸命、こう献身的にお手伝いして7年間やってきた。自分からどうしよう、という気持ちはない。皆さんが『邪魔だ』って言われれば、おっしゃる通り、老害が粗大ゴミになったのかも知れないから、そうしたら、掃いてもらえばいいのではないか」

   「ご自身が何らかの形で責任を取らないということが逆に開催への批判を強めてしまうものではないか」という疑問には、「ご心配いただいたということであれば、ありがとうございます」。会見冒頭の説明を繰り返した。

「しかし今、あなたがおっしゃったとおりのことを最初に申し上げたじゃないですか。誤解を生んではいけないので撤回します、と申し上げている。オリンピック精神に反すると思うから撤回します、そう申し上げた」

「これ以上のことを申し上げても、誤解が誤解を生む」

   発言のどこに問題があるかについて十分に把握しておらず、その分、国民に理解を求めるための説明が困難になっている様子もうかがえた。

「大会のトップとして、今後、国内はじめ世界にはどんなふうに説明していくか」

という問いには

「これ以上のことを申し上げても、誤解が誤解を生むし、必ずしも今までいつも、ここに来ていた皆さん(オリパラ担当の記者)と違う方もおられて、よく分からないところもある」

などと、普段オリパラを取材している記者以外も取材に来ていることに不快感を示しながら、説明を拒否。さらに、発言は組織委の会合ではなく、JOCの評議員会に「名誉委員」として出席した際のものだったことを強調した。組織委員会の外の発言であれば問題の深刻さは減るとの認識をにじませた。

「組織委員会の理事会と一緒にしておられる方、特に外国は一緒にされるかも知れないが、皆さんの報道の仕方だと思うが、あくまでのJOCの評議員会に出て、私はあいさつをした、ということだ」

   発言の「どこがどう不適切だとお考えなのか」という質問には、「男女の区別をするような発言をした、ということ」と答えた。

NYT「女性の会議参加への制限を示唆」、朝鮮日報「『日本、神の国』妄言の...」

   会見前の時点で、森氏の3日の発言をめぐっては、米ニューヨーク・タイムズ紙が、「組織委会長、女性の会議参加への制限を示唆」という見出しで発言内容を報道。日本国内の反応を

「ソーシャルメディア上では、森氏の辞任を求める声が上がる中、森氏の発言だけでなく、その場にいた人が誰も異論を唱えなかったことにも落胆する声が出た」

などと伝えながら、JOC理事の山口香氏が共同通信の取材に対して

「男女平等や障害者への配慮は東京大会開催の前提だったはず。組織委の代表のそうした発言は残念」

と話したことも伝えていた。

   韓国メディアも相次いで森氏の発言を報道していた。2000年の解散総選挙につながった、いわゆる「神の国」発言に言及するメディアもあり、例えば朝鮮日報は「『日本、神の国』妄言の東京五輪委員長、今回は女性卑下」の見出しで伝えた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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