2024年 4月 17日 (水)

橋本聖子新会長は国会議員も辞めるべきか 離党だけでは不十分?批判くすぶる

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   東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長に選ばれた橋本聖子氏(56)は五輪担当相を辞任した上で、2021年2月18日の就任記者会見に臨んだ。大臣規範は国務大臣と公益法人の役職員との兼務を禁じているためだ。ただ、それだけでは不十分だとの声が噴出している。

   橋本氏は就任会見で、「IOC(国際オリンピック委員会)も、そして国も認めていただいている」として、参院議員は辞職しない意向を明らかにしている。後に自民党も離党しない意向を表明したが、IOCが掲げる「政治的中立性」に反するとして、野党などから批判の声が続出。橋本氏は一転して離党届を提出したが、引き続き議員辞職を求める声はくすぶっている。

  • 東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長に就任した橋本聖子氏。記者会見では議員辞職を否定した。(Photo by Tokyo 2020)
    東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長に就任した橋本聖子氏。記者会見では議員辞職を否定した。(Photo by Tokyo 2020)
  • 東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長に就任した橋本聖子氏。記者会見では議員辞職を否定した。(Photo by Tokyo 2020)

「『政府のいいなりになるんじゃないか』という疑念を持つ人も少なからず...」

   「政治的中立性」は五輪憲章でもうたわれている。例えば「オリンピズム」を普及させるためのIOCの役割のひとつとして

「スポーツや競技者が、いかなるかたちにおいても、政治的あるいは商業主義的に悪用されることに反対する」

とある。

   すでに就任会見の時点で、閣僚辞任だけで十分なのか疑問視する声は出ていた。具体的には、「閣僚として政府側の立場にいたわけだが、見方としては『政府のいいなりになるんじゃないか』という疑念を持つ人も少なからずいると思う」という疑問とともに、議員辞職や離党の意向を確認する質問が出た。

   橋本氏は

「今までも、このオリンピック、パラリンピック大会に関わらず、スポーツという政策的な部分においては、超党派で議論を重ねて、協力しあって、成功に向けて努力をしてきたという経緯がある。議員は辞職せずとも、この組織委員会の会長になるということは、IOCも、そして国も認めていただいているという状況だ。あとは疑念を持たれないような、行動を取っていくべきだと私自身は思っている。その点はしっかりと、ご理解がいただけるような状況にしていきたいと思っている」

などとして議員辞職を否定。さらに、政府、東京都、組織委の三者は「連携をしないといけないが、役割はすべて違う」とした上で、

「国に左右をされるということではなく、その経験を生かして、組織委員会の会長という立場で、何をやっていかなければいけないかということを、私なりに理解しているつもりだ」

などとして中立性は守られることを主張した。この時点では離党について言及を避けていたが、翌2月19日午前に橋本氏は自民党本部で二階俊博幹事長と会談。その後、記者団に対して、議員辞職も離党もしない考えを明らかにしていた。

現職議員からも「辞職」求める声

   この間、議員辞職や離党を求める声が相次いだ。小泉内閣で秘書官を務め、参院議員や衆院議員を歴任した小野次郎氏(67)はツイッターで、議員辞職や離党が必要だとの考えを示した上で、

「離党しないと、依然として菅自民党総裁や二階幹事長から指示や監督を受ける立場は変わらず、職務の政治的中立性は確保されない」

と懸念を表明。現職議員からも声があがった。日本維新の会の音喜多駿参院議員は

   「議員辞職までは必要なくとも、自民党は離党されたほうがベターではないでしょうか」。立憲民主党の小西洋之参院議員は、橋本氏が議員を続けたとすれば

「今後のオリパラ組織委の決定等が『菅政権のためではないか。自民党に忖度しているのではないか。』といった疑念を生むことになる。これ自体で、オリパラの政治的中立を毀損する」

と主張した。

   国民民主党の玉木雄一郎代表も、橋本氏の会長就任が正式に決まる前の2月18日午前に開かれた記者会見で

「橋本大臣の名前が挙がっているが、なぜ挙がっているのかよく分からない。透明性を確保して選ばれるとのことだったが...」

などと選考プロセスが不透明なことを指摘した上で、

「いわゆる身体検査とか、いわゆる政治的中立性の確保は大丈夫なのかとか、そういったチェックがどのようになされたのかについては、全く知る由がないので...」

として、政治的中立性をめぐる懸念が生じうるとの見方を示していた。

   橋本氏は2月19日午後に自民党を訪れて離党届を提出。橋本氏によると、IOCからは政党に所属する議員として活動を続けても問題ないとの見解を得ていたが、就任から1日が経ち「その中で様々な声をいただく中で、考えを改めさせていただいた」という。橋本氏は比例区で当選を重ねているため、離党と議員辞職は密接にリンクする。離党で政治的中立性の問題が解決されるかを含めて、問題はくすぶりそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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