2024年 4月 26日 (金)

芸能人が「ダメ人間アピール」に必死な理由 ファンもアンチも喜ぶから?トークの狙いを分析

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   2021年3月3日、芸能人たちが相次いで「ダメ人間アピール」を行っていたことをご存じだろうか。

   俳優の本田翼さん(28)はゲームを1日8時間遊ぶと告白。歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん(28)も、かつて忙しい時期、服を脱がずに入浴していたことを明かしたのだ。どちらも相当な「ダメ人間」ぶりだが、芸能人がこうしたエピソードを披露する意図はどこにあるのだろうか。心理学博士に聞いた。

  • 本田翼さん(2017年撮影)
    本田翼さん(2017年撮影)
  • 本田翼さん(2017年撮影)

ゲーム廃人、借金王、極度のものぐさ...

   この日の昼、東京都内で開かれた新商品の発表会見に登場した本田さんは、CM中でゲームをしながら出演していることに関連して、自身の休日におけるゲームの比重についてトーク。「最近はもう昔ほどではない」としつつ、「8時間ぐらいです」と明かし、他の登壇者の度肝を抜いたのだった。確かに、「昔ほどではない」としつつも1日の3分の1である8時間をゲームに捧げるとは、なかなかの「ゲーム廃人」ぶりである。

   同日夜、フジテレビ系で放送された「ホンマでっか!?TV」に出演したお笑い芸人の岡野陽一さん(39)は、自身の借金1200万円エピソードを披露しつつ、いまだに借金を重ねる生活をしていると公表。新たな借金については、担保を要求しない人物から「信用」で借りていると闇金を匂わせつつ、その放蕩ぶりを明かしたのだった。

   そして、同番組に続いて放送された「突然ですが占ってもいいですか?」に出演した歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん(28)は、特に忙しかった時期の話として、帰宅した際に服を脱がずに入浴していたと公表。風呂から上がる際にはそれを脱ぎ捨て、就寝の際には、今度は翌日着る服を着て寝ていたと明かしたのだった。まさに、相当なものぐさぶりである。

「わざわざ自分の株を下げる内容」なのに...

   これら、「ゲーム廃人」「借金王」「極度のものぐさ」という、三者三様の「ダメ人間」がメディアに登場したわけだが、そうであるにもかかわらず、このダメ人間ぶりが報じられるや、3人には「本田翼ちゃんの休日のゲーム時間8時間てなんかに載ってて...分かるー分かるよーって共感した」「借金1200万。それでも、なお生きていけるって凄いなぁ...」「ちゃんとお風呂に入ってる時点で面倒くさがりじゃないと思う」といった絶賛の声がネット上に殺到してしまったのだ。

   これら、芸能人による自らの「ダメ人間アピール」だが、以前からことあるごとに行われてきたのも事実。現に前日となる2日には、フリーアナウンサーの鷲見玲奈さん(30)が「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)で、洗わなければならない食器を減らすべく、料理をした際にはフライパンから菜箸で直接食べるというエピソードを披露しており、やはり、「ダメ人間アピール」を行っていたのだ。

   ただ、これらのアピールに共通しているのは、「わざわざ自分の株を下げる内容」であるにもかかわらず、「自ら進んで暴露している」という点だ。一般人であれば他者に話すことなど間違いなくためらってしまう内容だが、なぜか芸能人たちは嬉々として自らがいかにだらしないかを明かすのである。

   ただ、それでも本人たちが自ら進んで暴露している以上、そうすることでさらなる人気を獲得することが出来るのであろう。現に、本田さん、岡野さん、きゃりーさんには絶賛が寄せられたことは前述したとおりである。

   そこで、J-CASTニュース編集部は経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏に、「なぜ、芸能人は自ら進んでダメ人間アピールをするのか?」について分析を依頼した。

「ダメ人間アピール」はアンチにも効果的?

   まず、鈴木氏は、これらの「ダメ人間アピール」がどこまで真実かという点については置いておくとしつつ、アピールが行われた際の効果について説明した。

「芸能人による『ダメ人間アピール』には、ファンに対して『今のままの自分でいいんだ!』という安心を与える効果があります。今回の例で言うと、本田さんのファンで、かつ、普段からゲームにのめり込んでいる方は、本田さんの『8時間ぐらいです』のエピソードを聞くことで、自身のゲームへの時間の使い方を正当化しているのです」
「要は、ゲームにたくさんの時間を使うのは自分の人生に資するのか、といった疑問が湧いてきた際に、あこがれの芸能人である本田さんの発言を思い出して安心を手に入れるのです。また、岡野さんやきゃりーさんの例は、『きちんとできない自分でもいいんだ』という、やはり、これら2人のファンにとっての安心材料になります」

   また、鈴木氏は「ダメ人間アピール」はファンのみならず、アンチにも効果を及ぼすと指摘した。

「『ダメ人間アピール』を聞いたアンチは、その芸能人に対して優越感を抱きます。活躍している芸能人のダメぶりを聞くことで、『その芸能人よりも自らの方が人間的に上である』といった思いを抱くのです。これもまた、安心を与えているのです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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