2024年 5月 2日 (木)

韓国紙は文在寅氏の訪日断念どう報じた 「公使発言は国民的怒り呼び起こした」「日本の態度変化促す」

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   2021年7月23日に迫った東京五輪開会式にともなって検討されていた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪日が、見送られることになった。日韓首脳会談が実現すれば、膠着(こうちゃく)した日韓関係を打開するきっかけになるとの期待感もあったが、元徴用工や慰安婦問題で両国の態度が変わらない以上、会談をしても成果が望めないと判断したとみられる。

   韓国メディアは訪日見送りを7月20日付の社説で大きく取り上げ、日韓関係の深刻さを一様に嘆いた。ただ、訪日が見送られたことの責任の所在については、保守系紙は比較的中立的に論じたのに対し、左派氏は日本側を非難するトーンが強く、評価が分かれている。

  • 文在寅大統領の訪日見送りを発表する青瓦台(大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官。訪日で日韓首脳会談が実現すれば、膠着(こうちゃく)した日韓関係を打開するきっかけになるとの見方も出ていた(写真は青瓦台の動画から)
    文在寅大統領の訪日見送りを発表する青瓦台(大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官。訪日で日韓首脳会談が実現すれば、膠着(こうちゃく)した日韓関係を打開するきっかけになるとの見方も出ていた(写真は青瓦台の動画から)
  • 文在寅大統領の訪日見送りを発表する青瓦台(大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官。訪日で日韓首脳会談が実現すれば、膠着(こうちゃく)した日韓関係を打開するきっかけになるとの見方も出ていた(写真は青瓦台の動画から)

東亜日報「今回もチャンスを生かせなかったが...」

   文氏の訪日見送りは、青瓦台(大統領府)の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官が7月19日に発表した。文氏によると、日韓両政府は「両国間の歴史懸案に対する進展と未来志向の協力の方向性について意味のある協議」を行ってきたが、「首脳会談の成果とするには、まだ不十分」で、「その他の諸状況を総合的に考慮」した結果の訪日見送りだという。

   日韓関係をめぐっては、相馬弘尚・駐韓国総括公使が韓国のテレビ局、JTBCとの昼食会で、文氏の対日外交姿勢について「マスターベーションをしている」などと発言。発言内容をJTBCが7月16日に報じて問題化していた。ただ、朴氏は相馬氏の発言には触れていない。

   だが、韓国メディアでは、この発言が文氏の訪日見送りに影響を与えたとの見方も出ている。例えば保守系の東亜日報は20日付の社説で、

「青瓦台として満足のいく会談の成果が出るか不透明なうえ、在韓日本大使館総括公使の妄言の波紋まで重なり、訪日する大義名分も低くなったと判断し、訪日を見送ることにしたと思われる」

と分析。今後については

「今回もチャンスを生かせなかったが、将来、両国関係に大きな傷に残さないために、今後も転換点を見つけるための努力を怠ってはいけない」

などと論じるにとどめた。

「日本の高圧的態度」に怒る左派紙

   同じく保守系の中央日報も、同様の論調だ。

「青瓦台の決定は、苦心に苦心を重ねた末に下したものだと理解できる側面がある。また終盤に出てきた日本の公使の発言は、国民的怒りを呼び起こした。悪化した世論を押し切って、これといった成果がないことが確実視されている中で、日本行きを選択することは、現実的に困難が大きかった」

   今後についても、中長期的な信頼醸成を強調する点で、東亜日報と共通している。

「普段の実務段階から問題解決の努力を重ねながら、きちんと信頼を築かなければ、どんなに良い機会が来ても生かすことができない」

   保守系紙が対日批判を抑制したのに対して、左派紙は一方的に日本側を非難する論調が目立った。京郷新聞は、日本が韓国側に対して元徴用工問題への対応を求め続けていることを

「特に残念なのは、今回の交渉過程で見られた日本政府の誠意と高圧的な態度である」

などとした上、相馬氏の人事を日本側が先送りしたとして

「首脳会談を成功させようとする態度とは距離がある」

と主張した。

   ハンギョレ新聞は、「加害者である日本の高圧的な態度が嘆かわしい」。今後の展望についても、

「最近、日本政府の姿に、相手への礼儀と尊敬、対話を通じて問題を解決するという意志を見つけるのは難しい。日本の態度の変化をもう一度促す」

とした。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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