2024年 4月 27日 (土)

宝塚「異色作」の舞台化続く CITY HUNTERに柳生忍法帖...ファンの心配を解消した「演出の妙」

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エログロ「柳生忍法帖」は筋の通った時代劇に

   西の宝塚大劇場では9月18日から11月1日まで星組公演「柳生忍法帖」を上演した。東京宝塚劇場では11月20日から12月26日まで上演される。故・山田風太郎氏の同名小説の舞台化作品だ。山田氏の「忍法帖」シリーズの一作で、エログロ描写を交ぜつつ軽妙な娯楽小説になっている。

   暴虐の限りを尽くす会津藩主・加藤明成と配下の会津七本槍の差し金で、家老・堀主水と一族の男たちが処刑され、生き残った堀一族の女たちが復讐を試みるというのがあらすじ。女たちが武芸を習得する手助けをするのが主人公の柳生十兵衛(演・星組トップスター礼真琴さん)である。

   ところが原作小説では加藤明成の好色残虐ぶりもみっちりと描かれ、仇となる会津七本槍も人間離れした技を駆使する武者たちで、こちらもともすれば「スミレコード」に抵触しかねない。

   宝塚の「柳生忍法帖」では会津七本槍を男役スターたちが演じた上に小説のエロティックな要素はできるだけ封印、その一方で七本槍の側にも宝塚オリジナルのサイドストーリーを設けて約1時間30分のミュージカルにまとめ上げた。

   宝塚版オリジナルの役柄に若手娘役を起用し、敵役の会津七本槍も原作そのままの再現ではなく、それぞれの男役の持ち味を生かして観客を惹きつける。加えて、会津藩を裏から操る芦名銅伯を演じたのが、この公演で退団する男役スター・愛月ひかるさん。107歳の老人という謎めいた役を日本人離れした長髪のウィッグで好演している。脚本・演出の大野拓史氏の手により原作小説から宝塚にそぐわない要素は脇に置き、演者のビジュアルと役作りを堪能できる舞台になった。

   「CITY HUNTER」「柳生忍法帖」ともに宝塚らしさを損なわずに舞台化できるかが試された作品だったが、新規ファン層にも一定のアピールができた意欲作といえるだろう。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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