2024年 4月 20日 (土)

「問題点あればご指摘を」首相に迫るも... 立憲・泉代表「政策立案型」質問は成功だったのか

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   岸田文雄首相の施政方針演説など政府4演説に対する代表質問が2022年1月19日午後、衆院本会議で始まった。立憲民主党の泉健太代表がトップバッターに立ち、岸田氏が掲げる「新しい資本主義」に対抗する形で、「3つの分配」を提案した。

   泉氏は、政府の政策を批判する従来の野党のスタイルに加えて、すでに立憲が提案している政策や提出済みの法案をアピールする場面も多かった。「問題点があればぜひご指摘ください」と呼びかける場面もあり、泉氏が取り組む「政策立案型」を印象づける狙いがあるとみられる。

  • 衆院本会議で質問する立憲民主党の泉健太代表。「政策立案型」の質問は奏功したのか(写真は衆院インターネット中継から)
    衆院本会議で質問する立憲民主党の泉健太代表。「政策立案型」の質問は奏功したのか(写真は衆院インターネット中継から)
  • 衆院本会議で質問する立憲民主党の泉健太代表。「政策立案型」の質問は奏功したのか(写真は衆院インターネット中継から)

「新しい資本主義」に対抗して「3つの分配」を提案

   泉氏が代表質問に臨むのは21年12月8日に続いて2回目。本会議に先立って開かれた党の代議士会では、

「代表質問で改めて原稿を書いてみると、我々がすでに出してきた法案が数多くある。立憲民主党としての考え方は、すでに様々な点で示していることが多いということを改めて実感した。そういうことも皆様にお伝えしながら、政府に見解をただしていきたい」

などと意気込んでいた。

   泉氏は代表質問で、岸田氏が掲げる「新しい資本主義」について、「その中身は依然不明なまま。来年度予算を見ても、これまでの政府のこれまでの政策の焼き直し」などと疑問視する一方で、「所得の再分配」「地方への分配」「将来への分配」の「3つの分配」を提案した。

   「所得の再分配」では、給与を増やした企業の法人税を下げる「賃上げ税制」を政府が掲げていることについて

「約7割の企業は赤字経営。これでは法人税はゼロということになるので、賃上げ税制の対象外。インセンティブも働かない」

と実効性を疑問視し、直後に

「立憲民主党はこの点、中小企業が新たに正社員を増やした場合に、社会保険料、事業主負担の軽減を提案している。また、希望する非正規雇用の方々の正社員化を進めるための派遣法の見直しを行うべきと考える」

などと立憲の取り組みを紹介。岸田氏の見解を求めた。

「この提案はいかがでしょうか。問題点があればぜひご指摘ください」

   さらに、ベーシックサービスに従事する人材の賃上げが急務だとして、すでに立憲は賃金引き上げのための法案を提出したことに言及。この提案が政府にも取り入れられたとする中で次のように述べ、さらに賃上げを求めた。

「こうした提案は政府にも届き、政府は来年度予算で介護・障害福祉職員、保育士等の賃金を3%程度、月額9000円引き上げることとした。しかし、この上げ幅は十分ではない。これらの職種において、全産業平均比でどこまでの賃金賃上げを目指そうとしているのか」

   そのほか、立憲の提案に問題点があれば、それを指摘するように求める場面もあった。「地方への分配」について、地域で再生可能エネルギーを生み出す重要性を説明する中で、住宅用太陽光発電のさらなる普及を制度的に後押しすべきだと主張。

「立憲民主党の提出法案『公共施設省エネ再エネ義務化法』は全国の公共施設の改修や新築において、省エネ再エネ導入の義務化を図るもので、地域活性化にも使われる」

とも説明し、

「この提案はいかがでしょうか。問題点があればぜひご指摘ください」

と呼びかけた。

岸田氏の答弁は...

   ただ、岸田氏が答弁の中で、泉氏の提案に直接反応する場面は必ずしも多くはなかった。

   賃上げ税制については、その意義について

「各企業の給与体系が多様になっており、様々な支給方法に対応する必要があること。また企業の実務面も踏まえ、煩雑でない制度設計とする必要があること、基本給や賞与を含めた給与総額を対象とすることで、より多くの企業に賃上げを行っていただける制度設計とする必要があること、こうしたことから賞与を含めた給与総額を対象としている」

などと説明。派遣法については

「今後とも制度が適切に運用され、派遣労働者の待遇改善や雇用安定を図られるよう、関係者への制度周知、指導監督を徹底していく」

とした。ベーシックサービスに従事する人材の賃上げについては次のように述べた。

   「介護障害福祉職員、保育士等の今後の具体的な処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、職種ごとに仕事内容に比して、適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から検討していく。介護職員の賃上げについては継続的なものとなるよう、介護報酬において対応することとしている」 立憲の提案に反応したようにも見えるのがエネルギー関連の政策だ。住宅用太陽光発電の普及については、

「2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を設置する目標を掲げており、こうした方針も踏まえて、住宅への導入推進に努めていく。具体的には、固定価格買取制度や予算税制による導入支援に加え、壁面などにも設置可能な次世代型太陽電池の研究開発など、あらゆる政策を総動員して取り組む」

と答弁。その上で次のように話し、立憲の「公共施設省エネ再エネ義務化法」には否定的な見解を示した。

「公共施設の改修や新築における省エネ再エネの導入義務化については既に政府が率先して、保有する設置可能な全ての建築物への再エネ導入を進めるとともに、公共施設も含めた住宅建築物の省エネ基準の適合義務化や基準の引き上げなどに取り組むこととしている」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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