2024年 4月 27日 (土)

トランプ信者とコロナ陰謀論者は似ている? 大統領選潜入の記者が感じた「極論の危うさ」

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次の大統領選挙にトランプは立候補するのか

――エピローグとプロローグの両方で、横田さんは2020年の大統領選挙でアメリカの民主主義が危機に瀕したことを振り返っていらっしゃいます。また、プロローグでは併せて、「これは果たして、日本とは関係のない対岸の火事なのだろうか」としつつ、「日本において新型コロナをはじめとしたさまざまな論点において、いつしか極論が目立ち始めてはいまいか」との警鐘を鳴らしていますね。これは一体どういうことなんでしょうか。

横田:民主主義って、「話し合い」で成り立つものだと思うんです。で、「話し合い」って「歩み寄り」だと思うんですよ。となると、極論ばかりではそもそも歩み寄りができず、双方が「お前は敵だ!」と罵り合うだけの状況に陥ってしまいますからね。

――確かに。罵り合いは民主主義とは逆の行為ですよね。

横田:日本の政治家にも極論が好きな気質の方はいますし、そのような政治家の主張を喜ぶという有権者もまた存在します。そう考えると、日本でも極論ばかりがはびこるという展開もないとは言えないと思うんです。現に、2020年の大統領選挙では「票の集計の機械に不正があった」といった、およそ信じがたい主張が出て来たほか、日本ではコロナ以降に出現した「マスク警察」や、その反対の「ノーマスク集団」なんてのは、その萌芽にも思えます。

――極論が出ている時点で、日米の状況は似ているということでしょうか?

横田:そういうことです。アメリカではマスクの必要性やワクチンの必要性について極論が並び立つ中、トランプはコロナ流行が始まった直後は、「コロナの致死率はインフルエンザと大差ない」といった、これまたものすごい極論を主張し、その後、「パニックを起こしたくなかったからだ」とその極論を語った理由を説明しました。

これを見て、さすがにトランプ支持者の中でも、少しでも科学をかじったことがある人たちの間で不信感が広がったというのはあると思います。そういう意味では、コロナが「トランプがいかに危険な人物であるかを浮き彫りにした」ということはあるかもしれません。

――2024年の大統領選挙にトランプは立候補するんでしょうか。

横田:今の勢いのままなら、共和党内で再び大統領候補に指名されそうな感はあります。それはすなわち、トランプが三度、大統領選挙に立候補するということです。トランプ自身は出る気満々ですし、他の候補の人気は今のところ弱い。ただ、トランプは大統領選挙では2回連続で総得票数では過半数を得ていませんから、決して、「選挙に強い候補」とは言えません。一方のバイデン大統領ですが、現職ながら、あまり人気は高いとは言えないので、2024年の大統領選挙に向けて、事態は混沌としていると言えます。

――最後の質問になりますが、横田さんは2024年の大統領選挙に取材には行かれるんでしょうか。

横田:誰か行かせてくれるなら(笑) また、トランプが出馬するなら行きたいですね。私は連邦議事堂襲撃事件を見て、トランプの政治生命は終わったと思ったのですが、どうもそうではなかったようですからね。これは意外でした。なので、本人が立候補するなら、ぜひ行きたいですね。

横田増生さん プロフィール

よこた・ますお 1965年、福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学科で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。2020年、「潜入ルポ amazon帝国」で第19回新潮ドキュメント賞を受賞。主な著書に、「仁義なき宅配」「ユニクロ潜入一年」など。

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