2024年 4月 25日 (木)

給食「型抜きチーズ」実はネットで買えます 話題呼び売上13倍...販売の裏にあった「中学の思い出」

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   学校給食でお馴染みの「型抜きチーズ」がネット通販で買えると、ツイッターで紹介され、話題を呼んだ。六甲バター(神戸市)が製造する動物や乗り物をかたどったチーズで、「懐かしい!」「大好きだった」といった声が寄せられた。

   販売する食品卸業のナカヤマ(岐阜県恵那市)は2022年3月29日、取材に対し、あるスタッフの熱望を受けてオンライン販売することにしたのだと明かした。

  • 六甲バターが自社ブランド「QBB」で製造する型抜きチーズは、業務用食品通販サイト「ナカヤマフーズオンライン」で販売されている
    六甲バターが自社ブランド「QBB」で製造する型抜きチーズは、業務用食品通販サイト「ナカヤマフーズオンライン」で販売されている
  • 六甲バターが自社ブランド「QBB」で製造する型抜きチーズは、業務用食品通販サイト「ナカヤマフーズオンライン」で販売されている

コロナの影響を受けた「学校給食」食材をオンラインで販売

   ツイッターユーザー「さかなかもしれない」さんは2022年3月23日、「給食で出てたあのチーズ買えるのか」と型抜きチーズの通販サイトのリンクをツイートした。この投稿は31日時点で、5700件の「リツイート」、2万5000件を超える「いいね」が寄せられている。

   六甲バターが自社ブランド「QBB」で製造する型抜きチーズは、業務用食品通販サイト「ナカヤマフーズオンライン」で販売されている。様々な動物が描かれた箱に、約15グラムのチーズが40個入っている。価格は税込み2418円。

   同サイトでは、このような学校給食用の食材を多数取り扱っている。運営するナカヤマは1950年に創業し、1957年から学校給食食材を販売している。オンラインサイトをオープンしたのは、新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた20年5月のことだった。

「このコロナ禍で外食産業は大きな影響を受けました。給食用事業に至っては事実上ストップすることもありました。
一方で外食に足を運ぶ機会も極端に減少したことでご家庭の負担が増加し、ご自宅でプロの味をより手軽に楽しみたいとの声をいただいておりました。
こうした状況から、『世界中のプロ愛用の食材を皆様の食卓にお届けしたい』というコンセプトの元、食品市場をよりオープンにする目的で『ナカヤマフーズオンライン』を開設することになりました」(ナカヤマ広報担当者)

   ナカヤマは、特設サイトを設けるなど学校給食食材の販売に力を入れている。給食はアレルギーや栄養面などを考慮して栄養士が厳しく選定した食品が用いられているとして、「安心・安全の食材をご家庭でもご利用いただけることを皆様にも知っていただきたい」という。

   こうした中で同社食品事業部のスタッフ・近藤明日翔(あすか)さんは、思い出の「型抜きチーズ」をオンライン販売したいと考えていた。

「一生の思い出に残る最高の誕生日」に食べた型抜きチーズ

   「彼にとって『型抜きチーズ』は『クラスメイトからのプレゼント』という思い出がありました」――広報担当者は次のように、取り扱い経緯を説明した。

「彼が中学生の時の誕生日、彼のクラスメイトたちがお祝いのサプライズを考え、放課後にみんなの寄せ書きと手作りの箱に入った給食デザート詰め合わせを彼にプレゼントしました。
その日の給食のデザートだった『型抜きチーズ』をみんなでこっそりもちよりプレゼントにしたようです。

その翌年の誕生日にも、彼が下校の際にクラスメイトたちが駆け寄り、手には色紙とサンタクロースのような大きな袋に入った給食デザートを持っていました。
その時のプレゼントも偶然『型抜きチーズ』だったようで、彼にとって一生の思い出に残る最高の誕生日になったそうです」

   こうした思い出から、近藤さんは型抜きチーズをオンライン販売することを提案。しかし社内の反応は渋かった。型抜きチーズを一般消費者向けに販売した「前例がなかったため」だという。

   そこでナカヤマは、インターネットサービスの開発・運営を手掛けるチョッピーデイズ(岐阜県瑞浪市)に、型抜きチーズの販売について相談することにした。そもそもオンライン事業が初めてだったナカヤマは、同社から技術面や、ECサイトの運営や集客方法、新商品へのアドバイスを受けている。

「チョッピーデイズ様に相談したところ『ぜひ販売しましょう』とのことになり、全国の給食で長年にわたり取り扱っている『型抜きチーズ』を皆様に懐かしんでいただく為、また大切な方への贈り物として皆様にお届けしよう!となりました」

   全国で親しまれている商品であるため一定の需要があるのではないかと推測し、販売に踏み切った。取材に対し近藤さんは、「僕自身は魅力を感じている商品だったので、提案して良かったと思っています」と振り返った。

ツイッターで売り上げが急増

   型抜きチーズのオンライン販売がツイッターで話題になると、売り上げにも大きな影響があった。広報担当者は次のように述べる。

「SNSの反響のおかげでアクセス数・注文件数は10倍以上になっています。たくさんの方に知っていただけたことをとても嬉しく思います。型抜きチーズを広めていただいた、さかなかもしれない様には手厚くお礼をさせていただきたいと思っております」

   取材に対し、さかなかもしれないさんは、学校給食で好きだった型抜きチーズを懐かしく思い、検索した際にナカヤマフーズの販売ページを見つけたと明かす。気になった商品サイトをツイッターにメモしていたところ、大きな反響があった。投稿に寄せられたツイートについて、「知らない人の給食の思い出の断片を見れたのが楽しかったです」と振り返った。

   ナカヤマによれば、型抜きチーズや関連商品の売り上げは約13倍になった。購買層は20代から50代と幅広く、「ずっと探していました!また食べることが出来てうれしいです」「娘が大好きなデザートを家族と一緒に食べられて幸せです」「今後もリピートして買いたいです!」といった声が寄せられたという。

   日東ベスト(山形県寒河江市)の「焼プリンタルト」、「米de国産豆乳プリンタルト」、「フレンズクレープ ヨーグルト風」といった給食メニューの売れ行きも好調だという。ナカヤマは、今後も給食用食材を拡充したいと意気込んだ。

「一般のお客様からも、グルテンフリーやアレルゲンフリーといった給食食材を一般消費者向けに販売してほしいとのお声もいただいております。お子様の食に関するアレルギーなどでお困りの方が多くいらっしゃるようです。今後はさらに力をいれ、多種多様で美味しい学校給食食材を一般の方に向けて販売していく予定です」

   さかなかもしれないさんも、型抜きチーズの販売を続けてほしいと願っている。

「自分は昔とても偏食で美味しく食べられるものが少なく、給食で出たメニューの中で気に入ったものがあると親が取り寄せてくれたり作ってくれたりしていたので、私みたいな子がQBBの型抜きチーズを気に入った時に注文できるよう、これからも販売を継続してもらえたら嬉しいなと勝手に思っています」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
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