2024年 4月 26日 (金)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
コロナの感染症法上の分類を見直したらどうか 第7波で起きている問題

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   新型コロナウイルスの感染者が過去最高を更新している。政府は行動制限を行わない方針としているが、次の打つ手はあるのか。

  • 新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長
    新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長
  • 新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長

これまでの波での死亡率と重症化率

   これまで新規感染者数でみると、1~6波が来ており、今度は7波となる。これまでの波で、死亡率(=死亡者数/感染者数)、重症化率(=重症者数/感染者数)はどうだったのか。死亡率は、5.7%、1.0%、2.2%、1.6%、0.4%、0.2%。重症化率は、1波はデータがないが、2波以降、21.6%、24.5%、24.9%、12.5%、1.3%。

   厳密には素データでみるのはやや適切でないところもあるが、おおよその傾向はでている。波を経ると、感染力は強くなるものの死亡率や重症化率は低下する傾向のようだ。7波では、季節性インフルエンザとあまり変わらないと話す専門家もいる。

   世界の状況をみると、G7諸国では、日本での6波あたりが最大になっている。人口比で今の日本の新規感染者数の1.3~4倍程度であった。7波は日本を除くG7諸国では6波ほどではないので日本がG7で一番多いが、重症化率や死亡率を考慮すると、大騒ぎする必要はないだろう。

   今の状況で問題なのは、重症化はしないものの、感染と認定されると元気なのに仕事ができないことだ。筆者の知人でコロナ陽性になった人が少なくないが、本人は全くの無症状で体調に問題はなくても、職場で仕事を出来ないのが辛いという。子供の間では感染しても熱も出ないので、子供から家族が感染し、そのために仕事が出来ないという話もしばしば聞く。

せめて感染者数を全数把握することはやめたほうがいい

   5、6波の頃から、地域の保健所が感染症法上2類相当では事実上機能していないという話もあった。地方の医療機関でも同じだ。データとしても、死亡率と重症化率は季節性インフルエンザともそれほど大きく異なるわけでもないので、感染症法の分類の見直しをしたらどうか。せめて感染者数を全数把握することはやめたほうがいい。2類から5類への見直しに反対するのは補助金をもらいたい医療側という話は本当ならとんでもないことだ。

   なお、新型コロナ政府分科会の尾身茂会長から、驚きの発言もあった。2022年7月24日のNHK日曜討論で尾身氏は「従来までは国、自治体が国民にお願いし、国民が従うというフェーズだった。今は、いろんなことを学んできたので一般市民が主体的に自分で判断していろいろと工夫するフェーズに入った」とした。

   要するに、今まで国民に自粛を強いてきたが、今度は自助で何とかしろという。であれば、5類でいいだろう。国民には自助努力で、医療界に補助金くれではあまりに虫が良すぎる。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中