2024年 5月 4日 (土)

「治療はエンタメではありません」 動物病院でのYouTube撮影が物議...苦言呈した獣医師の思い

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「エリザベスカラーは『SNS映え』を目的とするものではありません」

   「エリザベスカラー」を自作したという投稿も相次いでいる。エリザベスカラーとは、動物が傷口を舐めるのを防ぐために用いられる円錐型の保護具だ。院内での映像を公開した先述の人気ペット系YouTuberは、カップ麺の容器の底をくりぬいたものを自作しており、ファンからは「ピッタリサイズで可愛い」「オモシロいです~」といった声が寄せられていた。

   しかし菖蒲谷さんは、次のような危険性を指摘する。

「カップ麺の容器は耐熱性には優れていますが、物理的強度は非常に弱く、猫の力で簡単に壊すことができ、実際にその欠片を飲み込み、開腹手術で取り出した事例も報告されています。
また、エリザベスカラーは口先が出ないようにすることにより、動物が手術部位を舐めないようにするために着用するものなので、カップ麺のように浅い容器ですと簡単に口先が患部に届いてしまうため、防護の意味を全く為しません。
特に猫の舌はザラザラしているので、手術部位を舐めることにより、患部が開いたり、感染するリスクが高いです」

   菖蒲谷さんも自作のエリザベスカラーを見たことがあるという。病院のエリザベスカラーが高価だというイメージが独り歩きし、費用を抑えるために自作する人がいるそうだ。

「しかし、実際にはご自身で購入されるのとそれほど費用が変わらないことがほとんどですし、病院によっては無料でレンタルしているところもあります。
また、カップ?のカラーのように破損して欠片を飲み込んで開腹手術になったり、自作のカラーのサイズが合わず、手術部位を舐めてしまい、感染や裂開を起こしてしまうと、余計に費用がかかるうえ、動物にもさらにつらい思いをさせてしまいます」

   メスの避妊手術などの後に傷口を舐めることを防ぐために用いられる服「術後服」についても、自作したり、誤ったサイズを購入したりする人が多く、病院で再購入する必要が出てしまうことが多いそうだ。

「エリザベスカラーや術後服など手術後の防護についてはかかりつけ医に必ず相談し、
サイズの合ったものを処方してもらってください。
もし、サイズが合わない場合は交換してもらえることもありますので、すぐにかかりつけ医に相談してください。
あくまでもエリザベスカラーは手術部位を守るものであり、『SNS映え』を目的とするものではありません」
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